狂気の沙汰である『君が君で君だ』

予告を見たとき、
尾崎豊に、ブラッド・ピットに、坂本竜馬になりきる
ってあったから、
俺はいい年した男の、中2っぽい青春映画かなと思ったんだけど、
実際は全然違った(笑)

ひょんなことから出会った韓国人女性(キム・コッピ)
を好きになった男3人が、
彼女が好きな人物である上記3人になりきり、
10年間見守るという話。

そう、見守るだけ。
会わないの。
もうそれなりきる意味なくない?って思ったけど(笑)
しかも全然似てないの。似せる気なし。

そして彼女を向かいのアパートから10年間見守るといって、
覗きと盗聴を行うという狂気っぷり。
普通にキモイって思っちゃったけど、
これを果たして愛情と呼ぶのかどうか。

もはや人物になりきることですら、
彼女のためというよりも、
「好きな人の好きな人物になりきって愛情表現している自分」
に自己満足しているのではないかとさえ思う。

まあ人は時に、「愛が強すぎてここまでしちゃいました」
っていう状態に悦に浸ることもあるから、
それはそれでいいんだけどね(笑)

しかしその愛情が強い、強すぎる。
もう愛情を通り越して忠誠っぽくなってて、
やや宗教チックな感じがしたよ。。。
その点で、邦画あるあるのキラキラ高校生純情物語とは一線を画す。

それでいて、メインの池松壮亮、満島真之介、大倉孝二の様子がおかしい。
言動がマジで狂気の沙汰。
特に池松壮亮が、水風船が割れたようにバッシャーっていうぐらい、
振り切れちゃってて、
「こういう人、園子温監督の作品にいそうだな」って思うほど、
ちょっと怖かった(笑)
その分、圧倒はされるけどね。あのキャラにしろ、演技にしろ。

でもよくわからないんだよなー。
好きな人がいるのに会わないで遠くから覗きと盗聴してるだけ。
その人が、クズ彼氏の借金を返すためだけに利用されていて、
助けようと試みるも、結局何もしていない、、、?
でもひたすら彼女への愛を叫び続けるという、
目的がいまいちつかめない状況。
(そのクズ彼氏役が高杉真宙ってことで意外なんだけどw)

愛情って何だろうっていうことを考えるきっかけにはなりそうだけど、
異常なほどの純情、純情だけど異常みたいな映画で、
愛情の方向が間違っている方向に突き進みすぎているので、
好み分かれそうだなーって思う。

なんか全体的に映画っていうよりは舞台っていう感じがしたから、
"人間"が好きな人からしたら、非常に興味深い作品になりそうだけど、
僕のように単に娯楽映画が好きな身からしたら、
「なんかよくわからなかったけど、とりあえず演技がやばかった」
みたいな印象になるんじゃなかろうか。

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