JIMTOF 2020 Onlineから見る機械トレンド(研削盤、歯車加工機、放電加工機編)
こんにちは。前回からの続きで、JIMTOF 2020 Onlineからみるトレンドをあまとめたいと思います。今回は研削盤と歯車加工機、その他のトレンドをまとめました。
1. 研削盤のトレンド
・考察
研削盤トレンドは、圧倒的に機上測定と工程集約がメインでした。量産ラインのラインに入ることが多い円筒研削盤、センタレス研削盤はレーザー測定による検査工程の自動化・精度向上を掲げていました。
平面研削盤や工具研削盤、円筒研削盤の一部は、機上測定、工程集約が圧倒的に多かったです。これは多品種多工程のワークが多く、一つのワークを加工するために時間がかかるため、その間にかかる人手を減らすことが求められているためだと思いました。様々なワークに様々な工程が必要なため、サイクル短縮や自動化よりも人手を減らし、機械が連続運転することが求められています。
人手を減らすという面では、プログラムの自動作成も求められると思います。今回は岡本工作機械のみ出展していましたが、加工条件・プログラムの自動作成、自動補正も今後一般化されてくると思われます。
その他自動化に関しては、旋盤、マシニングと同じく、協働ロボットを使用した簡易な自動化パッケージが出展されていたことが印象的でした。
研削盤のトレンド
①機上測定 ワーク寸法を3次元的に機上で測定、自動で補正加工
岡本工作機械(平面研削盤 機上測定、補正)
黒田精工(平面研削盤 機上測定、補正)
光洋機械工業(センタレス研削盤 レーザー測定で寸法検査)
長島精工(平面研削盤 機上測定・自動補正、円筒研削盤のレーザー測定)
ナガセインテグレックス(平面研削盤 機上測定、補正)
アマダ(光学式プロファイル研削盤 投影機での機上測定)
牧野フライス精機(カメラでの工具寸法、形状自動測定、補正)
和井田製作所(インサート研削盤、ジグ研削盤 機上測定、補正)
②工程集約・複合化
岡本工作機械(円筒研削盤 プレーン、アングル、内面用の3種の砥石を搭載、自動旋回によりワンチャッキングでの加工が可能)
光洋機械工業(立型研削盤 平面、外径、内面、溝研削等様々な研削ユニットを搭載可能)
長島精工(円筒研削盤 旋削ぐらいの取りしろ、荒加工、仕上加工をワンチャッキングで可能)
三井ハイテック(多機能研削盤 ヘッドアタッチメント交換により様々な研削加工の集約が可能)
Follmer(ハイブリッド加工機 超硬工具研削と放電加工を一台で可能)
Studer(内径研削盤 内径入口のR形状、テーパー、端面、外径を一台で可能)
Ewag(レーザー加工機 高硬度工具のシャープエッジやプロファイルの加工をブランクから可能)
③自動化
住重ファインテック(円テーブル平面研削盤 協働ロボットの自動化オプション)
太陽工機(立型研削盤 ロボットの自動化)
トーヨーエイテック(立型複合研削盤 ロボットやパレチェンでの自動化)
三井ハイテック(AGVに協働ロボットを搭載したシステム、自社製ハンドで研削盤の位置決め精度を担保)
アマダ(光学式プロファイル研削盤 協働ロボット搭載のストッカー台車)
AMCA(協働ロボットを使用した様々な手作業の自動化、システムでの提案)
牧野フライス精機(工具研削盤 520本搭載可能なストッカーにパレチェンティーチングを自動化)
④ファインバブルクーラント(クーラントにファインバブルを混ぜて研磨粉を取りやすくする方法、近年オプションとして増加傾向)
黒田精工(平面研削盤)
住重ファインテック(ファインバブル発生装置)
ノリタケ(ファインバブル発生装置)
⑤省スペース化
セイコーインスツル(内面研削盤を従来と比べて省スペース化)
トーヨーエイテック(立型複合研削盤の加工室を広げた上で省スペース化)
ナガセインテグレックス(門型平面研削盤を省スペース化)
2. 歯車加工機のトレンド
様々な歯車加工機がありますが、多かったのはやはり近年市場に流通してきたスカイビング加工による工程集約化です。旋盤やマシンングでの例も多く出てきており、専用機の出展も前回のJIMTOFより少し増えたのではないかと思います。
その他、外資系企業に多かったのが、歯車加工全体ソリューションの提供でした。様々な歯車の加工ノウハウや設備、自動生産ノウハウをソリューション提案ができることを展示していました。
①スカイビング加工機(歯車加工のスカイビング加工化及び多工程との工程集約)
カシフジ(スカイビング盤 小型減速機用歯車の高速加工。自動歯合わせ機能による焼入れ後のハードスカイビング加工も可能)
唐津プレシジョン(ギアスカイビングマシン ハードスカイビング加工 歯合わせ装置、焼入れ後の内歯車の歯面仕上げ、歯筋矯正を行うことが可能。)
ジェイテクト(スカイビングセンタ 旋削や穴あけまでを1台で可能)
不二越(ギアスカイビングセンタ 従来より省スペース化)
マザック(ギア加工用複合加工機 対話式プログラムにて簡単にギア、ホブ、エンドミルなどの加工が1台で可能)
リーブヘル(スカイビング機 ATC12本搭載可。様々な工程集約可能)
②ソリューション
グリーソンアジア(ワークに応じたソリューション提案。eDRIVE、トランスミッション、ベベルギア、ラック等を対象に提案。様々な工程を測定することにより、eDRIVEの静音性を保つ歯車の加工が可能等)
ライスファー(プロセスモニタリングシステム 様々な工程を詳細に測定、見える化、データ保存することで、分析、予知保全、トレサビが可能)
その他
カシフジ(量産特化の専用機)、神崎高級工機(自動化、高速加工化)
3. ワイヤ・放電加工、微細加工機のトレンド
三菱電機では、型彫放電加工機で、放電パルスから加工の安定度を見極め、リアルタイムに加工制御へフィードバックを行うAI制御装置が搭載されていました。さらに自動化提案をしている会社がエレニックス、西部電機、ソディック、段替えレス化がソディック、工程集約がアステック、測定の自動化がソディックとこちらも人手が離れて連続加工ができることが求められているようでした。
旋盤やマシンングよりも多品種・多工程が多いこれらの機械は、人手を減らす、そのためのソフト(測定やプログラム作成)の自動化といったところが今後も求められていくのではないかと思いました。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。