モノと情報にあふれた社会に生きる現代人にこそ観て欲しい『100日間のシンプルライフ』
【基本情報】
原題:100 Dinge
英題:100 Things
製作年:2018年
製作国:ドイツ
配給:トランスフォーマー
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:112/187
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
自由気ままな独身生活を謳歌するプログラマーのパウル(フロリアン・ラーヴィト・フィッツ)。5年前に開発した人工知能搭載アプリ「NANA」との甘い生活に心は満たされ、彼にとってNANAはなくてはならない存在になっていた。
幼い頃からの親友で共同経営者のトニー(マティアス・シュヴァイクホファー)は、デジタルに依存しているパウルを心配しつつも、自身の外見を磨くことに余念がない。
NANAをアメリカのIT実業家に売り込むプレゼンで、人を幸せにするために作ったと説明するパウルに対し、トニーは金儲けが真の目的であると主張する。結果、400万ユーロ(約4.9億円)で買い取ってもらえることになり、従業員と共に祝杯をあげるトニー。
しかし、NANAで金儲けをしようとしていたことが許せないパウルは、トニーと言い合いになってしまう。トニーに対して「モノに依存しすぎている」と罵り、トニーもまたパウルのことを「スマホ依存症」だと言い張る。
そこで、2人はある勝負をすることになる。それは、持ち物すべてを倉庫に預け、裸一貫で所持金ゼロの状態から始め、1日1つずつ必要なモノを取り戻し、100日間生活するというものだ。負けた方は、アプリの売却によって得られる報酬の半分を従業員に配ることに。
果たして、彼らは本当に大切なモノを見つけることができるのだろうか。
【感想】
設定が秀逸すぎますね、この映画。物欲にまみれた俗物たちにぜひ観てもらいたいです(笑)
本作は、フィンランドで人気を博したドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』をベースに作られたもので、それを、価値観の異なる30代後半のいい年した男たちが、自分たちの財産を賭けた勝負をするっていうアホらしさ全開にアレンジしたものとなっています。
自分たちが作ったアプリをIT実業家に売り込むという設定も現代らしくて理解しやすいし、トニーが途中で出会った女性と恋愛関係に発展していくエピソードもあるから、始終楽しめはするんですが、後半はちょっと冗長かなって感じます。設定および前半部分がいいだけに残念です。。。
こういう映画って、最後に「世の中で大切なのはこれなんだ!」って明確に明確にわかるセリフやシーンがありそうですけど、この映画にはそれがなかったように思います。途中から、ちょっとしたいざこざ話に焦点が当たってしまうので、わかりづらくなってはしまいますが、彼らの行動を観ていると、結局何が大切だったのかはおのずと見えてくるはずです。
自分が同じ状況だったら、まず何を取るのかっていうことを想像すると楽しいですけど、まあ、舞台は真冬で素っ裸から始まるので、最初の1週間ぐらいは選ぶものは限られますかね(笑)
モノはあればあるほど便利なのは間違いないと僕は思いますが、それってきっとある程度の衣食住が揃って、友人がいてくれることが前提ですよねー。それすらもなかったら、価値観や選ぶべき道っていうのは変わってくるんじゃないかな。
この映画を観ると、前に観たムヒカ元大統領のドキュメンタリー映画を思い出します。「貧しさとはモノを持っていないことではなく、どんなにモノを手に入れても満足しない心である」と言った彼の言葉は、この映画にも通ずるところがある気がします。
男2人のバカな賭けの中に、人生を豊かに過ごすヒントがありそうなこの映画、モノと情報にあふれた現代人には観てもらいたいと思いますね。
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