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二重あごの不思議

朝起きてまず最初にすること。それは、お顔の状態確認だ。
(今日も無事に目は二つくっ付いているだろうか。お鼻は一つ、お口も一つ、耳は二つに、歯は…)というのは冗談で、
(腫れぼったくないかな。)と、鏡に映る自分のほっぺ、目、と順番に、お顔全体をまじまじと確認する。

こう書いてみると、いかに自分が”それ”を迎えにいっているかがわかる。つまり私は、長年変わらない自分のまあるいほっぺ、いわゆるしもぶくれ顔を、不本意にも期待してしまっているようだ。

朝、鏡に映る自分を見て本当はこう思いたい。
(わぁ!なんてほっそりした顎ライン!こんなに小顔になっちゃって!美しい!可愛い!人生バラ色~)

元来丸顔な上、お顔に肉の付きやすい私は、思春期以降体重の増加とともにほっぺのお肉がどうも取れないままうん十年と過ごしてきた。ダイエットすると身体は痩せるものの、細くなるのは首より下ばかり。お顔の肉はどうにもこうにも落ちてくれなかった。

それならばお顔のお肉には直接アプローチしようと思い、Youtubeで様々な小顔マッサージをチェック。やりすぎて首元がうっ血しあざができていたこともあった。しかも自分では気づかずに、たまたま旅先の温泉で姉が発見してくれた。灯台下暗し。

かと思えば、顔のマッサージは将来のたるみにつながると耳にし、代わりになんちゃら式リンパマッサージという”なでるだけ”のマッサージ法をすすめられた。

必死にマッサージするとあざを作るし、力を抜くどころかエアーでマッサージするようなのもある意味奇妙だし…、えーい、もうめんどくさい!
ということで今はもうお顔にはノータッチで、ただ、毎朝見つめる結果となっている。

それだけ私の小顔願望は根強いわけで、時折身体の肉付きはよくてもお顔がほっそりした方を見るたび、うらやましいなぁ~と心底思っているのだ。

そんな私でも日によって微妙に変わるお顔の状態。それこそもはやルーティンのように毎朝確認してしまっているので、どんな微々たる差も察知できるのであるが、今日はふっくらしてるなとか、今日は目がスッキリしてるなとか、うわ、また二重あご、とか。朝から自分にしかわからない小さな違いに一喜一憂する。

これを続けて何年も経つが、勉強が足りないようで、どうしてこうも日によってコンディションが違うのかが明確にわからないでいる。だいたいの原因はむくみだろう。でも、こういう食生活をすると翌朝スッキリしたお顔に会える、とか、こんな生活習慣がおすすめ、みたいなドンピシャ情報がない。

こんだけ情報過多な生活に、なぜだろう。

…とまぁ、大したことない人生ですな。
いや、なんて平和なんだろう。ありがたいばかりだ。

いつの日か小顔になりたい。笑ったときにふくらむほっぺのむだ肉が無ければどんなに良いだろう、とずっと願い続けている。30代も後半に入った今では、目の下のクマと思っていたものがたるみだと判明した。美容なんてどうでもいいなんて言っていられなくなった。

いつの日か小顔になりたい。小顔を縁遠かった要因は他でもなくこの”思い方”だったかもしれない。この思い方がそのまま、毎朝「ほっぺのお肉を気にする」状態の自分として現実化してきたのか。今ここに書いていてそんな気がしてきた。

ならば今日からはこの思い方をやめよう。
代わりにどう思おうか。

気にしない。そうだ。そうしよう。もう私は小顔です。笑った時のお顔も、真顔も最高に美人です。ということで、気にしません。

一気に平和が訪れた。

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