見出し画像

有名声優もオーディションを受け続けているって、ほんと?

就職活動・転職活動で数十社と面接を受けるのも大変だなぁとは思うのですが、声優さん方はもっと、受け続け、落ち続けるオーディションの日々を送られているので、それに比べればなんてことないかも…と思わずにはいられません。

声優キャスティングに関わらせていただく中で「なんて大変なお仕事なんだ…」と思った点を書いていきたいと思います。

そして、その大変な仕事を80代・90代まで続けている方々もいらっしゃるので、この記事を読むとご活躍されている声優さんに対して、さらに尊敬の念が増すと思います。

声優さんの仕事のハードさ、体力おばけさを書いておきたいと思います。

終わりなきオーディションの日々

声優の世界で成功し続けるためには、まず大きな壁を乗り越えなければなりません。それは、オーディションです。

第一の【所属オーディション】

第1のオーディションは養成所所属・事務所所属のオーディションです。
多くの声優志望者は、オーディションを受け続けます。
ここで合格しなかった場合、フリーランスの声優になったり、VTuberに転向したり、最近は働き方もいろいろですが、一般的に事務所所属のプロ声優になるにはこのオーディションを皆さん受けているはずです。

第二の【デビューオーディション】

第2のオーディションはデビューオーディションです。
アマチュアから華々しいアニメ化デビューが決定しているオーディションもあれば、事務所所属者やフリーで活動を始めた方がデビュー役をつかむためのオーディションなどあります。
とにかく最初のデビュー作にたどり着くのは、大変そうです。

第三の【役獲得オーディション】

第3のオーディションは役獲得オーディションです。
アプリゲーム等では指名オファーの案件もあります。と言いますのも、先にクライアント様の配役希望や予算と調整し、依頼する声優さんを決定したのち、音響制作会社などからオファーするという流れもあるため、実質気づかぬうちにボイスサンプルオーディションが開催されている状況ですが、こちらは声優さん方にはオファーという形で届きます。

しかし、アニメやビッグプロジェクトのコンテンツでは、ほとんどの声優さんがオーディションを受け続け、役を獲得しているようです。
指名オファーされる作品やキャラクターもあるとは思いますが、超有名声優さんでもオーディションを受け、落ちることのほうが多いようです。

一般人で言えば、何十年も転職活動の面接を受け続けていくようなものです。転職活動なら1度就職先が決まれば、次々に受けなくてもよくなりますが、声優のオーディションは次々と役を勝ち取らないといけないので、声優業をやっていく限りオーディションがほぼ一生続くと考えていいのではないでしょうか。
精神的にも肉体的にも非常に厳しいものではないでしょうか。

不規則な勤務形態と場所

声優さんの仕事は、一般的な会社員とは異なる勤務形態を持っています。
主には【10:00~15:00】と【16:00~21:00】の枠で予定を組んでいるようなのですが、定まった勤務地や時間というものがなく、仕事の内容によって日々変化します。
1日に収録を複数案件こなして、そのたびに移動しているような方も多くいます。

アニメ以外の多様な仕事

アニメ・映画吹替・ゲーム等の収録、ナレーション収録、ラジオ番組収録、イベント出演、アーティスト活動、リハーサルなど、仕事の種類も多岐にわたります。
加えて社長業をされている方もいるので、本当にすごいと思います。
そして上記のオーディションも受けに行かなければいきません。
そのため、一日のうちに複数の場所を移動することも珍しくありません。

東京のスタジオでアニメの収録をし、その足で翌日の大阪のイベント会場に向かう。翌日は早朝からイベントで1日拘束、最終で東京に戻り…。

それぞれの仕事に求められるスキルや表現方法が異なるため、常に新しいことを学び、適応していく必要もあります。
人気声優さんならこのような慌ただしいスケジュールが日常なのです。
凄すぎます…。

マルチタレント化による自己研鑽も必要

近年、声優に求められる能力はますます多岐にわたっています。キャラクターの声を演じるだけでなく、歌唱力、ダンス、トーク力、さらにはルックスまでもが重視されるようになってきました。

「声優アーティスト」「声優アイドル」「声優ユニット」の台頭により、声優はステージに立ち、歌い、踊ることも求められます。また、テレビ・ネットなどのバラエティ番組への出演機会も増え、芸人顔負けのトーク力や面白さも必要とされるようになりました。

このマルチタレント化の流れは、声優の仕事の幅を広げる一方で、声優志望者にとっては新たな壁となっています。声の演技力だけでなく、総合的なエンターテイナーとしての才能も求められるようになったのです。

これらの多様なスキルを磨くために、声優さんたちは日々努力を重ねています。レッスンや練習に費やす時間は膨大で、プライベートの時間を削ってでも自己研鑽に励む声優も少なくありません。

厳しい体調管理の必要性

声優にとって、声は最も大切な武器です。そして信頼性にもかかわるため、体調管理は他の職業以上に重要となります。

風邪をひいて声が出なくなれば、仕事に支障をきたすだけでなく、代役を立てる必要が出てくるかもしれません。そうなれば、制作側など各所に迷惑をかけるだけでなく、自身のキャリアにも影響を及ぼす可能性があります。

そのため、声優たちは徹底した体調管理を行っています。上記のような多忙な生活の中で、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることは必須です。

また、声帯を酷使する仕事であるため、喉のケアも欠かせません。
収録の合間に耳鼻咽喉科の病院に行ったり、プロポリススプレーやのど飴などのケアグッズを常備している方もいます。

さらに、精神的なストレス管理も重要です。
厳しい競争や不規則な生活、常に人目にさらされるプレッシャーなど、声優の仕事にはストレスがつきものです。週刊誌が追いかけてくることもあります。このストレスやスケジュールをいかにコントロールするかも、長く声優仕事を続けていく上で重要なスキルとなります。

声優という職業に必要なもの

声優という仕事は、確かに大変です。
終わりなきオーディション、不規則な勤務、多岐にわたる仕事内容、マルチタレント化の要求、厳しい体調管理…。
これらの困難を乗り越えていくには、並々ならぬ努力と情熱が必要です。

しかし、だからこそ、声優という職業には独特の魅力があるのかもしれません。自分の声で物語に命を吹き込み、視聴者の心を動かすことができます。
そして、日本のアニメやゲームの人気から、世界中の方から名前を認知されている現状もあります。
そんな特別な体験ができる職業は、なかなかないでしょう。

英語圏のサイトでMy Anime Listというのがあるのですが、そのPeople項目の上位に名を連ねているのは声優さんが圧倒的に多いのです。

声優を目指す人、そして既に声優として活躍している人たちは、この仕事の厳しさを十分に理解した上で、それでもなおオーディションを受け続け、夢を追い続けています。
声優業がスタートすれば、憧れの声優さんみんなが仲間でもあり、役を奪い合うライバルにもなる世界です。

アニメファンの期待を裏切らず、長く現役で活躍されている方々には本当に尊敬しかございません。どうか皆様、体調を崩されませんように…!


いいなと思ったら応援しよう!