No. 1 "生きるということは徐々に生まれることである。" サンテグジュペリ
日常を生きる中で、たまに思い出すこの名言。
これは、私の高校入試時の小論文の課題だ。
私の中学生時代はもう15年程前のことだが、当時は哲学の授業が必修で、純粋な興味を持って学んでいたことを覚えている。その中でも、哲学の教科書に掲載されていた日野原重明さんの”壺を満たす”というようなテーマに沿った文章が、いまだに忘れられずに強く心に残っている。(残念ながら、正確なタイトルを覚えていない。)
15歳になりたての私は、”生きるということは徐々に生まれること”とは、はじめはまっさらな何もない空っぽの壺を、瞬間という時間を重ね歳を重ねていく中で物理的にも精神的にも多くの経験を積むことで、その人の人生そのものを360度全方向から満たしていくことだ、と考えた。
12年経った今も、そう思う。そして、そう生き続けたいと思っている。
若さは確かに武器である。世の中、若さがもてはやされることは多く、それだけでステータスになるとも言える。だけれど、今日という日は今までの人生で最も歳をとっていると同時に、最も若い日でもあると言える。人生の中で、今、というタイミングをどのように捉えるか次第で、その人の生き様や思考や意志力はいかようにも変わり得る。そこに年齢は関係ない。
人生は加算式で生きていくのだ。
生まれた時は無限の可能性を秘めたゼロ。真っ白なキャンバスは何色にも変化し得り、時を経るだけ多彩な色の重ね方をしていくことだろう。そうして最後に生涯を閉じる時は、その"壺"が溢れた時であり、またキャンバスが彩り豊かに一つの作品として完成した時だと思っている。
どう"今"を生きていくか。人生は"今"の連続だ。
人間の生涯は、その"今"の集積による、一つの大きな芸術作品であると言えるのではなかろうか。時を経るとともに常に進化し続け、味のある人間になっていきたい、と思う日々である。