日銀の金融政策決定会合を受けて
昨日10月31日の日銀金融政策決定会合では、YCCの長期上限を、1%"めどに"という文言で若干の修正を行った。これに伴い、毎営業日の連続指し値オペを"適宜の国債買い入れ"に修正。また会見では、消費者物価の見通しについてアップサイドリスク(上振れリスク)について言及。展望レポートでは現消費者物価について、政府によるガソリン・電気・ガス代の負担緩和策の影響で、消費者物価の抑制に寄与したものの、輸入物価上昇がそれを上回る形で総じてプラスと説明し、リスク要因として地政学リスク、海外マーケットのボラティリティ上昇、資源・穀物価格上昇を挙げている。
今回の金融政策修正は、"緩和的側面"と"引き締め的側面"の両方を受け取ることができる非常に受け手によって解釈が変わるメッセージであると個人的には考える。私的には「今までと変わらずの緩和姿勢」に映るが、「かなり柔軟になりドル円や米国金利といったマーケットのボラティリティにしっかり寄り添った」という好評価もあろう。直後のマーケットではどのような反応があったのか見てみると、想像以上に失望の色が伺える。
円高に振れてもおかしくなかったドル円は、150円の節目を超えて円安が加速。日本10年金利は1%目前まで上昇。この背景にあるのは、やはり「米国の高すぎる金利水準」であると考える。この程度の修正では、海外マーケットの方が投資妙味が高く、日本債券市場に何も魅力を感じない。今後の日本長期金利は1%近辺をうろつくか、最悪0.5%辺りまで再度金利が下がってもおかしくない状況だ。ただ、今回の修正の判断が拙速だったのかと問われるとそうでもないと考える。対海外マーケットでは日本の債券市場は依然燻っているままであるが、日本国内の物価、雇用、経済成長などのファンダメンタルズには非常に忠実であると考える。植田総裁が学者出身ということもあるのか、非常に"教科書的な金融政策の運営"を行っているように感じるのは私だけではないはず。この教科書的な運営は、結果的には最適解なのではと感じる。
次回会合では、マイナス金利にも焦点が行く可能性がある。次回会合も楽しみだ。また明日明後日にはFOMCも控えており、注目が集まる。
以上。
p.s.日経のリークはあてにならない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?