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記憶と想像と幻想


翌日も、窓から見える景色は
一切の色が消えてしまったように
暗かった


かつて、朝寝坊ばかりしていた
わたしがこんな時間に目が覚めるなんて


あと、1時間寝たら
よく寝た気がしたかもしれないなぁ…


そんなことを考えながら
昨日食べたメンチカツサンドがこみあげてきた

今までの食欲が嘘のように
何も喉を通らなくなってしまったけど


誰かと一緒なら
限界を超えるまで、食べることができた


こんな時だから、
普段食べ慣れない重いものを
欲張ってたくさん食べた


最期を惜しむように
代わる代わる、人がきてくれた


もしかしたら愛犬が呼んでくれたのかもしれない
と意味づけさえしてみる


もう、動くことのできないからだ


こんなにも
ふわふわで柔らかいなんて
生きてるんじゃないかって
勘違いしちゃいそう


こうゆう感じだったっけ
と、十年以上も前の
記憶と照らし合わせてみる


それとも、人間と犬とじゃ
死後硬直に違いがあるのかな


記憶や想像なんて全くもって
不確かなことを知らしめさせられる


でも、記憶のおかげで
あの時、あの後、前を向いて
歩くことができた
過去を思い出させてくれる


そして、想像のおかげで
いつでも、あの時に帰ることができる


これが不確かでもいい


今は、とにかくいちばん
綺麗なものを見せてほしかった

そうじゃないと
どっちを向いていいかが
わからなかったから


いずれ
美化し過ぎたイメージが
記憶に定着して、平気な風を装って
それを人に話すのだろうか


美化もしない
そして、リアル過ぎない
ただ、ありのままを記憶してほしい



この願いは、決して
薄っぺらいものじゃないはずなのに

今日のことはまったく忘れちゃって
他の出来事の記憶にすり替えられる


思い出すのはつらい時か
または
何気ない時なのか…


わたしには、わからない


自分なんてものは
全く、わからないと思った



ふと、ふたたび触った
愛犬の体は少し硬い



ほら、もう
ほんの少し前のことなんて
覚えていやしない


それを「こうゆうものだった。」
と言葉でひとくくりになんかできない


そこには、あふれるほどの愛しい想いがあって、今までの数えきれない感謝があって、これからくる未来に希望があるという勘違いを、切望している気持ちがたった一言で表されるなんて



到底ごめんだった



そんな想いが曖昧になってしまうなんて
人生をかけたごまかしじゃないか
と自分の記憶力と想像力に絶望する



でも、そんなものは
アイマイになってしまって
ほしいという願いも
たしかに、ある



わたしたちはそんな
記憶と想像に振り回されて
生きている


あの時、ああしなきゃよかった

明日くる未来が不安だ



どうかその幻想にやさしく、気づかせてほしい

そして人生は輝かしいものだと、教えてほしい



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