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子を産む選択をした両親を最大限に尊重したい『娘は戦場で生まれた』

【基本情報】

 原題:For Sama
製作年:2019年
製作国:イギリス・シリア合作
⠀ 配給:トランスフォーマー

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:20/78
⠀ ⠀ 悲しい😢:★★★★★
⠀ ⠀ ⠀ 衝撃😳:★★★★★
社会的意義🤔:★★★★★
歴史的意義🧐:★★★★★

【ストーリー】

内戦が続くシリア。
ジャーナリストに憧れるワアド・アル=カデブはデモに参加し、スマホで撮影しながら平和を願うものの、内戦は激化の一途をたどる。

そんな中、ワアドは医師を目指すハムザと出会い、共に非常な世界を生き抜いていく中で二人は夫婦となり、やがて娘のサマを出産する。

その5年間におよぶドキュメンタリー映像。

【感想】

これはかなり辛い映画でした。

度重なる空爆。
瓦礫と化す街。
舞い上がる砂埃。
頭から血を流す人々。
人力じゃおよそ考えられないほど腕が曲がってしまった少年。
幼い我が子の遺体を前に泣き崩れる母親。

映画では珍しくない光景でしょう。でも、CGでも特殊メイクでもないんです。それらすべてが実際に起こった生の映像なんですよ。

内戦が激化している地域の現実をまざまざと見せつけられ、精神的にかなりえぐられます。政府軍は何の罪もない民間人をよくこんなにできるなと、同じ人間ながら複雑な気持ちになりますね。。。

そして、そんな中で生まれたサマ。彼女は本当に愛らしかった。地獄のような日々に訪れた奇跡。すべての癒しであり、何としてでも守るべき存在だと感じた。

そして、この映像はそんな彼女のために作られたもの。両親の決断の軌跡を彼女に残すために。

ふと思ったのがこのような状況でよく産んだなということです。ワアドは二人目も産むんですが、いつ死ぬかわからない状況で避妊しないのかなと。せっかく産んでも、亡くなる可能性も高いのに。。。僕だったら、落ち着いたら子供作ろうって言いそうですけど、、、逆にいつ落ち着くんだよって話なんですかね。いつ死ぬかわからないからこそ、子孫を残しておきたかったのでしょうか。そこは作中では語られないのでわかりませんが、こんな状況の中でも子供を産むという選択をした2人は尊いですよね。

サマが大きくなったとき、この映像を観て何を想うでしょうか。非常に興味深いです。

この映画を観ていると、国が違うとこうも状況が違うのかってやるせない気持ちでいっぱいになるんたですが、そんなときでも人々は笑い、歌を歌うのだから、そこが意外でした。常に絶望に打ちひしがれて暗い顔をしているわけではないんだと。特に、子供たちの無邪気でキャッキャしている姿にどれだけ救われたか。「子に過ぎたる宝なし」とはまさにこのこと。

他に衝撃的だったのが、とある女性の帝王切開のシーン。妊娠中の女性が被弾して運ばれてきて、子供を帝王切開して取り出すのですが、血が通ってなかったのか色が真っ白で、「これは死産なのかな。。。」と思ったんですよね。

でも、医師が懸命に心臓マッサージしたり背中叩いたり、あきらめずに治療を施していたら、途中で目がパチって開いて。そこから、肌の色にも血が通い出して泣き出して、普通に感動しました。しかも、これ実際の映像そのままだから、奇跡って本当にあるんだなって思いましたよ。

そういえば、ワアドは絶え間なくカメラをまわし続けていましたが、まわりから「のん気に撮ってんじゃねー!」みたいなことを一度も言われていませんでした。編集の段階でカットした可能性もありますが、、、むしろ「全部撮って」と言われているぐらいで、この命がけの状況の中、カメラがまわっていることなんてもはや気にも留めないということなんですかね。

あと気になったのが、ハムザってもともと奥さんがいたはずなんですけど、、、そっちはどうなったんですかね(笑)

【その他】

ワアドが使っていたビデオカメラ、たまに鏡に反射するんですが、我らがソニーの製品でした。そして、現地の子供たちが遊んでいた切り絵、よく見たら『ワンピース』てのキャラクターでした。

日本人としてちょっと誇らしかったです(笑)





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