方丈宇宙™️ ウイルスリテラシーを高め、人間の心を大切にする経済を考える
最初に取得した検定は英語検定だった。
英語検定で自分のスキルを知り、自信をつけ、進学や就職の行き先を考える一つの指標として検定を受けた。就職をする際には、インターネット、デジタルリテラシーが高いことがこれからの時代必要だろうと考えITエンジニア職を選んだ。わたしは生きていくための武器として英語やITエンジニアリングなどのスキルを身につけてきたが、人によっては金融のスキルや、デザインスキル、建築スキルなど様々な武器を身につけていることだろう。また、この生きていくための武器には社会生活をする上で必要な相手を思いやる心やコミュニケーションスキルなども含まれる。
そんな社会生活を営む我々に、いま「ウイルスリテラシー」も求められるようになってきた。いままでだったら「病気になったら病院にいく・薬を飲む」行為により個別に解決できていたものが、「一人ひとりが行動変容・意識変容」しなければ感染拡大防止や医療崩壊を防げない状況になっている。もはや、医療関係者だけがウイルスリテラシーを高めれば治してもらえる、というものではない。しかも世界中が一気に同じステージに立つことになった。地球に住む人一人ひとりがウイルスに対するリテラシーが求められる時代になったと言っても過言ではないだろう。
これは新型コロナウィルスに限った話ではないだろう。新型コロナウイルスも第一波、第二波、第三波...とこれからさらにいくつかの波がくるだろうし、新たな感染症も出てくるだろう。そのようなウイルスとともに生きる地球人として必要な架空の「ウイルスリテラシー検定」なるものを妄想してみる。そこにはどのような試験問題が出題されるのだろうか?
ウィルスリテラシー検定:想定問題①
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため人々がとるべき行動は何か?(a.)と (b.) に当てはまる言葉を選択肢から選び文章を完成させよ。
どうしても外出しなければいけない場合に、他人と ( a. ) m以上の距離をとることが推奨される。この行為を( b. ) という。
[選択肢:1 , 2, 10, 100, ソーシャルコンタクト, ソーシャルディスタンス, ソーシャルディスカッション]
ウィルスリテラシー検定:想定問題②
新型コロナウイルスとSARS, MARSの類似点・相違点を述べている以下の設問のうち正しいのはどれか?
1. SARSは感染しても気づかない人がいて軽症の人は活動できてしまう。
2. MARSは感染しても気づかない人がいて軽症の人は活動できてしまう。
3. 新型コロナウイルスは感染者が全員すぐに重症化するので感染がすぐにわかる。
4. 上記いずれも正しくない。
ウイルスリテラシー検定:想定問題③
日々状態を変化させるウイルス。一人ひとりが正しく情報を入手していかなくてはなりません。情報取得の正しいあり方を以下のうちから選べ。
1. ツイッターのトレンド入りしているものは、多くの方が話題にしているので正しい情報である。
2. 常に批判的な姿勢を示しているメディアは、メディアとしての必要な「批判的姿勢」を有しているので、そのようなクリティカル・シンキングを持っているメディアの情報は正しい情報である。
3. 名前を聞いたことある著名人が語っている、有名な会社や大学の先生が話している情報は正しい情報である。
4. いずれも当てはまらない。
さて、ここで伝えたいのは新しい検定ビジネスを立ち上げよう、という話ではない。我々がいままで医療従事者らにのみ責務を預けていた「病気や感染症を治癒する」行為を一人ひとりの行動を変えることにより、自分ごと化していくべきではないか?と考える一助としてウイルスリテラシー検定を位置付けていきたい。
病気になったら薬を飲む、ではなく病気にならない生き方はどういう生き方か?免疫力を高める方法は何か?そもそも経済活動と人間の健康を考える活動は切って離せないのではないか?健康を守るために経済活動をストップさせなければいけない、今の経済活動はそもそも正しかったのか?
そのような考えが脳裏をめぐるなか、一冊の本に出会った。(出会ったというより、巡り合うべくして出会えた書籍と言っても良いかもしれない)
それが、経済学者(数理経済学) 宇沢弘文氏の『人間の経済』である。
「経済学」は市場拡大および手持ち資金を増やすことなど「拡大・増加」を主眼に考えるものであると認識していた私に、宇沢氏は人間の心を大事にする経済学、およびその研究の視点を授けてくれる。人間の持っている大切なもの、自然・水・畑・公園...などの社会的共通資本などもお金に変えようとする、現在の市場原理主義を似非(えせ)経済学であるとばさりと切り捨て「人間の生涯において大きな悲劇は、大切なものを権力に奪い取られてしまう、あるいは追い詰められてお金に換えなければならなくなること」と語る。
さて、大切なものとはなんなのか?
非常事態宣言下の方丈宇宙™️のなかで心から欲しているのは気持ちよく自然に触れられること、安心して食べるものが手に入ること、適度な人との距離があり感染しない安心感があること。
市場原理主義が優位だった時代も、この方丈宇宙™️から眺めると、なんだか戻りたくない日常に思えてくる。市場原理主義だけを主軸にするのでは安心して生きていけないことを感じているいまだからこそ、これからの経済には宇沢氏の語る人間の心を大事にする、社会的共通資本を大切にする姿勢が求められるのだろう。