実写版よりも人物描写がよかった『思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ版)』
【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
配給:東宝
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:78/145
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
偶然出会ったタイプの全く違う朱里と由奈。朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。
4人は同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生。由奈は理央に憧れ、理央は朱里に言えない思いを抱き、朱里は秘密を抱え、和臣はある秘密を目撃してしまう。
それぞれの思いが複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどにすれ違っていく。
【感想】
正直、あんまり観る気はしなかったんですよ。だって、8月に実写版がやっていたので。「なんでこんな近い時期に同じ映画をアニメでもやるんだろう」って感じだったんですが、観比べる意味も込めて行ってきました。結果、アニメはアニメでよかったと思います。
実写版の方は朱里と理央の関係性がメインで恋愛寄りだったんですが、アニメ版の方は人物描写がもっと広かったんですよ。恋愛を主軸に置きつつも、朱里と由奈の友情にもっと焦点が当たっていたり、朱里と理央の家族間の問題にもシーンを割いてて、こちらの方が登場人物の対立や葛藤がよく描かれているなと感じて、見ごたえがありました。
ただ、セリフがちょっと臭いというか、実写版から入った身からしたら、「そんなこと普通言わねーだろw」っていうのもあり、アニメだからそこまで不自然ではないんですが、ちょっと実写版に置き換えてみると、観ているこっちがちょっと恥ずかしかったです(笑)
とはいえ、個人的には、アニメを観るならやっぱり実写にはない世界観がいいですね。日本のアニメは面白いですが、やっぱりもう少しファンタジーな作品が観たいです。本作はよくも悪くも現実的すぎるので。
しかし、今思えばメイン4人による恋の"リボン関係"は、当事者だったら相当精神的ダメージ大きそうですね(笑)心の乱交というと言葉がアレですが、よくもまああんな至近距離で思って思われてふってふられるなーと。しかも、朱里と理央は両親同士が再婚してひとつ屋根の下で暮らしているから余計に辛くないですか。ママレード・ボーイかって。あーまくーてにーがいマーマレーだっけっど気になるかって。
まあ、いっしょに暮してから好きになった遊と光希と違って、理央はもともと朱里が好きで、気持ちを伝えようとしたまさにそのときに家族になることが決まって、気持ちにフタをせざるを得なかったっていうかわいそうな感じではあるんですけどね。
あと、この映画のいいところは、よくある高校生のキラキラ青春物語で
キャッキャウフフする話じゃないところですね。真面目な恋愛映画なんですが、その恋愛を通じて、気持ちを伝えることの大切さや相手への思いやりなどを学び、対人能力が向上する描写もあるので、恋愛を通しての自己成長という点においては、同ジャンルの他の作品と比べるとニュアンスはけっこう異なるかなって思います。特に、由奈の成長が一番顕著で、恋愛って精神と時の部屋だったっけ?と思うほど(笑)
とはいえ、アニメにしろ実写にしろ、がんばってがんばってやっと「好き」と伝えられるかどうか、キスできるかどうかっていう構図は昔から変わらないですよね。『ブックスマート』を観てごらんなさいよ。同じ高校生なのに、酒にドラッグにポルノにやりたい放題ですよ。邦画って、男女関係において本能に忠実なキャラクターって少ないですよね。もっとビッチみたいな人がいてもいいと思いますが(笑)
ちなみに、本作では実写版のメインキャスト4人が声優としてカメオ出演してます(僕はエンドクレジットを観て初めて知りましたがw)