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マラソンを観ているようだった『狂武蔵』

【基本情報】

製作年:2020年
製作国:日本
 配給:アルバトロス・フィルム

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:116/117
 ストーリー:★☆☆☆☆
キャラクター:★☆☆☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★☆☆☆☆

【あらすじ】

舞台は慶長9年の江戸時代。親友の吉岡清十郎が宮本武蔵(坂口拓)に討たれた報復に、忠助(山崎賢人)が立ち上がる。

宮本武蔵 vs 吉岡一門および他流の武士たち計400人の戦い。

【感想】

坂口拓と山崎賢人といえば『キングダム』ですよね。しかも、77分ワンカットって『1917』ばりの長さです、、、!

この映画、実は9年間眠り続けていた未完の作品だったのを、クラウドファンディングの支援によって復活、追加撮影を終え、ようやく公開の運びとなった模様です。

肝心の内容はというと、、、肝となる77分ワンカットの殺陣はすごかったです。これ、リハなしで即本番だったそうで。。。

映画とどうのこうのというよりも、77分間ずっと動き続ける体力がすごいと思いました。それは、主人公を演じた坂口拓もそうだし、それ以上にカメラマンさんの方がもっと大変じゃないかって。

観ている方としては何人斬ったかなんていちいち数えていないので、いつ終わるかわからないマラソンをずっとやっているかのような感覚に陥り、観ているこっちが息切れしそうでした(笑)これは坂口拓あっての映画ですねー。

それなのになんで評価を低くつけたのか。もちろん理由はあります。それは、ストーリーもキャラクターもほぼないに等しかったからです。

一応、忠助が宮本武蔵への復讐に燃えるっていう設定はあるんですが、その忠助の出番は最初と最後だけなんですよ。映画全体の8割以上を占めるワンカットのチャンバラシーンは宮本武蔵によるものなので、忠助は関係ありません。

で、そのチャンバラシーンはセリフもほっとんどなく、ただひらすら斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬りまくるのみ。しかも、長時間のアクションに備えてなるべく体力を温存するようにしたためか、派手な動きはあんまりなくて、いくつかのパターンを繰り返し使っているだけなんですよ(体力のことを考えたらそりゃそうかもしれませんが)。

また、400人も役者は集められないので、斬られた人がまた別のシーンで復活して襲ってくるっていうことで、同じ構図がずーっと続くから正直変化に乏しいんです。当然血も使えない(血がつくと後で別の役で復活できない)から、血しぶきはCGになっていて、返り血もほとんどありません。そして、バトルに一区切りつくタイミングでちょうどいいところに竹筒の水筒と替えの刀がしれっと置かれていて、給水ポイントかよって(笑)もはや映画というよりチャンバラマラソンって感じでした(笑)

もちろん、77分ワンカットのチャンバラってのはものすごいチャレンジングなことだと思いますが、映画として面白いかというとそれはまったく別の話ですね。個人的には、このワンカットのところよりも、ラスト10分ぐらいで行われた河原での戦闘シーンの方がもっとずっとかっこいいなって思いました。

僕は、基本的にどの映画でも戦いのシーンは好きなんですけど、映画として鑑賞するという前提に立つならば、ただ長ければいいってもんでもないっていうことを本作を観て痛感しました。

ちなみに、タイトルの読み方は「きょうむさし」ではなく「くるいむさし」です。


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