前作よりも戦争感がほとんど感じられない『ぼくらの7日間戦争』
2019年公開映画208本中114位。
1988年に宮沢りえが女優デビューした同名映画のアニメーション作品。
続編?ということで、
宮沢りえ本人も32年後の中山ひとみ役で声やってました。
この映画のために、オリジナル版も観てみたんだけど、
それと比べると、このアニメは戦争感が薄かった。
なんか、全体的に『天気の子』の劣化版のような印象。
現代風にアレンジされていることによって、
もはや別物となっているため、単純に比較はできないけど、
個人的にはオリジナル版の方が好きだったかなー。
オリジナル版は、学校に嫌気がさした男子中学生8人が
廃工場に立てこもって好きなことをして過ごすうちに、
やがて宮沢りえ含む女子3人も加わり、
学校の先生や両親たちに徹底抗戦するという話。
“子供たちだけで”自分たちの世界を構築していく過程に、
『スタンド・バイ・ミー』や『ホーム・アローン』
みたいな雰囲気を感じて、観ていてワクワクするんだよね。
小さい頃に戻ってこういうことしてみたい!っていう願望を刺激される。
特に、学校の先生たちが横柄で体罰も当たり前の時代だし、
今なら間違いなく大炎上モノっていうレベルなので、
生徒たちが反抗したくなる気持ちもすごくよくわかるし、
感情移入しやすい仕上がりになってた。
一方、今回のアニメーションは、
さすがに前作から32年も経ってるし、
時代背景など現代風にアレンジされているのはいいんだけど、
子供たちの年齢が高校生に引き上げられてしまい、
かつアニメになることで、
見た目的な意味で大人との線引きがわかりづらくなった。
そのため、「大人 vs 子供」という構図が、
実写よりも弱く感じてしまったんだよね。
さらに、オリジナル版は「大人への反抗」ということで
わかりやすい“敵”がいたんだけど、
アニメ版は主人公が片想いの女の子が引っ越すのを阻止するために、
「逃げよう」と誘い出すのが事の始まりなので、
そこに誰かへの敵意はないし、「戦争」という感じがまったくない。
まあ、逃げ込んだ工場に不法入国らしいタイ人の子供がいて、
彼を巡って大人たちとの戦いはあるっちゃあるんだけど、
完全に巻き込まれ事故みたいなもんだったから、
オリジナル版の自らの意志で大人たちと戦うという状況とは、
全然違うよなと感じた。
とはいえ、オリジナル版はただワチャワチャしていた感が強かったけど、
今回の方はストーリーもしっかりしていたし、
立てこもった主人公たちの顔写真がSNSにアップされるや否や、
彼らの黒歴史がどんどん暴露されて、
仲間同士が人間不信に陥るという流れは、現代の闇感あって面白かった。
でも、そこからの巻き返しがなあ、、、
カミングアウトタイムというか、
みんな自分が想っていることをぶっちゃけて、
自分をさらけ出すのみというのが、、、
なんか、、、若いなあと感じてしまった(笑)
それでみんなオールOKになってたけど、
そんなんで信頼回復する、、、?
僕だったら一生根に持つよ、、、?( ^ω^ )
大人は「本音を言わずに体裁だけを気にする生き物」で、
子供は「やりたいことを素直にやる生き物」という括りにしているのは
典型的な大人との子供の違いを表現していると思うけど、
全体的な雰囲気とか歌の挿れ方とか、
やっぱり『天気の子』の劣化版みたいな印象は否めないな(笑)
なお、ラストの宮沢りえのセリフやTM NETWORKの曲を流すのは、
前作を観た人なら感慨深く感じるだろうから、そこは観て欲しいです。