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【消えぬ復讐の炎】イランがトランプ暗殺を目論む理由

先日バイデン大統領は、イランに対してトランプ前大統領に対する謀略をやめるよう警告しました。

もし暗殺を実行すれば、戦争行為とみなすとイランをけん制しています。

なぜイランはトランプを狙うのでしょうか。

イランがドナルド・トランプを標的にしている背景には、主に2020年1月のカセム・ソレイマニ司令官の殺害が深く関わっています。

この事件はイランとアメリカの関係をさらに悪化させ、イランはソレイマニの死に対する報復を強く誓いました。

本記事では、イランがトランプを恨む理由についてまとめましたので、ぜひともご一読いただけますと幸いです。



1. カセム・ソレイマニの殺害

カセム・ソレイマニは、イランの革命防衛隊(IRGC)の一部であるクッズ部隊を率いる司令官であり、イランの軍事作戦や外交戦略において極めて重要な役割を果たしていました。

クッズ部隊は、イランの国境外での軍事作戦や地域のシーア派民兵組織への支援を担当し、特にイラク、シリア、レバノン、イエメンなどでイランの影響力を拡大するための活動を行っていました。

ソレイマニはこれらの活動を指揮し、アメリカとその同盟国にとって強い脅威と見なされていました。


ソレイマニの役割とイラン国内での影響

ソレイマニはイラン国内では英雄視されており、国家の安全保障や中東地域での影響力拡大の象徴的な存在でした。

彼はイランの最高指導者アリ・ハメネイとも親しい関係にあり、イランの最重要人物の一人とされていました。ソレイマニはイランの軍事力を強化し、アメリカやその同盟国に対抗するための地域ネットワークを構築していました。

彼の指揮するクッズ部隊は、特にシリア内戦やイラクでのISISとの戦いにおいて重要な役割を果たしており、イランの中東戦略の中核に位置していました。


トランプによるソレイマニ殺害の理由

2020年1月、トランプ政権はイラク・バグダッド空港近郊で、ソレイマニが乗っていた車列に対してドローン攻撃を実施し、彼を殺害しました。

トランプ政権はこの攻撃を正当化する理由として、ソレイマニがアメリカの外交官や兵士に対する差し迫った攻撃を計画していたと主張しました。

アメリカ政府は、彼がイラクやシリアでのアメリカ軍基地への攻撃や、イラン支持勢力によるアメリカ大使館への襲撃に関与していたとしています。

トランプ自身は、ソレイマニが長年にわたりアメリカ人の命を脅かし続けてきたことを強調し、彼の殺害はアメリカの安全保障を守るために不可欠だったと説明しています。

また、トランプはこの行動がイランに対して強力なメッセージを送るものだとし、アメリカがテロリストや敵対者に対して断固たる姿勢を取る準備があることを示そうとしました​。


イランにとっての屈辱と報復誓約

ソレイマニの殺害は、イランにとって極めて深刻な屈辱とみなされました。

彼は単なる軍事指導者以上の存在であり、イランの外交と軍事戦略の象徴であったため、彼の死はイラン全体の士気に大きな影響を与えました。

イランの最高指導者ハメネイは、ソレイマニを「殉教者」と称し、アメリカに対して「厳しい報復」を約束しました。

これにより、イランとアメリカの間の緊張は一層高まり、特にトランプ個人に対する報復の可能性が取り沙汰されるようになりました​。


2. 「最大限の圧力」政策への反発

トランプ政権が採用した「最大限の圧力」制作は、イランに対する経済的・外交的な制裁を強化し、イランの核開発や地域における影響力を封じ込めることを目的としていました。

この政策は、2018年にトランプが一方的にイラン核合意(JCPOA)から離脱した後に発動され、イランに対して前例のない厳しい経済制裁を課すこととなりました。


経済制裁の内容と影響

「最大限の圧力」政策の主要な制裁は、イランの石油輸出を大幅に制限することに焦点を当てていました。

イラン経済は石油収入に大きく依存しており、石油輸出の減少は国の財政に深刻な打撃を与えました。具体的には、以下の影響がありました:

  • 石油輸出の減少:制裁により、イランの主要な収益源である石油輸出は劇的に減少しました。これにより、政府の収入が減少し、公共サービスやインフラ投資に悪影響を及ぼしました。

  • インフレの加速:制裁の影響でイランの通貨リアルは急落し、輸入品の価格が高騰しました。これが結果としてインフレ率の急上昇を引き起こし、国民生活の苦境が深まりました。

  • 失業率の上昇:経済の停滞により、企業の閉鎖や縮小が相次ぎ、失業率が大幅に上昇しました。特に若年層においては、仕事を得る機会が著しく減少しました。

この政策により、イラン国内の経済は崩壊寸前まで追い込まれ、多くの国民が困窮する状況に陥りました。これに対するイラン国民の不満は強く、トランプ政権に対する反感が広がりました。


制裁の目的と効果

トランプ政権は、「最大圧力」政策によってイランを外交的に孤立させ、核開発を断念させることを目指しました。

また、経済的な苦境を通じてイラン国内での反政府運動を活発化させ、政権を弱体化させる狙いもありました。

しかし、この制裁政策は逆効果となり、イラン政府はアメリカに対してますます強硬な姿勢を取るようになりました。

核開発はむしろ加速し、国際社会との対立も深まりました。


ソレイマニ殺害との結びつき

ソレイマニの殺害と「最大圧力」政策が重なることで、イランのアメリカに対する敵意が一層強化されました。

ソレイマニはイラン国内で英雄視されていたことから、その殺害はアメリカの意図的な挑発と見なされ、トランプ政権の対イラン政策はイラン国内で大きな反発を招きました。

経済制裁が国民生活を苦しめる一方で、ソレイマニ殺害はイランの誇りを傷つけ、トランプ個人に対する敵対心が高まったのです。


3. トランプ暗殺は報復の象徴

トランプを狙うことは、単なる報復以上に、イランにとって象徴的な意味を持ちます。

ソレイマニの殺害は、イランの国民感情を大きく傷つけ、アメリカとの対立が国の誇りに関わる問題となりました。

そのため、イランにとってトランプを標的にすることは、アメリカに対して対等に対抗し、国家の尊厳を取り戻す行動として捉えられています。

イランがトランプを暗殺のターゲットとして狙う理由には、こうした政治的・感情的な背景があり、これが長期的な対立の一部として続いています。


まとめ

イランがトランプを標的にする理由は、ソレイマニ司令官の殺害という歴史的な事件に端を発しています。

この事件は、イランにとってアメリカとの対立をさらに深めるきっかけとなり、トランプ個人への敵意を強めました。

また、トランプ政権の「最大圧力」政策も、イランに対する経済的圧力を強化し、イランの報復の動機をさらに強めました。

これらの要因が組み合わさり、トランプはイランの報復対象として見なされ脅威に晒され続けています。


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