『インセプション』っぽさを醸し出しておいて、実際は切ないラブストーリー風だった『レミニセンス』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:60/194
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆
【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
サスペンス
ラブストーリー
記憶潜入
【あらすじ】
都市が海に沈み、水に支配された世界で、《記憶潜入エージェント》として暗躍するニック(ヒュー・ジャックマン)に、検察から仕事が舞い込む。
新興勢力のギャング組織の男が瀕死の姿で発見されたため、その男の記憶に潜入し、ギャングの正体と目的を掴めという依頼だ。
記憶から映し出される事件のカギを握る謎の女性メイ(レベッカ・ファーガソン)を追って、多くの人々の記憶潜入<レミニセンス>を試みるニック。
膨大な記憶と映像に翻弄される彼は、やがて予測もしなかった陰謀へと巻き込まれていく――。
【感想】
僕は面白いと思ったんですが、世間の評価は意外と低いんですよねー、これ。まあ理由はわかりますけど(笑)
<ミスリードすぎた予告編>
本作は製作がジョナサン・ノーラン(クリストファー・ノーランの弟で彼の作品の多くの脚本を担当)で、「記憶潜入」という設定なんですよ。まるで夢の中へダイブする『インセプション』(2010)を彷彿とさせますよね。予告自体もそんな雰囲気出てますし(ちなみに、『インセプション』の脚本はクリストファー・ノーラン自身が書いてます)。
ところが、蓋を開けてみると、そういう感じではまったくないんですよ。最後まで観て思ったのは、「これサスペンスというよりラブストーリー寄りだな」って(笑)
ちょっと“ノーラン”と“記憶潜入”ってのを押し出しすぎてる感は否めませんでした。人は食いつくでしょうけど、観終わった後の評価を悪くするだけな気もします。なので、結論から言ってしまうと、クリストファー・ノーラン好きにはハマらないかもしれません。。。
<サスペンス調のラブストーリー>
ニックは事件を追う中で、メイという女性に惚れちゃいます。ある日急にメイが姿を消すもんだから、ニックはいろんな人の記憶をたどって彼女を探します。もうこの時点で、ミッション遂行というより、愛する人への執着しかないんですが。。。で、実はその裏には隠された真実があった、、、!的なね。サスペンスっちゃサスペンスですけど、愛した女に執着するストーカーっぽさも感じます。
<思ったよりもSF感が薄い>
やっぱり『インセプション』(2010)のイメージが強くなっちゃうんですが、「記憶潜入」っていうと、あたかも人の深層意識に入り込むようなイメージが浮かびませんか?ちょっとネタバレになっちゃうんですけど、実際は人の記憶を映像として再生するだけなんですよねー。別にニックが人の記憶に入り込むわけでもないし、記憶をいじれるわけでもないんです。案外普通だなって。記憶を再生するだけだから、言ってみれば、警察の事情聴取をより正確により便利にしただけで、本質的にはそんなぶっ飛んだ設定でもないんですけど。
その装置自体は憧れますけどね。自分の記憶が映像化されて、それを記録メディアに保存できますから。まあ、記憶再生中にそれをニックたちに見られてしまう恥ずかしさはあるんですけど(笑)
<SFサスペンスよりもラブストーリーとして観るとアリかも>
ただ、この映画はそういうバリバリのSFとかサスペンスとかを期待して観るよりは、近未来的なサスペンス要素のあるラブストーリーとして観れば、けっこう楽しめるんじゃないかと思いました。
この映画の一番よかったのはラストですかね。賛否両論ありそうですが、よくいろんな物語で選ばせられる二択のうち、“普通は選ばない方”を選んだ感じがします。そこはちょっとびっくりでしたけど。
<その他>
水没した都市の映像はよかったですねー。RPG感あって。ただ、本編の流れとはあまり関係ない気がしましたけど(笑)何にせよ、「常識を覆すようなSFサスペンス!」みたいなことは思わないで観た方がいいかなと(笑)