「ともに繋がる、学び合う」地方Webマーケ勉強会#1イベントレポート|ゲスト:HONE 代表 桜井貴斗氏
noteをご覧の皆様こんにちは!
アクシスCS部の丹羽です。
4月27日に株式会社アクシスで初の試みである「地方Webマーケ勉強会」を開催しました。
地方webマーケ勉強会とは…?
地方で日々頑張っているWebマーケターさんたちが
ともに繋がり、学び合うオンラインイベント
さて、そんな目的で始まった地方Webマーケ勉強会ですが、80名以上にも及ぶ多くの方々にご参加いただきました。
ご参加いただきありがとうございます!!
今回は第1回目のゲストとして、HONE代表 マーケター 桜井貴斗さんをお招きし、パネルディスカッション形式でお話をお伺いしました。
今回の勉強会のトピック
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桜井:この原因を考える場合、3つの視点があると思っていて、支援会社側は自社内において、Web集客が進んでいない。クライアント側では、Web集客をするための「オンライン化」や「デジタル化」が進んでいない。ユーザー側では、ユーザビリティーの部分で、オンラインとの接点ができていない状況。例えば、静岡市内にはUber Eatsがあるけれど、市外にはUber Eatsがありません。
私や瀬川さんのような支援会社側から見たときでは以下のことが考えられます。
「Web集客」の導入は、進んできている所感を持っているが、②の導入後にクライアント側において「Web集客」が上手く機能していない点に問題意識を持っています。
①施策がそもそも間違っている
単純に施策自体に誤りがある状態。
②組織内の課題施策そのものが組織に浸透していない。
組織内の課題施策そのものが組織に浸透しておらず、組織エラーによってその施策が完遂できない状況。例えば、組織内で「この施策でやっていこう」と進めていたが、「成果が出ていないから」とトップダウンで施策が急に打ち切られてしまうケース。
③商品・サービスのクオリティー
オンライン化に伴い、それまでの商圏が取り払われたが、商品・サービスの勝負になると、やはり全国メーカーが強い。まだ、改善の余地を残している地方の商品・サービスは、最終の一手で勝負に負けてしまう。(価格優位性、パッケージのクオリティ、注文後の配送スピード)
Webは情報を届けたり、効率的に整えることはできるが、効率化や最適化には限度があります。Webを使って最適化を図れば、コンバージョンは取れるかもしれないが、最終的なところは人だったり、商品・サービスになるからです。
最近だとBASEやSTORESのような簡易的なサービスを使ったり、Shopifyなどのある程度カスタマイズしながらECサイトができるサービスに触れることで、より如実に商品やサービスに改善余地があることに気づいてしまった。…というの点もある気がします。
「現物」を見たいと思わせる機会を「Webで作る」
桜井:それで言うと、最近「ネットスーパーの浸透率がめちゃくちゃ低い」というニュースを見たんですね。女性ユーザーにとっては、お店へ行き、購入した重い荷物を持たなくてもいいので、便利で選ばれるはずなんです。
そこには食材の大きさ、太さ、質の違いを気にしたり、食材は口に入れるものであるからこそ「自分の目で選びたい」「現物を見たい」という欲求があるとすると、Web集客が出来るジャンルと、そうでないものの境目が存在しているのではないかと思います。
桜井:まさにECサイトと実店舗を運営している場合だと、カスタマージャーニーがかなり乱れていることがあります。
ユーザーは、ECサイトと実店舗を行き来しているので、単価が安いものはECでコンバージョンが起きやすい傾向にあったり、逆に単価が高いものは実店舗でコンバージョンするケースもあります。そのECサイトと実店舗の間には必ず「現物を見たい」という欲求はあると思います。
なので、いかに「現物を見たい」と思ってもらえるような機会をWebで作るかが重要になります。ブランドを作っていく企業であれば、ただ「安い」「早い」というような価値だけでWeb集客は使えません。
どのようにしてそのブランドの世界観を店舗の世界観と同じようにWeb上で表現するかが特にO2O(オンライン・ツー・オフライン)では重要ですね。
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桜井:マーケティングの原理原則として、WHO・WHAT・HOW(誰に・何を・どのように届けるか)がありますが、この考え方は必ずしもマーケティングだけに言えることではないと考えています。
例えば、営業であれば誰をターゲットにして、自分たちが売る商品の価値とは何なのか、それを誰に届けるのかに置き換える事が出来ます。これは、商品開発やデザイナー、ライターも同じです。この「WHO・WHAT・HOW」の考え方は、ビジネスをする上で必修科目であり、全員が扱えるようにならなければ商売として上手くいかないのではないかと思います。
刀のマーケティングブートキャンプに参加した際に、「マーケティングのフレームワークで最適解は導けない」とよく言われました。フレームワークとは、何かを決めるときの道すじとなるもので、利害関係者の思考を整理したり、言葉の齟齬をなくすことを目的とします。
これをマーケティング思考で当てはめて考えると、WHO・WHAT・HOWは同じことが言えるのではないかと考えていて、思考が入っていると議論がスマートになります。
