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あなたは、透明な場所へ


夢をみた



魚釣りをする夢だった





突然、おじいさんから声をかけられて
「この魚を釣ってみな。」
って写真を見せてくれた



見たことのない魚だった


「ここにいるのは、
小さいからもっと大きい魚だ。
これを持ってここより
深いところに行ってみな。」
と、おじいさんは言った


そして、手に持っていた
釣り竿をそのまま貸してくれた


周りにいた人たちは
川に入って、魚を釣っている



わたしは、パジャマだったし
替えの洋服がなかったから
戸惑ってしまったけれど


はいていたズボンに
水が染み込む重さを感じながら
そぉっと、入ってみたら
不思議と冷たくなかった

その綺麗で透明な場所を
真っすぐ、進んでいくと
広がる海へ繋がる気がした……


川の流れに沿って
歩いていくことが
ただ、ただ、心地よかったのに


瞬きをして目を開けた次の瞬間には
自分のベッドの上にいた

今日は、久しぶりにぐっすりと眠ることができた

窓の外から、かすかに車の走る音が聞こえる…


この辺りは朝方になると
静かなんだなぁ。と思った



耳をすましてみても
愛犬の心臓の音は聴こえなかった


わたしのアタマの中も
シーーーンとしていて


そこにはひとつしか
思い浮かばなかった


安らかな眠りで
ほんとうによかった



「ほんとうに、よかった。」



愛犬は少し目を開けて
眠ることが多かった

笑っちゃうくらい
半目の時もあった


今のこの目は
どこをみるわけでもなく
まっすぐと夢の中を
泳いでいるような瞳だった


ふと、耳に視線をやった

いつもの赤い血色は見たことないくらい
真っ白になっていたことに気づいた


抱っこすると、重たい


ほんとうに重たい



今までこのカラダの中に
生命 いのちがあったことを
実感しながら、抱っこをする


まだ、ほんのりと温かく
さっきまでここにいたことがよくわかる


涙が止まらないのかと思った

だけど、涙が出てこないことに
現実を受け止められていないの? 
と自問する


なんか、そうではないみたい


命に「おわり」があることは知っていたし
わかっていたつもりだった


だからびっくりしなかった



安らかに眠るように旅立ってほしい。



その想いが、具現化されたと知り
目から一粒だけこぼれた





この状況が現実か、わからなかった


人間だったらお医者さんが
「ご臨終です。」って言ってくれるけれど
誰も、何も言ってくれないんだもん


でも、ただ、
触った身体が
冷たいから


そうゆうことを
察することしかできない


目の前にいる顔が
笑顔のように見えた



犬って笑うのかなぁ



笑っているように見えるから
笑ってるんだと思うようにした



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