人間の頭の中の縮図『脳天パラダイス』
【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
配給:TOCANA
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:141/190
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
東京郊外の高台にある一軒の大豪邸。あとは引越し業者のトラックに荷物を積み込むだけとなった部屋を、やさぐれた表情で見わたす笹谷修次(いとうせいこう)。自身のギャンブル癖が仇となり、この家を手放す原因を作った張本人である。
引きこもり気味の息子・ゆうた(田本清嵐)は淡々と現実を受け止めている。一方、生意気盛りの娘・あかね(小川未祐)は不甲斐ない父親にイラつきながら、ヤケクソ気分でtwitterに「今日、パーティをしましょう。誰でも来てください。」と地図付きツイート。そのままフテ寝してしまうが、その間に投稿がリツイートされまくり、瞬く間に拡散していく。
その投稿を観て最初にやって来たのは、数年前、恋人を作って家を出たはずの自由奔放な元妻・昭子(南果歩)。そこから続々とパーティー客がやって来る。
謎のホームレス老人(柄本明)、インド人のゲイカップル、手癖の悪いあかねの友人、台湾から来た観光客の親子、酔っ払いのOL、デリヘル嬢などなど。次第に豪邸は、ドンチャン騒ぎを超えた、狂喜乱舞の縁日の境内状態になっていく。
笹谷一家の引越しはどうなるのか。いやいや、もうそれどころじゃない!
これは現実か、それとも幻覚か、果たして彼らの行く末は!?
もう誰も逃げられない。『脳天パラダイス』への扉が今、開いてしまったのだ。。。
【感想】
「意味がわからない」。
きっと多くの人はそう感じるだろうし、僕もそうです。
しかし、よくよく思い返してみると、この映画で表現されているのって“人間の頭の中”って感じがするんですよね。だって、本当にいろんなことが起こるんですよ。それを観ていると、「そういえば人間って、同じ人でもいろんなもの好きだし、いろんなこと考えてるよなー」って思って、そういうのがこの映画に表れてるのではないかって思ったんです。
パーティーにはいろんな人が集まって来て、みんなやりたいことやって、それがまた別のことにつながっていくんですよ。
ゲイが結婚式を挙げようとしたら、死人が出て葬式になったり。
3組のセックスのせいで、庭の石像が動いたり。
コーヒー豆が巨大怪獣になって、その石像と戦ったり。
子供が木の棒になったり、お風呂のお湯に溶けたり。
他にも、流血、ドラッグ、インド映画さながらの陽気なダンスと、完全にカオスですね(笑)
でも、最初にも書いたこととも重なりますが、人間っていろんな人がいるし、いろんなこと好きだし、同じ人間でもいろんなこと考えてるし、なんかもうそういうのまとめて全部ひとつの場に召喚しちゃえ!っていう勢いがあります。
これって、小さい頃はみんなやってたんじゃないかなーって思ってて。例えば、幼少期によくお話を作ったりすることあったと思うんですけど、とにかく好きなこと詰め込みまくってアンリミットかつ支離滅裂だったりしますよね。まさにそれを映画化したような感じで、人間の頭の中の縮図みたいなもんじゃなかろうかって思いました。「考えるな、感じろ」っていう言葉がピッタリです。
ちなみに、この映画の世界観によく似た博物館があるんですよ。静岡県にある「まぼろし博覧会」って言うんですが、ここもいい具合にカオスなんで、よかったら行ってみてください(笑)
こういう頭の中のものそのまんま出しましたーみたいな映画は嫌いじゃないですし、実はこうやっていろいろぶちまけてるのにちゃんと形にできるのがうらやましくもあるんですけど、観る人はだいぶ選びそうですね(笑)
100万台行っちゃうプレステよりは脳天直撃のセガサターンな映画ですが、そういうカオスを観てみたい人にはいいかもしれません。
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