原爆開発の裏に隠された人間ドラマ『ジョーンの秘密』
【基本情報】
原題:Red Joan
製作年:2018年
製作国:イギリス
配給:キノフィルムズ
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:77/126
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
夫に先立たれ、仕事も引退したジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)は、ある日突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。
彼女にかけられた容疑は、半世紀以上も前にソ連に核開発の機密情報を漏えいしたというもの。ジョーンは無罪を主張するが、外務事務次官のウィリアム・ミッチェル卿の死後に見つかった資料から、彼とジョーンがKGBと共謀していた資料が見つかったというのだ。
捜査官の厳しい追及もあり、彼女は自分の過去を語り始める。1938年、大学生だった彼女が出会った友人、恋人、そして不倫相手。愛する人への想いと平和を願って彼女が取った驚くべき行動が徐々に明らかになっていく。
【感想】
まさか、原爆開発の裏にこんなことがあったとは。。。主人公の背景とかはかなり変わっているらしいですが、被爆国である日本に生まれた者として、ちょっと知っておいてもいいかなっていう映画でした。
話は『タイタニック』のようで、突然MI5に逮捕されたジョーンが若い頃を回想する形で話が進んでいきます。恋人との関係性や平和を願っての善意から、彼女は原爆の情報をソ連側に流してしまうというサスペンスチックな雰囲気。
なんですけど、その恋人との絡みや研究室で出会った上司との不倫など、ちょいちょい恋愛要素を出してくるのが、よく言えばミックスジャンル、悪く言えば迷走という印象はありますね。結局どっちなんだろうっていう(笑)
とはいえ、話としてはすごく興味深いですよ。原爆の開発ですから。実際に原爆投下後の広島の映像も流れていました。ジョーンとしては、ソ連が核の開発を完了することで他の枢軸国と肩を並べることができ、お互いにけん制し合ってこれ以上の核攻撃が行われないことを考えての行動なんですよね。現代の彼女も言っていましたが、おかげで多くの死者を出すことはないんです。もちろん、平和を願いつつも、敵国にいる恋人の存在も多少は影響していると思いますが、なんにせよ平和に貢献したと僕は思いたいです。
弁護士である息子に「裏切者!」と罵られても、最後にその点を認めてもらって弁護を引き受けてもらえるところはちょっと感動しました。
こういう第二次世界大戦中の枢軸国の関係性とかは、今となっては想像すらできませんが、きっと僕たちの想像を超えるような苦労や悲しみが多々あったのだと思います。今作のジョーン含め、そのときに軍事関係や研究機関に従事していた人々たちが何をどう思っていたのかはとても気になります。
しかし、50年以上経っても逮捕されるんですね。すでに戦争は終わっていますし、今はただのおばあちゃんとして平和に生活しているだけなのに、今さら当時の話を持ち出されて、昔話をさせて、あーだこーだ言うんだってちょっとびっくりしました。仮に日本で同じようなことがあったとしても逮捕されるんでしょうか。。。
ちなみに、いろいろ調べて知ったのですが、この原爆開発のコードネームはチューブ・アロイズと言います。これは、後々マンハッタン計画へと移行されていくんですけど、そのマンハッタン計画の主導者がロバート・オッペンハイマーという人物なんですよ。昨日公開された『TENET テネット』をご覧になった方はピンときますよね。その映画にも出てきた人の名前なので(笑)
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