涙だけじゃない。笑いとリアルな家族像も垣間見える『フェアウェル』
【基本情報】
原題:别告诉她
英題:The Farewell
製作年:2019年
製作国:アメリカ
配給:ショウゲート
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:44/139
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
ニューヨークに暮らすビリー(オークワフィナ)と家族は、ガンで余命3ヶ月と宣告された祖母ナイナイ(チャオ・シュウチェン)に会うために中国へ帰郷する。
家族は病のことを本人に隠すことに決め、みんなで集まる口実として、いとこの結婚式をでっちあげる。
ちゃんと真実を伝えるべきだと訴えるビリーと、祖母を悲しませたくないと反対する家族。意見の対立は平行線のまま、とうとう結婚式の日を迎える。
一家がついた嘘の行方は。
そして、衝撃の事実が発覚する。
【感想】
コロナの影響で公開が遅れて意気消沈していたので、非常に楽しみにしておりました!監督のルル・ワンの実体験を元にした心温まる家族の物語で、さすがA24の配給作品だなと!
僕もばーちゃんが大好きだったので、予告の時点でもうちょっと涙出そうになっていたんですが、大好きな祖母に真実を伝えるべきか、それとも本人を悲しませないために隠し通すか、そのどちらも当事者を想っての行動ですよね。これ、別に中国に限った話ではなく、どの国でも意見は割れそうなので、国境や文化を超えて共感できる内容だと思います。
しかも、この映画、ただのお涙頂戴の感動映画ってだけじゃないんですよ。クスッて笑えるシーンがちょいちょいあるので、話の抑揚としてバランスがいいなーって思いますし、また、家族間でずっと抱えていたわだかまりみたいなのも露呈されるので、長い間いっしょにいてもわからないことってあるよなっていう家族のリアルさも伝わってくるんです。
そんな中で、ナイナイがビリーに対して、「人生で一番大切なことは何か」って伝えるシーンは、どんな本や偉い人の言葉よりも心に響きます。若い頃はね、人の言うことなんてあんまり聞かなかったんですけど、僕も大好きなばーちゃんが亡くなって、ある程度歳を取ってくると、先人たちの言葉っていうのは、どんな人であれためになるなって感じます。
ルル・ワン監督とばーちゃんトークしたいなー(笑)
ただ、ちょっとインパクトに欠ける部分はあるので、人によってはそれが退屈に感じてしまうかもしれませんが、涙と笑いに包まれたファミリー映画としていい作品だったと思います。
衝撃のラストはぜひその目で確かめてください。
なお、この作品、アメリカ映画ではあるんですけど、出ている人は全員アジア人なんですよね。まあ、みんな英語がネイティブレベルなんですが。中国語と英語を余裕で使い分けてるのって、英語すらまともにしゃべれない僕からすると、一体どれぐらい勉強したのかって気になりますが、やっぱり日本人を洋画で見ないのは、英語力の差なんですかね。。。
ちなみに、今作にはひとりだけ日本人が出ています。中国を拠点に活躍している水原碧衣という方なのですが、京大卒業後、早稲田法科大学院休学中に中国最高学府である北京電影学院の演技科に1年間留学し、首席で卒業というびっくり経歴!
劇中でも、たまーに他のキャラクターが彼女にカタコトの日本語で話しかけていたので、「何でだろうなー」って思ってたら、本当に日本人だったんだっていう(笑)