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国家資格

実は私は、3つの国家資格を持っている。
獣医師と、
国内旅行業務取扱管理者と、
全国通訳案内士(英語、スペイン語)。
この最後のやつを2つとカウントした場合は、4つになるのだけど。

私には、獣医師免許がある。
とは言っても、もう臨床から離れて20年近く経つので、運転免許証で言ったらペーパードライバー状態。
しかも大学卒業後、診療していたのは馬のみだ。

過去に何度か、獣医師の仕事に復帰しようと試みたことがある。
だけど馬の診療しかしてこなかったし、
細々と英語教室も始めていたので
(突然生徒を放り出すわけにもいかず)
いざ仕事をしたいと思っても就職の口はなかった。

少し遠くまで行けば
動物病院の仕事はあった。
まだ英語教室を始める前、
車で1時間程度の動物病院で獣医師を募集していて
本気で応募しようと思ったことがある。
子どもはどうするんだと言われ、
職場の近くの保育園を探そうと提案したら
毎朝1時間も子どもを車に乗せて行くなんて可哀想だ、
小学校に上がる時に友達がいなかったらどうするんだ、
と夫に激怒された。
まぁ、それで諦めたんだから
私の気持ちもその程度だったんだろう。

牧場でサブの獣医師を探していたところもあった。
でも、最初はできる時間帯だけでいいからという話だったのに
やっぱり毎日来てくれないと困る、
牧場の仕事は少なくとも夕方まではあるから
午後までというのは困る、という理由で断られた。


子どもに手がかからなくなった頃には私の体力が衰えていたし
(大動物の世界に戻るのは危険だと思う)
英語教室の生徒も増えていたので
獣医業に戻ることは諦めていた。

私が獣医師の資格を持っていることを知ると、大抵の人は
「えー?だったら何で獣医さんやらないの?」
「もったいない」
と言う。
そんなのは、言われなくたって私が一番分かってる。
高い学費を6年も払ってもらって、
たった4年働いただけで退職したなんて
親に申し訳ないとずっと思っている。
親に「あんたにいくらかかったと思ってるの?!」とか言われないのが唯一の救いだ。
(私は、基本的に甘やかされて育ったのかもしれない。)
だからなるべく、獣医師であることは隠してきた。
知識も抜け落ちてるし、
技術なんか錆びつきまくってるし、
「獣医師です」なんて恥ずかしくて言えないというのもあったけど。

しかし今回、生きるために稼がなくてはならず、
仕事を探した。
スーパーのレジの募集とかないだろうか?
品出しは朝早くだから、
夜まで仕事の私には無理があるか?
母には、
「働くのは賛成だけど、
いくつも掛け持ちするのは無理があるし
よく考えてから決めなさいよ」
と言われた。
手当たり次第に飛びついても、
すぐ辞めることになったり
無理して体を壊すことになるから、と。
そうだよね。焦りはよくないな。

都会に引っ越すことも考えた。
札幌に住めばガイドの仕事ももらいやすい。
しかし(生徒がいるから)すぐに引っ越すわけにもいかないし、
札幌で家賃を払えるのかも不安だ。

超繁忙期を過ぎて、
ガイドの仕事は本当にもらえなくなっていたが、
よくよく考えてみたら
一応私には獣医師免許がある。
何か、これが活かせる仕事はないものだろうか。
検索してみると、
やっぱり札幌あたりには獣医師を募集している動物病院があった。
中には「パート勤務」の募集もある。
そうだよね。
都会の動物病院は、獣医さんが複数いても足りないのよね。
もう少しこっち寄りにあれば、通えるかもしれないけど…

ん?
これ、隣の町じゃない??
パートも可??

望みは薄いと思いつつも、
小動物臨床の経験がないこと、
ブランクが20年近くあることを正直に書き
応募してみた。
獣医臨床の場に戻れるとしたら、
これが最後のチャンスだろうな。

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