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【アメリカ覇権の揺らぎⅡ】ソフトオンクライムと司法の機能不全

アメリカは、長年にわたり世界のリーダーとして法と秩序の象徴とされてきましたが、近年、国内での司法の機能不全が目立つようになってきています。

その中心には、犯罪に対して厳罰を避けるソフトオンクライム政策、窃盗罪の軽罪化、そして不法占拠に対する法的対応の遅れが挙げられます。

これらの問題は、国内の治安や秩序を揺るがし、ひいてはアメリカが国際的なリーダーシップを発揮する力にも影響を与えています。



1.ソフトオンクライム政策とジョージ・ソロスの影響


ソフトオンクライム政策とは?

ソフトオンクライム政策は、従来の厳しい刑罰を重視した刑事司法制度から、犯罪者のリハビリや社会復帰に重きを置く方向にシフトした政策です。

特に軽犯罪者や非暴力的犯罪者に対して、刑務所に収監するのではなく、社会奉仕やリハビリプログラムを提供し、再犯を防ぐことが目的とされています。

表向きの目標としては、刑務所の過密状態を緩和し、社会全体でより公正な処遇を実現することが掲げられています。

しかし、この政策が広く採用されている都市では、犯罪率の上昇が問題視されています。

刑罰の軽減により、犯罪者が迅速に釈放されるケースが増え、結果的に再犯のリスクが高まるという現実が浮き彫りになっています。

特に、窃盗や薬物関連の軽犯罪が増加し、治安の悪化が深刻な問題となっています。

例えば、カリフォルニア州では、軽犯罪の罰則が緩和された結果として、犯罪率が顕著に上昇したというデータも報告されています。

ここで注目されるのが、ジョージ・ソロスの影響です。ソロスは、リベラルな司法改革を支持し、特に地方検察官の選挙に対して多額の資金を提供しています。

ソロスの資金援助を受けた検察官たちは、軽犯罪者に対して厳しい刑罰を課すのではなく、代替的な処罰を推進する方針を掲げています。

例えば、保釈金の免除や社会奉仕活動の導入など、犯罪者が刑務所に収監される機会を減らす方向での改革が行われています。

特にカリフォルニアやニューヨークといった大都市では、ソロスが支援した検察官たちが選出され、軽犯罪に対する「寛容な」政策が採用されています。

しかし、こうした政策が結果的に治安の悪化を招き、再犯率が増加しているとの批判が高まっています。

軽い罰則で釈放された犯罪者が再び犯罪を犯すケースが多発しており、地域社会に不安が広がっているのが現状です。


ジョージ・ソロスの影響とは?

ジョージ・ソロスは、アメリカ国内でリベラルな政策を支持する政治活動家・投資家であり、彼の財団は特に刑事司法改革に力を入れています。

彼が支援するキャンペーンは、刑務所に対する依存を減らし、社会的に不平等な扱いを是正することを目的としています。

その一環として、地方検察官の選挙に多額の資金を提供し、リベラルな政策を推進する候補者を後押ししています​。

具体的な例としては、ソロスが資金援助を行った地方検察官の選挙運動により、カリフォルニア州サンフランシスコの地方検察官が当選し、保釈金制度の撤廃や、軽犯罪に対する刑罰の大幅な緩和が進められました。

しかし、これにより再犯率の増加や、特定地域での犯罪率上昇が顕著になったとの報告もあり、ソロスの影響に対する批判も強まっています。


2.窃盗罪の軽罪化 聖域都市は盗み放題?


