父への赦し『ハニーボーイ』
【基本情報】
原題:Honey Boy
製作年:2019年
製作国:アメリカ
配給:ギャガ
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:87/107
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
若くしてハリウッドのトップスターとなったオーティス(ルーカス・ヘッジズ)は、仕事に忙殺されるストレスからアルコールに溺れるようになっていた。
2005年のある夜、泥酔して車を運転し事故を起こした彼は更生施設へ送られる。そこでPTSDの兆候があると診断されて驚くオーティス。
原因を突き止めるため、今までの思い出をノートに書くようにと言われたオーティスは、過去の記憶を辿り始める。真っ先に思い浮かぶのは父のこと。
10年前の1995年、子役として活躍する12歳のオーティス(ノア・ジュプ)は、前科者で無職のステージパパ(マネージャー的存在として子どもの芸能活動に付き添う父親)であるジェームズ(シャイア・ラブーフ)に振り回される日々を送っていた。
そんなオーティスを心配してくれる保護観察員や癒しの存在である隣人の少女と交流しながら、オーティスは自分が一家の家計を支えている状況と感情的な父親の存在の間で揺れ動く。
【感想】
これ、シャイア・ラブーフの自伝的映画なんですね。彼の父親がこんな毒親だったとは初めて知りました。そんな幼い頃から芸能活動していたことも。
オーティスがPTSDになったのは幼少期の父親の影響であることに間違いはないでしょう。すでにハリウッドでトップスターとなった彼の稼ぎは一家を支えるまでになり、父親もそれを当てにする状況。独立することは十分に可能だったのに、それをしなかったのは、きっとまだ12歳の子供だったから。親の愛情が欲しかったのだと推測できます。
すでに母親も離婚していたし、彼が頼れる大人は父親しかいなかったんですよね。感情的で暴力も辞さない父親は、まさにクズと言っても過言ではないけれど、それでもオーティスにとってはたった一人の肉親。オーティスが妄想の中で父親に「寂しい」と口にしたことに、幼い少年の本音が出ていたと思います。
まあ、仮に独立しようにも12歳でできることは限られていますよね。それこそ、保護観察官など別の大人の手助けも必要でしょうし、何よりも親の同意がいると思うので、物理的にも離れることは難しかったかもしれません。
しかし、この映画のテーマは「赦し」なんじゃないかと僕は感じています。PTSDにまで追い込んだ父親だから、当然憎むべき部分もあると思いますし、現にシャイア・ラブーフは本作の製作をきっかけに、6~7年絶縁状態であった父親と話をしたのだそう。
それでいて、その父親をシャイア・ラブーフ自身が演じるわけですから、仕事として割り切ったところもあったにせよ、絶縁状態にあった父親を自ら演じるのであれば、ある程度の気持ちの整理や受け入れることも必要たでしょう。そういう意味では、この映画はシャイア・ラブーフにとっても何か一区切りつけたという見方もできます。
とはいえ、映画として面白かったかというとそれはまた別(笑)セリフが何について話をしているのかわかりづらいところが多くてですね。。。僕の読解力の足りなさのせいかもしれませんが、けっこう雰囲気で見ていたところもあったので、個人的な面白さとしては下の方でした。
でも、Rotten Tomatoesの評価高いんですよね。批評家も一般の観客も。向こうの人はハリウッドで子役から活躍している子の親は毒親っていうことに共感しやすかったりするのかもしれません。
それにしても、今年は毒親映画が多いですね。
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