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安全運転なにそれおいしいの?ってぐらいぶっ飛ばしてぶっ壊してぶっ殺しちゃう『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:1/157👑
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★★★★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

アクション
カーチェイス
家族
コロナビール

【あらすじ】

ドミニク(ヴィン・ディーゼル)はレティ(ミシェル・ロドリゲス)と
幼い息子のリトルBの3人で静かに暮らしていたが、ある日、仲間のピンチの知らせを聞く。

ローマン(タイリース・ギブソン)ら“ファミリー”と合流したドミニクは、現場で世界中のコンピューター・システムを操る装置を見つけるが、突如襲撃者が現れ、装置を奪っていった。それは弟のジェイコブ(ジョン・シナ)だった。

凄腕の殺し屋で一流ドライバーであるジェイコブは、実は某国の独裁者組織の一員で、ドミニクたちは世界を震撼させる陰謀を止めるため動き出す。

対立する兄と弟…明かされるドミニクの過去…果たしてファミリーの運命は?!

【感想】

『ワイルド・スピード』シリーズ第9作目(スピンオフ含めると10作目)。今回も期待を裏切らない最高のエンターテインメントでした!!シリーズも長く続いている分、みんなそれぞれ想うところがあるでしょう。個人的には、この夏絶対に映画館で観た方がいい映画だと思いました。

<シリーズ開始から20年>

このシリーズ、けっこう歴史あるんですよ。20年ですよ?生まれた子供も成人しちゃいます。あのMCUより断然長いですよ。で、シリーズ1作目は2001年に公開されました。

図1

(映画.comより引用)

ちょっと歴史を感じるポスターですが、このときのメインキャストって、公開当時まだみんな20代~30代ぐらいなんですよね。主演のポール・ウォーカーが27歳(彼はシリーズ7作目の撮影中に不慮の事故で亡くなってしまいますが)、ヴィン・ディーゼルも33歳ですよ。ミシェル・ロドリゲスやジョーダナ・ブリュースターでさえ、20歳そこそこの年齢でした。役の中ではみんなそれぞれちょっとやんちゃなキャラクターでしたが、20年も経つとみんないい歳した大人ですよ。なのに、かっこよさやセクシーさは健在なので、さすがハリウッドスターって感じですね。役の中でも子供が生まれて、守るものができたりするんですが、そういうライフステージの変化をきちんと表現していくのも、この映画の面白いところだなって思います。

<途中で変わる作品の方向性>

僕は『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)っていうスピンオフ作品を映画館で観ようと思って、予習のために過去作を一気に観たんですけど、このシリーズ、3作目まではレース映画なんですよ。"ストリートレース"っていう、街中を爆走する話で。正直、僕は車そのものにはあまり興味がなくてですね。。。このシリーズが始まったときはスルーしてたんですよ。。。だから、上記のスピンオフ作品を観るまでは、シリーズの存在自体は知っていたものの、映画館で観ることはしていなくて。実際観たら普通に面白かったので、食わず嫌いはよくないなと思った次第です(笑)

で、4作目からそのレース要素がなくなって、強盗やスパイなどのミッション遂行型の話に変わりました。まさに『オーシャンズ』シリーズや『ミッション:インポッシブル』シリーズみたいな話になって、個人的にはこっちの方で断然好きになりましたね。まあ、真の車好きな人からしたら、逆の印象を持つかもしれませんけど(笑)

図2

(5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011)の金庫強奪シーン)

<安全運転という概念が存在しない世界>

さて、ここから今作の感想です。今回は全世界のコンピューターを乗っ取ることができるシステムを奪還すべく、ファミリー(この映画では仲間のことをこう呼びます)が集結するんですが、みんな安定のイカれようです。

冒頭の密林シーンでは、地雷原を前にして「爆発まで0.5秒だから、時速130kmあれば問題ない」と躊躇なくかっ飛ばすクレイジーさ。崖にかかる吊り橋が壊れていてもお構いなしに、スピード上げてバビューンと空中ジャンプするパープリンさ。

図4

(『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』予告動画より引用)

後半の敵とのカーチェイスシーンは、超強力磁石を使って、車を引き寄せたり突き放したりを繰り返して、街中のあらゆるものをぶっ壊しまくるただの破壊集団です。

図3

(『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』予告動画より引用)

シリーズ通してそうなんですけど、ファミリーに「安全運転」っていう概念がないんですよね。「制限速度」とか「一時停止」とか、燃えるゴミの日に捨てちゃったのかなって。追いかける対象しか目に入っていないので、オンロードもオフロードも車道も歩道も関係ないんですよ。ただ走る。だってそこに道があるから。ブレーキ踏むのも止まるためじゃなくて、カーブするときにドリフトするため。止まることを知りません。

