表に出せない想いがはち切れそうな『マティアス&マキシム』
【基本情報】
原題:Matthias et Maxime
英題:Matthias & Maxime
製作年:2019年
製作国:カナダ
配給:ファントム・フィルム
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:99/136
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
30歳のマティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス)とマキシム(グザヴィエ・ドラン)は幼馴染。
友達の妹が撮る短編映画で男性同士のキスシーンを演じることになった二人だが、その偶然のキスをきっかけに秘めていた互いへの気持ちに気づき始める。
婚約者のいるマティアスは、親友に芽生えた恋心に戸惑いを隠せない。一方、マキシムはこれまでの友情が壊れてしまうことを恐れ、想いを告げずにオーストラリアへと旅立つ準備をしていた。
別れの日が迫る中、二人は本当の気持ちを確かめようとするが。。。
【感想】
マキシム役を演じたグザヴィエ・ドランが監督・脚本も務めた本作。直近でもゲイの映画と言えば『窮鼠はチーズの夢を見る』がありましたが、内容としては全然違いましたね。
『窮鼠はチーズの夢を見る』の方は、開始早々に男同士で絡み合い、その後もAVのようなベッドシーンが続いていくんですけど、こちらの作品はむしろ絡みがないんです。洋画にしてはめずらしいなって思いました。イメージとして洋画の方がそういうの激しいと思っていたので。
それもそのはず、この映画はお互いの気持ちに気づきつつも、マティアスはまさかの自分の気持ちに戸惑いを覚え、マキシムは友情が壊れることに恐れを感じているから、気持ちを表に出せないんですから。
その点、しょっぱなから自分の気持ちを伝えて相手と関係を持とうとする『窮鼠はチーズの夢を見る』とは正反対ですよね。
でも、一度芽生えた気持ちは消すことはできないんですよ。あらからさまな態度には出さないものの、いっしょにいるときは常に相手を目で追っているし、いっしょにいなくても両者共に心ここにあらず状態。でも、その演出や演技がいいんですよ。片想いしたことある人ならわかるはずです。確かに気持ちはあるのに、それを外に出せないときのあのもどかしさ、でも、目で追ったり、相手のことを考えて何も手につかなくなったりっていうあの感じ。懐かしいですよね。
そうやって溜めて溜めて溜めまくって、ついにその想いが交差したときの二人の行動はもはや食事に近いものがありました。顔食ってるよって。寄生獣かなって。
『窮鼠はチーズの夢を見る』を"動"とするなら、こちらは"静"です。なので、ちょっと淡々としているというか、あまり極端にドラマチックなシーンがたくさんあるわけではないので、人によってはやや退屈に感じるかもしれません。
けれど、自分の気持ちを隠しながらも隠し切れない二人の演技はとてもよかったと思います。同性愛モノは僕には共感はできないのですが、これもまた性別を超えて、禁じられた恋に悩む人間の様子がよく表れていたと思います。
これもまた、男女で意見が分かれそうですね。