特撮×スプラッター×コメディ×愛という最大級の混ぜるな危険を実現させた奇作『サイコ・ゴアマン』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:73/174
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆
【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
特撮
スプラッター
コメディ
家族愛
【あらすじ】
太古より庭に埋められていた銀河の破壊者<残虐宇宙人>。少女ミミ(ニタ=ジョゼ・ハンナ)は偶然彼を掘り当て、封印を解いてしまった。すかさず容赦ない殺戮の限りを尽くす宇宙人だったが、極悪な性格のミミに自身を操ることが可能な宝石を奪われていた。
かくして、無慈悲にして計り知れぬ力を誇る暗黒の覇者は、サイコ・ゴアマンと名付けられ、少女に大変な仕打ちを受けることとなる。
一方、残虐宇宙人の覚醒を察知したガイガックス星の正義の勢力<テンプル騎士団>は宇宙会議を開催、最強怪人パンドラを地球に送り込むが――。
【感想】
これは言葉ではなかなか説明しづらい世界観の映画でした。好みは分かれるかもしれませんが、個人的にはけっこうツボりましたけど(笑)
<一見するとカオスだけど……?>
圧倒的な幕の内弁当なのに、よく見ると具はひとつみたいな。詰め込みすぎてパンパンに膨れ上がった旅行かばんだけど、中身はおもちゃしか入っていないみたいな。他人から見たらカオスにしか見えないこの状況。しかし、それらは「監督の好きなモノ」というひとつの信念で貫かれています。オタクな人はそこに心地よさを感じるかもしれません。
<ミックスジャンルの集大成>
とにかく、「意味がわからない」、「気が触れている」、そんな表現がピッタリなのは間違いないと思います。全体的に日本の80年代~90年代の特撮作品のような懐かしさとチープがあります。当時子供だった僕としては、そこに温かみを感じましたね。
とはいえ、メインは死と破壊によって成り立っている残虐宇宙人です。なので、首は飛ぶわ、体は溶けるわ、相手の体から骨を抜き取って剣を作るわで、無駄に多いスプラッターシーンに恐怖を感じます。が、そこまで怖くはないんですよね。画がチープっていうのもあるんですけど、洋画には時々ありますよね。ポップにグッチャグチャになるやつ。ああいう感じなので、逆に笑えるというか。こう言うと人格を疑われかねないですが、好きです、そういうの(笑)怒りや悲しみといったマイナスな感情を誘う死ではなくて、もはや死そのものがエンターテインメントというか、「そうはならんだろ」っていうありえなさをギャグだと感じてしまって(笑)
そして、気の強すぎる少女ミミと残虐宇宙人のコントのような掛け合いに笑いが絶えません。むしろ、日本のラノベやアニメでありそうな設定だだなと感じました。萌えテイストの少女と破壊の限りを尽くす悪魔の組み合わせって。
<そのしっちゃかめっちゃかをまとめ上げる監督の手腕>
こんな相反するような要素のオンパレードで、わけのわからなさしか残らなかったというのが正直な感想ではあります(笑)でも、それをひとつにまとめてオチまでつけちゃう監督の天才っぷりがすごすぎだなって。こういう「よくわからないけど、なんかすげー」って映画を作れちゃうって嫉妬するほどの才能ですよ。
<その他>
数々の映画賞を受賞するような美しいセリフやシーンで紡がれた映画もいいと思いますし、マーベルみたいに人々を楽しませることに特化したエンタメ作品も好きです。でも、そういう"整った"ものばかりじゃなくて、自分の好きなモノばかり詰め込んで、栄養偏ったようなジャンキーな作品もおいしいんですよね。そんな映画に触れたい人にはオススメします。