桜井:コミュニケーションコストが圧倒的に少なくなりますね。私が一緒に取り組んでいる企業さんだと、「他社がこんなことをやっていますよ」と共有すると、「自社ではこんなことができるよね!」と他社の事例を自社のWHO・WHAT・HOWに置き換えて考える事ができるようになります。今流行っているからと言って、自社のターゲットと異なる施策に取り組むなど、突拍子もない思い付きがなくなります。
あと、これはあくまで私の偏見なんですが、営業の方はアクションが非常に早いのでタスクを立てたがるんですよね。良いことなんですが、「タスク=HOW」なのでWHOとWHATが抜け落ちてしまっている事があります。「足りないならやるしかないよね!」という考え方は、正しいとは思いますが物理的に難しい場合が多いです。
そこで、タスクをWHO・WHATへ昇華させることで優先順位が付けられ、タスクに埋もれてしまうことも少なくなるのではないかと思います。
桜井:基本的には、Objective(目的)・WHO(誰に)・WHAT(何を)・HOW(どのように届ける)の4連になっています。なので、まずは目的を言語化するところから作り始めますね。
組織が横断している企業だと、「部署の売上目標が目的」になってしまっていて目的と目標が差し変わってしまっていることもあります。あとは、社長は強い目的(大義)をもってやっているが、社員の人たちはその大義に付いていけていないケースもあると思います。
桜井:例えば、「その地域でシェアNO.1を獲る」だったり、就職系の企業であれば「これまで就活の常識を変えていく」「就活を楽しいと思えるような価値を醸成していく」というような、ある意味スローガンに近しいものを目的とするのが良いと思います。企業に目的がないのではなく、ただ言語化されていなかったり、個々がバラバラに認識している場合が多いのではないでしょうか。
桜井:マーケティングをそもそもどう身に付けるのか論に近いものがあるな、と思っていますが、やはり実践学だと思います。
ただ、実践学が強すぎると自身の成功体験=マーケティングとなってしまう恐れもあるので、1つの事業会社としてなら、業界の勝ちパターンとしては良いかもしれませんが、支援会社の場合は当てはまらないケースも出てきます。
なので、まずはWHO・WHAT・HOWで思考の流れを整理します。例えば、そのHOWは果たしてほんとに良いのか?という議論にもなります。このマーケティング思考はあくまで主観的なものなので、市場の視点から競合との差別化ポイントなども見ていく必要があります。
桜井:私は実践かな、と思っていますがフレームワークには、SWOT・PEST・3C・4Pなど様々な種類がありますが、戦略の部分ではすごく突き詰めた3Cでいいんじゃないかと思っています。
なぜなら、これ以上にMECE(もれなく・ダブりなく)の関係はないからです。なので、まずは3Cのフレームワークに沿ってやってみて、それでも腑に落ちない場合は他のフレームワークを使ってみることが良いと思います。
事業理解に大切なことは「顧客になりきる」こと
桜井:支援会社側がクライアントの事業理解をどこまで出来るかだと思いますね。クライアントのお店にどんな人が来ていて、どんな商品が売れていて、何に価値を感じてお店に来てくれているのかを理解していなければ、いくらWebマーケティングの手法を知っていても上手くいかない気がしますね。
桜井:私は、顧客のインサイトや欲求をピンポイントで見つけられるタイプではないので、現場に行って地道に商品・サービスを見たり、来店しているお客さんを見ますね。現場を見なければ、頭の中の解像度は上がりませんし、ただ自分が納得したいだけなのかもしれませんが。(笑)
桜井:そうですね。GAだけのデモグラフィックだけ見ても上手くいかないのと一緒ですね。
先ほどのO2Oの話でもありましたが、オンラインでは20代の女性がサイトへ来ていても、実店舗では40代の女性が多いケースもあります。GAはあくまでサイトを訪れた人なので、20代と比べてオンラインにあまり接点がない40代~50代の方を見落とすことになります。
WebデータやWebアンケートから推察されるペルソナを設定するのは危険な感じがするので、オンラインとオフラインをミックスさせて考えたほうがいいです。
桜井:「顧客になりきる」というのは結構大事で、50代女性をターゲットとした商品・サービスであった場合、自分自身は30代の男性の行動を取るんですけど、50代の女性に成りきったときに「その行動を果たして取るだろうか?」とかを考えます。
私の母がドコモのスマホを使っているんですが、困ったときはドコモショップに聞きに行っているんですよ。その行動って自分だとしないので、そう考えると販売会社のデジタルへの信頼度はすごく高いんだなと感じましたし、まず困ったときに聞ける店舗がある安心感なんだなと。
そういうユーザーの気持ちになって考えたときに、どんな行動を取るんだろうっていうのに入り込むようにしていますね。
(敬称略)
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今回の地方Webマーケ勉強会の記念すべき第一回目には、HONEの桜井さんをゲストにお話を伺いました。
参加された皆さまにも、Twitterのハッシュタグ(#地方webマーケ勉強会)を介して色んな感想をいただき、勉強会の目的である「ともに繋がり」「学び合う」を深めることができたのではないでしょうか。
この地方Webマーケ勉強会は、今後も定期的に開催される予定です。
ぜひご興味のある方は、お気軽にご参加ください!
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