子供の扱いに胸が痛くなる『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
【基本情報】
原題:나를 찾아줘
英題:Bring Me Home
製作年:2019年
製作国:韓国
配給:ザジフィルムズ、マクザム
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:80/132
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
ソウルの病院で看護師として働くジョンヨン(イ・ヨンエ)。6年前、当時7歳の息子ユンスが公園で失踪し、夫のミョングク(パク・ヘジュン)と共に捜し続けている。
ある日、彼女の元に、ユンスの目撃情報が寄せられる。目撃された少年とユンスの特徴は一致しており、その情報にわずかな望みを託し、ジョンヨンはユンスに似た少年ミンスのいるマンソン釣り場へと向かう。
しかし、釣り場の従業員たちに尋ねても「ミンスなんて少年は知らない」の一点張り。さらに、地元警察のホン警長(ユ・ジェミョン)でさえ、ミンスの存在を隠そうとしていた。
引き下がれないジョンヨンは、その夜、一家が寝静まったタイミングを見計らって釣り場の一角にある家に侵入するが……。
【感想】
これ、子供を持つ親にはちょっと辛い内容かもしれないですね。。。
この話自体はフィクションなんですけど、行方不明になって生死もわからない子供を捜し続ける不安がひしひし伝わってくるのと、釣り場の人間たちがクズなのが印象的な映画です。
彼らはミンスとジホという子供をかくまっているのですが、胸糞悪くなるぐらい扱いが酷いんですよ。殴る蹴るの行為は当たり前で、中には子供にいたずらするやつまでいるほど(これを演じた俳優さんの気味悪さもまたすごいんですよ。。。)
しかも、メンバーの中には現役の警察官もいて、彼が率先して自分たちの悪行を隠そうとするところが実にやるせない。一切の正義がないんですよね。。。
そんな中に自分の子供がいたらと思うと心が痛みますが、臆することなく立ち向かっていくジョンヨンに親の強さを感じます。特に、家に侵入するシーンなんかは、見つかったら殺されるかもしれないという懸念が、余計に恐さを増幅させるんですよ。ホラー並みに。
もちろん、ジョンヨンにも恐怖はあったと思いますが、その恐怖と息子がここにいるかもしれないという期待のせめぎ合いの中で、母親として屈しない姿勢には、力強さと同時にややヒステリックさも感じます。そりゃ我が子を守るためならどんなことをしてでもっていう気持ちになりますよね。
終盤のシーンは圧巻で、それまで「静」だった流れを一気に「動」に変えるぐらいのインパクトがあります。まるでホラー映画におけるラストバトルみたいな感じなのですが、目まぐるしい展開に1秒たりとも目が離せない派手さがあるのが個人的には推しポイントです。
あと、ホン警長が言っていた「みんな無関心だったのに!」っていう言葉は響きますね。。。数多くの人がこの釣り場を訪れているのに、誰もミンスのことを気にかけなかった。いわば無関心も同罪だろうってことですよね。よくいじめも傍観者は加害者と同じっていうのも聞きますけど、それと同じことなんだろうなって。
しかし、ちょっと気になる点もあるんですよね。まず、もっと応援呼べなかったのかなって。全部ジョンヨンひとりでやってたけど、助けを呼ぶことはできそうな気がしました。
次に、ユンスの特徴。彼は足の小指が副爪ということなんですが、これがわかりづらい。ミンスの足がアップになるシーンがあるものの、そこで副爪かどうかが見えないから、ユンスとの関係性が断定しづらいっていう。だから、ラストの終わり方が微妙だと感じちゃうんたですよね(笑)
とはいえ、サスペンスやアクションとしてはさすが韓国映画と言えるぐらいスリリングな展開だったので、個人的にはアリだなーと思える映画でした。