カリフォルニア州では、2014年にプロポジション47が可決され、950ドル以下の窃盗や軽微な非暴力的犯罪が重罪から軽罪に引き下げられました。

この法改正は、刑務所の過密状態を緩和し、非暴力的な犯罪者に対する過度な処罰を避ける目的で導入されました。

しかし、期待された効果とは裏腹に、犯罪者が逮捕されても軽い罰で済むようになり、窃盗が増加するという現象が報告されています。


窃盗罪の軽罪化の具体的な影響

プロポジション47が施行された結果、950ドル以下の窃盗は重罪ではなく軽罪として扱われるため、刑罰が大幅に緩和されました。

この法改正によって、窃盗犯は逮捕されても罰金や軽い刑罰で済むことが多く、窃盗の抑止力が弱まったとの指摘がされています。

特に、店舗や商店がターゲットとなり、繰り返しの窃盗行為に対する警察の対応が追いつかなくなっている現状が浮き彫りになっています​。

さらに、この法改正の影響で、窃盗犯が刑罰を恐れずに大胆に犯行に及ぶ事例も増えており、一部の商店では窃盗が日常化しています。

ニュース報道によると、窃盗犯が何度も犯行を繰り返すケースが増え、企業や店舗は窃盗防止に多額の費用を費やさなければならない状況に追い込まれています。

また、店舗経営者はしばしば、警察に通報しても軽罪扱いのため対応が遅れ、犯人が釈放されることで再犯のリスクが高いと感じています。


聖域都市における状況

聖域都市(Sanctuary Cities)とは、移民に対して保護的な政策を取る都市であり、連邦移民当局と協力しないことで知られています。

しかし、聖域都市はしばしば犯罪者が捕まっても軽い処罰で済む場所としても批判されています。

このような都市では、窃盗罪の軽罪化に加えて、警察と移民当局の連携が限定されているため、犯罪者が不法移民であっても逮捕後すぐに釈放されることが多いです。

この結果、犯罪者が法の抜け穴を利用して再犯を繰り返すケースが報告されています​。


治安の悪化

プロポジション47の影響で、商店や企業が頻繁に窃盗被害に遭う状況が発生しており、地域全体の治安が悪化しているのは否定できません。

犯罪者が処罰を恐れずに犯行を繰り返すことで、地域社会における治安への不安感が広がり、店舗閉鎖や経済的損失が増加しています。

実際、カリフォルニア州では、窃盗被害の増加が警察の対応力を圧迫しているだけでなく、地域社会全体の安全を脅かしている状況にあります​。

このように、窃盗罪の軽罪化は、刑罰の軽減によって犯罪者の活動を容易にし、特に商業地域での窃盗被害を拡大させています。

また、聖域都市における司法制度の不備も問題を深刻化させており、社会全体の治安維持に大きな課題を残しています。


3.不法占拠と司法の対応の遅れ


不法占拠、いわゆるスコッティングの問題は、近年アメリカで急速に深刻化しています。

不法占拠者(スコッター)が他人の家や土地に無断で居住した場合、所有者が彼らを追い出すためには法的手続きを経る必要があり、その過程が非常に長引くことが多いのです。

さらに、一部の州ではスコッターが一定期間居住していると、居住者としての権利を主張できる場合もあり、これが問題をさらに複雑にしています。


ニューヨーク州の事例

ニューヨーク州では、不法占拠者が30日以上他人の家に住み続けると、彼らは「居住者としての権利」を主張できる法律の抜け穴があります。

これにより、家主がスコッターを追い出すためには、通常の賃貸トラブルと同じように法的な立ち退き手続きが必要となり、迅速に対処することが困難になっています​。

例えば、ニューヨーク市の事例では、ある家主が自分の家に戻ろうとした際にスコッターが居座り、家主がその占拠者を追い出すために数ヶ月以上も裁判を続けなければならなかったケースがあります。

この間、家主は自分の家に住めず、しかもスコッターが家の修繕を怠ったり、光熱費を使い続けたりして、金銭的な負担が大きくなっていました。


不法占拠者の権利と影響

スコッターの問題は、特に住宅不足不動産価格の上昇が問題となっている地域で顕著です。

ニューヨークやカリフォルニアなど、住宅需要が高く、物件が不足している地域では、空き家や未使用の物件が不法占拠のターゲットとなりやすい状況が続いています。

また、スコッターの多くは、リース契約がないにもかかわらず、居住者としての権利を主張できるため、所有者は法的手続きを長期にわたって行わなければなりません。


法改正の動き

2024年には、こうした問題に対応するため、ニューヨーク州やテネシー州を含むいくつかの州で法改正が進められました。

これにより、スコッターに対する権利を制限し、家主が迅速に彼らを追い出すことができるようにするための措置が取られています​。

テネシー州では、新たな法律が施行され、スコッターの占拠に対して法的な立ち退き手続きを省略できるようになり、警察が72時間以内に対応できるようになりました。

しかし、依然として全米の多くの州ではスコッターに対する法的対応が遅れており、所有者はスコッターを排除するのに数ヶ月から数年の法的手続きが必要な状況が続いています。