<移動手段以上の意味を持つ車>

彼らにとって車は、ただ陸の上を走る移動手段じゃありません。敵を蹴散らす武器であり、身を守る鎧であり、吹っ飛ばされた仲間をキャッチするグローブであり、宇宙へ行く宇宙船であり、、、もはやマルチに使える便利ツールですね。僕は大興奮ですが、扱いは雑だし、使えなくなったら平気でポイ捨てするからもったいない気もします。『1』~『3』まではレース映画なので、きちんと車として扱って、愛を持って接していましたが、今作を含めて最近のシリーズでは、壊れたら次行くぐらいの駒みたいな感じです。自動車会社に申し訳ないぐらい、次々に廃車になっていくんですが、まあ、それをド迫力の映像で見せつけてくるのがこのシリーズの醍醐味だと思います。

<本作最大のミソは"あの"キャラクターの復活>

映像ではピカイチのクオリティを見せてくれますが、本作に関してはキャラクターも目が離せません。なぜなら、3作目の『ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT』(2006)で死んだとされていたハン(サン・カン)が復活しますから!

ちょっと泣いちゃいました。「ハンが、、、ハンがいるー!!」って。まあ、確実に死んだはずなのに、都合よく生きてた設定にするのもどうかとは思うんですけどね。。。だいぶ無理がある設定だったので。。。ちなみに、その3作目はタイトル通り、東京が舞台となっていて、日本からも妻夫木聡さんや北川景子さんなどがチョイ役で出演してます。

<ドミニクがファミリーにこだわる理由が一番伝わってくる>

個人的には、今回ストーリーもよかったなって思うんですよね。ドミニクの過去が初めて明かされていて、シリーズの中でもドラマパートに寄った作りだった印象です。もうずっとドミニクは「大事なのはファミリーだ」って言ってるんですけど、過去作ではド派手なアクションシーンばかりに目がいってしまい、あんまりピンと来なかったんですよ。ファミリーを大事に感じているとはいえ、それを行動で感じることはあまりなかったんで。こういう登場人物の心情表現みたいなのは、邦画の方が上手だなって思いますけどね。

でも、今回は彼の若かりし頃を挟み、愛していた父親の死や弟との関係を踏まえた上での今があると考えると、彼がファミリーにこだわる気持ちもわかるなって。そういう暗い過去がありつつ、今自分には愛する妻と子供がいて、自分が味わった悲しみを二度と繰り返すまいと誓っているんだなと思って、ようやくドミニクに感情移入できました。

なお、父親がレースをやっていて事故死した設定は過去作で語られていましたが、弟に関しては今回いきなりの設定です。後付けすぎるだろっていう感想もSNSなどで散見されますけど、もはやここまでシリーズが続いていることと、圧倒的なアクションでいつも圧倒してくるので、個人的にはもはや細かいことは気になりません(笑)

まあ、気になるところがあるとすれば、ドミニクの現在の家庭環境ですかね。彼の子供は元カノ(5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011)に出てきたエルサ・パターキー演じるエレナという捜査官)の子供ですから。よくレティはそれを受け入れられたなと(笑)

<今回はいなくて残念だったけど、やっぱり観たかったあの2人>

今回はハンの復活でキャラクターとしても満足ですが、やっぱりシリーズおなじみの人類最強ハゲ2人は観たかったですね。外交保安官のホブス(ドウェイン・ジョンソン)という筋肉ハゲ。娘を溺愛するパパでありながらも、任務を邪魔するやつは全員ぶっころ!っていうある意味サイコパス。そして、元特殊部隊で今は殺し屋のショウ(ジェイソン・ステイサム)という格闘ハゲ。母親にめっぽう弱いけど、あらゆる戦闘能力が高く、とりあえず向かってくるやつは全員ぶっころ!っていうある意味サイコパス。

図40

図41

(いずれも7作目『ワイルド・スピード SKY MISSION』(2015)本編より引用)

<その他>

今回監督を務めたのは、シリーズで最も監督した作品数が多いジャスティン・リンです。このシリーズに一番多く携わっているからこそ、ド派手なカーチェイスシーンがありつつも、ドミニクの過去という繊細なパートも入れ込んで、過去作との差別化を図ったのかもしれません。

今年公開した映画の中ではトップクラスにド派手でスカッとしますし、映像とキャラクターに振り切った最高のエンターテインメントだと思うので、これはぜひ映画館で観ることをオススメします!シリーズはまだまだ続くようなので、今後も楽しみ!!


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