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シリコンサイクル、現在はどの位置にいる?
シリコンサイクルとは、半導体業界における需要と供給の周期的な変動を指します。
半導体は私たちの生活のあらゆる分野で必要とされており、スマートフォンや自動車、家電製品からデータセンター、AI技術まで、その影響は広範囲に及びます。
このため、半導体の需要が高まると市場全体が活気づき、供給が過剰になると価格が低下するなど、景気全体にも影響を与えるのです。
特に、投資家にとってシリコンサイクルを理解することは重要です。サイクルの波に乗ることで大きな利益を得るチャンスがあり、逆にサイクルの下落期を予測してリスクを管理することで損失を回避できます。
本記事では、シリコンサイクルの基本から現在の状況、将来の見通しまでをまとめさせていただきましたので、ぜひともご一読いただけますと幸いです。
1. シリコンサイクルの基本
シリコンサイクルとは?
シリコンサイクルは、半導体市場における供給と需要の変動によって生じる周期的なサイクルです。
このサイクルは、需要が急激に増加すると供給が追い付かず、製品の価格が高騰します。
これに応じて半導体メーカーは生産を増加させますが、やがて供給過剰となり、価格が下がり市場が一時的に冷え込むことになります。
このようなサイクルが数年単位で繰り返されるのがシリコンサイクルの特徴です。一般的に3年から5年周期で変動するとされています。
過去のサイクルの事例
シリコンサイクルの典型的な例として、2000年代初頭のITバブル崩壊や、2010年代後半のスマートフォン需要の飽和と調整局面が挙げられます。
特に、ITバブル期は半導体需要が急増し、各企業が生産能力を急拡大しましたが、需要がピークを過ぎると供給過剰に陥り、業界全体が苦境に陥りました。
2. 現在のシリコンサイクルの位置はどこか?
2024年11月時点での状況
2024年11月現在、シリコンサイクルは拡大期にあると考えられます。半導体業界は、特にAI(人工知能)の需要拡大が市場を牽引しており、生成AIの普及によって大規模なデータ処理やトレーニングを必要とする分野が急成長しています。
これにより、NVIDIAをはじめとする半導体メーカーのGPUが、データセンターやAI関連プロジェクトでの需要を大きく伸ばしています。生成AI向けの計算能力を持つ半導体は、通常のPCやスマートフォン向け製品よりも高性能・高価なものが多く、この需要が業界全体を押し上げる原動力となっています。
また、エヌビディアのような主要企業だけでなく、半導体業界全体で新たな製品や技術が次々と生み出されており、各社が競って生産能力の増強を図っています。
たとえば、インテル、ラピダス、台湾積体電路製造(TSMC)などが新たな工場を建設する計画を進めており、これにより世界中で生産能力の大幅な増強が見込まれています。
しかし、このような供給能力の急激な増加は、やがて市場における供給過剰を引き起こす可能性があります。需要があるうちは市場は活況を呈しますが、供給が需要を超えると価格が下がり、各企業が過剰な在庫や価格競争の問題に直面するリスクが生じます。
現時点では、過去の半導体業界のピークと比較すると、非常に活発な需要に支えられた「強い拡大期」とも言えますが、注意が必要です。
生成AIの需要が続く間は好調が予測されるものの、供給能力の増加が市場バランスを崩す兆候が見えれば、サイクルの頂上が近いことを示しています。
将来の頂上と底の予測
2024年後半から2025年にかけて、現在の需要の高まりは続くと予測されています。
生成AIを含む新しい技術分野の成長が後押しする形で、半導体需要は一時的なピークに達する可能性があります。
しかし、同時に多くの半導体メーカーが供給能力を拡大しているため、供給過剰が顕在化するリスクがあります。
この供給過剰が表面化すれば、2025年中から遅くとも2026年には市場調整が始まり、価格下落や在庫調整の動きが強まるでしょう。これが「サイクルの頂上」となる時期と予測されます。
サイクルが頂上を過ぎた後、供給過剰による価格低下や需給バランスの調整が進むと、市場は一時的な底を迎えることになります。
予想される次の底は、2026年から2027年頃にかけてと考えられます。この時期には、半導体メーカーが生産調整を行い、新しい需要の発掘や市場回復が進む可能性があります。
3. 新工場建設を進める企業
インテル(Intel)
インテルは米国アリゾナ州やオハイオ州などで新たな半導体製造施設を建設計画中。これらの施設は最先端のプロセス技術を用いた半導体生産を目的としている。
ラピダス(Rapidus)
ラピダスは北海道千歳市の工業団地「千歳美々ワールド」に最先端半導体工場「IIM-1」を建設中。2023年9月に起工式を行い、2025年4月の試作ライン稼働、2027年の量産開始を目指している。
ASEジャパン
日本・北九州市若松区で先端後工程工場の建設を計画。市有地約16ヘクタールを取得する仮契約を締結。稼働時期は未定。
Wolfspeed
ドイツ・ザールラント州で30億ドル規模の半導体工場を計画していたが、建設は延期。稼働時期は未定。
ナノトロニクス (Nanotronics)
米国・ニューヨーク州ブルックリンでAI搭載ソフトウェアを組み込んだモジュール型の半導体製造施設「キューブファブ」を開発中。2025年稼働予定。
台湾積体電路製造 TSMC(アリゾナ工場)
米国・アリゾナ州で新たな工場でのチップ生産を計画。2025年初頭に生産開始予定。
台湾積体電路製造 TSMC(ドイツ・ドレスデン工場)
ドイツ・ドレスデンにヨーロッパ初の製造拠点として約35億ユーロを投じて工場を建設予定。2024年第4四半期に建設開始予定。
JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)
JASMは台湾積体電路製造(TSMC)の日本子会社で、熊本県菊陽町に新工場を建設中。2024年末の量産開始を目指し、12~16ナノメートルおよび22~28ナノメートルのロジック半導体生産を計画している。
まとめ
シリコンサイクルは半導体業界の波を表す重要なサイクルで、現在は生成AIの需要拡大によって活気づいています。
NVIDIAをはじめとする企業が需要を牽引している一方で、新しい工場の建設ラッシュにより、将来的には供給過剰のリスクも存在します。
サイクルがどこでピークを迎え、次にどのような底を形成するかを見極めることが、投資戦略を考える上での大きなポイントとなります。
私自身としては、今まで投資してきた分はそのままホールドで、今後の収入の余剰資金は定期的にゴールドに変換して、2026年~2027年まで大きな投資は控えようと思っております。
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