健康が何よりも大事だからとりあえず今日は早く寝ますと思った『カポネ』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:29/35
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆
【以下の要素が好きなら楽しめるかも】
ヒューマンドラマ
実話ベース
アル・カポネ
ギャング
介護
【あらすじ】
1940年代半ば、長い服役生活を終えたアル・カポネ(トム・ハーディ)は、フロリダ州の大邸宅で家族や友人たちに囲まれ、静かな隠遁生活を送っていた。
かつて“暗黒街の顔役”と恐れられたカリスマ性はすでに失われ、梅毒の影響による認知症を患っている。
一方、そんなカポネを今も危険視するFBIのクロフォード捜査官(ジャック・ロウデン)は、彼が仮病を使っていると疑い、隠し財産1000万ドルのありかを探るために執拗な監視活動を行っていた。
やがて病状が悪化したカポネは現実と悪夢の狭間で奇行を繰り返し、FBIや担当医師を困惑させ、愛妻のメエ(リンダ・カーデリーニ)も彼の真意をつかめない。
果たしてカポネは、本当に身も心も壊れてしまったのか。史上最も有名なギャングスターのパブリックイメージを根底から覆す、驚愕の実録ドラマがここに完成。
【感想】
伝説的なギャング、アル・カポネ(1899-1947)の晩年を描いた作品ですが、これは観る人を選ぶでしょうねー。だって、ギャング映画の要素はまったくなくて、要介護老人の日常を描いた映画なので。。。まあ、健康の大切さが痛いほど伝わってくる内容でしたけど。
僕は、本作を観るにあたって、過去のカポネをモデルにした映画で予習した身なので、けっこう衝撃を受けたんですけど、予備知識を一切持たずに観ると、だいぶ退屈だと思いますよ(笑)要介護老人が現実と虚構の区別もつかずに奇行に走ってるだけですし。あの野心にまみれたカポネの人間性を知っているのと知らないのとでは、受け取る印象は大きく異なると思います。
アル・カポネの映画ってけっこうあるんですよ。『犯罪王リコ』(1930)、『民衆の敵』(1931)、『暗黒街の顔役』(1932)と、ここまではアル・カポネ本人がまだ生きている頃に映画化されているものです。
有名なのはその後ですかね。アル・パチーノの『スカーフェイス』(1983)、ケビン・コスナーロバート・デ・ニーロの『アンタッチャブル』(1987)。『アンタッチャブル』以外は、あくまでもカポネを"モデル"にしているだけなので、登場人物の名前も違うし、物語もフィクションです。まあ、『アンタッチャブル』は警察の視点から描かれているけど、一応事実に基づいた話になっているので、他の作品とはちょっと違うかなって僕は思います。
で、どの作品でも大体カポネの人物像は共通しているんですよ。短気だけど野心家で、大胆不敵な性格のため、下っ端からどんどんのし上がっていきます。あまりにも怖いもの知らずで自信家なので、ボスの女もちゃっかりゲットしてしまう、男としてはかなりのやり手ですね。もう本当に気づいたら偉そうな態度で、上に対する言葉遣いもなってないし、社会性や協調性よりも自分の正義を優先する感じがします。
実際、カポネの小さい頃は学校の成績もよくていい子だったそうなんだけど、だんだんと悪に染まり、禁酒法時代のシカゴで酒の密造や売春などで財を成して、年収は100億円ぐらいあったそうですよ。
そこまでのし上がるんですからね、本当にブイブイ言わせるぐらいじゃないとやっていけないと思うんですけど、散々過去の映画で彼のそういうところを観てきてるんですよ、僕は。
そんな彼が梅毒やら脳卒中やらでもうズタボロで、汚物も漏らしちゃうし、
足元もおぼつかないし、声もしわがれてまともにしゃべれないし、精神錯乱状態に陥るし。
ショックでした。あの伝説のギャングがこんなになっちゃうの?!って。それを演じきったトム・ハーディの演技には脱帽しますよ。よくあんなヨボヨボした感じを出せるなって。
そう、なので、結局僕はカポネの人物像を何となくわかっているがゆえに、この映画もそれなりに楽しめはしたんです。ただ、やっぱりカポネを知らないとけっこう厳しいものがあると思うので、本作を観るつもりなら、上記の過去作をどれかひとつでも観ておくことをオススメしたいです。個人的には、『スカーフェイス』が一番面白かったです。