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愛すべき組織を失った男の苦渋の決断『シチリアーノ 裏切りの美学』
【基本情報】
原題:Il traditore
英題:The Traitor
製作年:2019年
製作国:イタリア・フランス・ブラジル・ドイツ合作
配給:アルバトロス・フィルム、クロックワークス
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:123/126
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★☆☆☆
【あらすじ】
1980年代初頭、シチリアは麻薬取引が盛んで、マフィアもパレルモ派とコレルオーネ派の二大勢力の抗争が激化していた。
パレルモ派の大物トンマーゾ・ブシェッタ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)は抗争の仲裁に失敗してブラジルに逃れるものの、残された家族や仲間たちはコルレオーネ派によって次々と殺されていった。
ブラジルで逮捕されイタリアに引き渡されたブシェッタは、マフィア撲滅に執念を燃やす判事のファルコーネ(ファウスト・ルッソ・アレシ)から捜査への協力を求められる。
麻薬と殺人に明け暮れて堕落してしまった組織コーザ・ノストラに失望していたブシェッタは、ファルコーネに組織の情報を渡すことを決意するが、それはコーザ・ノストラの ”血の掟” に背く行為だった。
【感想】
惜しい、惜しい映画でした。。。『ゴッドファーザー』以降、マフィア映画ってそんなに観ないので、ちょっと楽しみにしていたんですが、、、うーん、残念というのが正直なところです。
これ、実話を元にしていて、要は“血の掟”を破ってペラペラ組織のことを話したために、マフィアの悪事がバレる大スキャンダルなんたですが、とにかく長くてだれるんですよ(笑)
命よりも大事そうな掟を破るぐらいですからね、設定としては面白くなりそうなのに、登場人物が多く誰が誰やらわかりづらいのと、クライマックスのような盛り上がりがない中、2時間半という長丁場はけっこう辛いです。
ちなみに、作中での描写はないものの、この“血の掟”っていうのは映画ではよく見かけるもので、お互いに親指を針で指して血を出し、それをくっつけるっていうやつです。組織について一切口外しないっていう誓いですね。
ブシェッタは捕まった後に警察から拷問を受けるんですが、これがもう非人道的極まりないやり方で。殴る蹴るは当たり前なんですが、中には実の娘をヘリから落とす直前までやるっていう自分以外の身内も危険にさらされるっていう、それこそマフィアがやりそうなことを警察がするんですよ。それでも彼は口は割りませんでした。
なお、実際にも彼は何回か捕まっていて、その際に睾丸や肛門に電気ショックを与えられたり、爪を剥がされたりといったような考えただけでも痛々しい仕打ちを受けているんですが、組織について口にすることはなかったそうです。
そんな拷問にも耐えたのに、ファルコーネ判事と出会ってからはいともあっさり組織の内情を話してしまうのが、、、「???」って感じです。彼としては、「今の組織はやりたい放題で堕落してしまった」ことに幻滅し、密告することを決意するのですが、ここがだいぶあっさり描かれてしまっているんですよ。あの"血の掟"を破る決定的な瞬間なので、もう少し盛り上がるように見せてもいいと思うんですけどね。。。
あと、面白いなと思ったのが裁判シーン。ブシェッタの密告でいろんなマフィアが法廷に来るんですが、ヤジは飛ばすし、服は脱ぐし、トランプで遊ぶし、かなり自由で、実際にもこんな裁判だったかと思うと、裁判長の気苦労が垣間見えます(笑)
でも、全体を通して感じたことは、マフィア映画だけど『ゴッドファーザー』のような重厚感はなく、法廷モノだけど盛り上がるようなところもなく、かなり物足りなさの残る映画でした。
まあ、実話を元にしている映画って、けっこう淡々と進む作品が多いので、こんなものなのかもしれませんが。。。
実話ベースってことで出てくるマフィアは実在している人も多く、ウィキペディアがページが立ってる人もいるので、それを見るのはちょっと楽しいです(笑)主人公のブシェッタとか死んだばーちゃんと同い年でした。