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だからダメなんだ

先日、自民党総裁選に出馬表明している河野太郎デジタル大臣の発言が話題になった。
「解雇規制の緩和」だ。
これに対して、立憲民主党の代表選に立候補している枝野幸男が噛み付いていた。
「そんなことをしなくても、労働者はいつでも辞められる。辞めるのは自由だ」

当たり前だ。
労働者が辞めるのは自由に決まっている。
そりゃ、多少、引き止められたり、時期の調整をお願いされたり、
「せめて次の人が決まるまでは、なんとさー」
と頭を下げられたり、そんなことはあるだろう。
しかし、基本的に辞めるのは自由だ。
論点はそこじゃない。
そこじゃないところに噛み付くのは、これまでの野党にお馴染みのお粗末な姿勢だ。

河野氏の発言の趣旨は、突き詰めれば「雇用の流動性を高めるため」だ。
つまり、今は労働者はいつでも辞められるが、企業はいつでも辞めさせられない。
だから、新しい人材を雇用するにも躊躇してしまう。
それを、労働者はいつでも辞められる、企業はいつでも解雇できるから、躊躇せずに新しい人材を採用できる、労働者もすぐに新しい仕事に就ける、企業はあえて正規非正規と分ける必要もなくなる、そんな流れを作ろうと言うものだろう。

そんなにうまく行くかどうかは別にして、枝野氏が反対するのなら、このどこかに反対をしなければならない。
そもそも、雇用の流動性を高める必要があるのか。
企業は解雇した後に、本当に新しい人材を積極的に採用するのか。
企業は解雇する際に、正当な理由によるのか。
簡易こされた労働者の生活の保障はどうするのか。
正規非正規の格差は本当になくなるのか。

それなのに、大声で「労働者は今でも、自由にやめられるのです」
うーん、なんだかなあ。

僕自身は、これだけ終身雇用が否定されているのなら、いずれは解雇規制の検討もやむを得ないだろうとは思っている。
ただ、それが今なのかどうかは難しい。
終身雇用、年功序列を完全に廃止して、能力だけによって全てが評価される社会の厳しさを国民がどれだけ理解して、受け入れられるのか。
まだ、しばらく時間がかかるような気もする。

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