魅力的なおっさん2人のロードムービー『グリーンブック』
2019年公開映画34本中7位。
これすっごくいい映画だった!!
さすが第91回アカデミー賞作品賞受賞作品ってだけはある。
作品賞獲る作品って、ヒューマンドラマ寄りで、
僕が普段好きなアクションとかヒーローモノとは違うから、
正直どうかなーってのはあったんだけど、
想像以上によかったです。
黒人差別が色濃くある時代において、
アメリカのディープサウスをツアーでまわる
黒人ピアニストのシャーリー(マハーシャラ・アリ)が、
ナイトクラブで用心棒をしていたトニー(ヴィゴ・モーテンセン)を
運転手に雇って各地をまわるロードムービー。
普段、上流階級を相手に演奏をしているシャーリーと、
ハッタリと腕っ節でトラブルを解決しているトニーは、
性格が両極端で、いっしょに旅するうちに友情が芽生えていくというのは、
こういうコンビを組んで進んで行く物語としては、王道ではあるものの、
やっぱり見る人に受け入れられやすい構図だと思う。
結局、その2人がどうやって仲良くなっていくのかっていうのは、
みんな気になるしね(笑)
特に、最初にトニー自身も黒人に抵抗がある描写をきちんと入れた後に、
その黒人に雇われるという流れがあったから、
「これ絶対気乗りしないだろ」っていうのが明確だし、
そこからスタートしたのは、ラストに向けてのいいアンチテーゼだと思う
そして、この2人がすごく魅力的なキャラクターなんだよね。
シャーリーは、北部でツアーをすればまわりから手厚く迎えられ、
3倍の報酬が得られるにも関わらず、
あえて辛い道を選ぶことで「大切なのは勇気である」
という姿勢を貫く強さがあるものの、
当時の時代背景からすると、虐げられる立場の黒人なのに、
いい生活をしていて他の黒人に溶け込めず、
かといって白人にもなれないので、
自分が何者なのかわからない自己喪失に陥る苦悩を抱えている
という葛藤があるのがすごくよかった。
トニーは、難しいことは考えずにとりあえずやってみる系のタイプだから、
とにかく行動が早くて頼もしいところがある中で、
「寂しいときは自分から先手を打たないと」
という本質をサラッという言える優しさがあるところがいいなと思った。
また実話をベースにしているというのもいいよね。
この2人は2013年に数ヶ月の差でこの世を去っているらしい。
感動ストーリーっていう感じではなかったけど、
笑えるシーンもけっこうあって、個人的にはとても楽しめた。
日本で生まれ育つと、人種差別を実感することはまずないから、
きっとこの作品に対する想いは本国の人とはだいぶ違うだろう。
現に、白人が黒人を差別から救うという構図を批判している人も多いとか。
しかし、予告で見たとき、
「この怖い顔のおじさん誰?」って思って、
ヴィゴ・モーテンセンだと気づかなかったよね(笑)
高校生の頃、『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン、
メッチャ好きだったのに。
ちょっと、ジョニー・デップに似ている気もするけど。
マハーシャラ・アリは、
ついこの前『アリータ:バトル・エンジェル』にも出てたし、
来週も『スパイダーマン・スパイダーバース』に出るから、
最近引っ張りだこだね。