また、一部の地域ではスコッターが家を破壊する、光熱費を滞納するなど、経済的な損失を引き起こす事例も多く報告されています。


具体的な事例

  • ダラスの事例: ある家主は、スコッターによって家が不法占拠され、最終的に15万ドル以上の修繕費を負担する事態に至りました。スコッターが居住する間、家は破壊され、家主は法的手続きを経てスコッターを追い出すまでに長期間を要しました​。

  • ペンシルベニア州の事例: 一方、ペンシルベニア州では、不法占拠が長期化することで、家主が数千ドルの光熱費を支払わざるを得なかった事例もあります。スコッターが家主の許可なく光熱を使い続け、最終的には法的手続きが完了するまで家主が費用を負担し続けました​。

このように、不法占拠の問題は、所有者にとって深刻な財政的および心理的負担をもたらしており、法的な対応の遅れが課題となっています。

新しい法律が導入され始めたものの、依然として多くの地域で法の不備が解消されておらず、さらなる法改正が求められています。


4. アメリカの覇権が揺らぐ理由


アメリカ国内の司法制度における問題は、単なる治安の悪化にとどまらず、アメリカが世界で果たしているリーダーシップの信頼性に大きな影響を及ぼしています。

国内の法の支配が維持されない状況が続けば、アメリカは国際的な場での影響力を弱め、覇権国家としての地位が揺らぎかねません。

特に、近年のソフトオンクライム政策や不法占拠問題に見られるような司法の機能不全が、世界に与える印象は非常に大きいのです。

法の支配の崩壊と国際的な信頼低下

法の支配(Rule of Law)は、民主主義国家において信頼を築く基盤であり、国際的なリーダーシップを発揮するためには不可欠です。

アメリカは、長年にわたり世界中の国々に対して法の支配や民主主義のモデル国家としての役割を果たしてきました。

しかし、国内での司法制度の混乱や犯罪抑止力の低下は、その国際的な信頼を大きく揺るがす要因となります。

例えば、アメリカが自国の治安や法秩序を維持できていないという印象が広まれば、他国に対して強いリーダーシップを発揮することが難しくなるでしょう。


国内問題が国際的リーダーシップに与える影響

アメリカが世界のリーダーとしての地位を保つためには、国内の安定が必須です。

例えば、経済的に豊かであっても、社会不安や治安の悪化が進行すれば、国際社会での信頼を失うリスクが高まります。

アメリカは、他国に対して人権や法の支配を推奨する一方で、自国の治安維持がままならないという状況が続けば、他国からの信頼を失い、政策的な影響力が低下するのは避けられません。

実際、近年の不法占拠やソフトオンクライム政策の拡大に対しては、国内外からの批判が増加しています。

さらに、法制度の崩壊は、アメリカが国際的な紛争解決や外交で強力な立場を取る際に障害となります。

例えば、他国との貿易協定や外交交渉において、アメリカが国内の司法や治安を安定させる能力を欠いていると認識されれば、相手国はアメリカの政策提案やリーダーシップに懐疑的な立場を取るかもしれません。

これが、世界のリーダーシップにおけるアメリカの影響力を削ぐ結果となります​。


国際的リーダーシップと国内の安定

アメリカの国内問題が国際的に影響を及ぼしている事例として、他国がアメリカの混乱を見て自国の司法政策に疑問を抱くことがあります。

アメリカが他国に対して法の支配や民主主義を求める場合、国内が法の崩壊を経験していると説得力が弱まります。

例えば、移民問題や不法占拠問題に対してアメリカ国内での対応が不十分であれば、他国はアメリカをモデルにした法整備に懐疑的な態度を取る可能性があります。

アメリカがこれまでに築き上げてきた国際的な信頼と影響力を維持するためには、国内の法制度を強化し、治安維持を確実にすることが必須です。

司法制度の機能不全が解消され、国民の安全が保障されない限り、アメリカは国際社会での影響力を取り戻すことが難しいでしょう


まとめ

アメリカの司法機能の不全、特にソフトオンクライム政策や窃盗罪の軽罪化、不法占拠に対する対応の遅れが、国内の治安や秩序に大きな悪影響を及ぼしています。

ジョージ・ソロスの影響を受けたリベラルな司法政策は、犯罪抑止力の低下を招いているとの批判が高まりつつあり、これらの問題がアメリカの国際的リーダーシップに悪影響を与えています。

今後、国内の法的問題を適切に解決し、法の支配を取り戻すことが、アメリカの国際的な覇権を維持するために重要な課題となるでしょう。


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