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箱根駅伝初観戦記ー予選会ー

第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(通称:箱根駅伝)予選会は令和元年10月26日(土)に行われた。この日は予定が午後からだったので、迷うことなく向かうことにした。降り立ったのはJR立川駅。改札を出てすぐのところに参加大学の幟がずらりと並んでいて、こちらの気持ちまで掻き立ててくれた。ここからすでに箱根駅伝は始まっている。そう肌で感じた瞬間でもあった。(細かいことを言えば、第95回箱根駅伝が終わった瞬間からだろうが)

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駅から歩いて10分弱、昭和記念公園の敷地内に入ってさらに歩くこと10分。立川ゲートで入園料を払い、そこからスタート地点の陸上自衛隊立川駐屯地を目指す。15分は歩いたような気がする。とにかくこの公園は広いのだ。しかも快晴。秋の陽気に包まれて、上着が不要なくらい暑かった。私は駐屯地のトラックのスタート地点から言うと第3コーナー辺りを陣取った。すでに多くの関係者や親族、OBやOG、駅伝ファンで取り囲まれており、背の高い私でも背伸びをしながらの観戦になりそうである。すでに各校の選手たちはウォーミングアップを始めており、応援団は応援合戦を繰り広げていた。東京農業大学の大根踊りも肉眼で見ることができた。お馴染みの応援旗も配られており(予選会仕様だが)これが本選ですよ~って外国から来た観光客に説明したら信じると思うレベルの盛り上がりである。

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9時35分のスタートの号砲が鳴り、選手たちが一斉に走り出す。とは言っても、トラックは2.5キロくらいあるので選手たちの姿はなかなか現れない。5分くらい経ったろうか、遠い彼方から先導車がやってきて、外国人選手の集団が矢の如く走り抜け、そして日本人選手の5人くらいの集団がふたつほど過ぎて、その後ドッドッドッという足音とともに大きな集団が通って行った。全員でまとまって走るチーム、速いものには行かせるチーム、それぞれの戦略も見えてきた。

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1周見届けた後すぐに駐屯地を出た。早く出ないと選手全員が駐屯地から出るまで待たなければならず、身動きが取れなくなってしまうらしい。選手は駐屯地を出ると、公園をぐるりと周る公道を走ることになる。さすがに追っかけ観戦はレベルが高そうなので、あの有名な結果発表の行われる広場に向かった。

そのステージを見ただけで鳥肌が立った。あの、緊張の発表が行われる場所。事務所の先輩芸人、代走みつくにさんが細かすぎて伝わらないモノマネでやったあのネタがフラッシュバックのように駆け抜けた。。ご存知ない方は以下をご覧下さい。

姿は見えないが、今、ハーフマラソンの距離を出場全42校506人が走っている。スクリーンに映る選手たちを見ながら、襷をつなぐ駅伝のために、襷を持たない戦いが繰り広げられているのが不思議に感じた。広場にもテレビや報道関係者、各校補欠の選手やマネージャー・スタッフ陣、ファンたちが続々と集い始めていた。

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1位でゴールしたのは、桜美林大学のキサイサ選手(1時間1分01秒)。続いて、国士館大のヴィンセント選手、東京国際大のヴィンセント選手であった。このふたりのヴィンセント選手は本選でも話題になった。日本人トップは東京国際大の伊藤達彦選手。本選では東洋大との相沢選手との並走で注目を集めた。予選会の難しいところは、一人速い選手がいても全く無意味だと言うこと。優勝したキサイサ選手のいる桜美林大学は本選出場を果たしていない。一方、学内最高順位が22位の神奈川大学は総合2位で本選出場。一番遅かった選手の順位が111位なので、選手の平均レベルが高いということになる。公式サイトで全選手の記録と総合順位を見ることができる。

とは言え、見ている最中はそんな計算もできない。ただ選手の応援をして、固唾を飲んで発表の時を待つしかない。全選手がゴールし、いよいよ発表の時となった。思いの外、結果が出るまで早かった。関東陸連のスタッフが壇上に上がり、代走さんがネタで使っていたトラメガではなく、きちんとしたマイクで発表を始めた。

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第1位・・・東京国際大学

3位のヴィンセント選手、日本人トップの伊藤選手がいるから予想通りである。それから、神奈川大学、日体大、明治、創価、と続く。次の発表で会場がどよめいた。

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第6位・・・筑波大学

第1回大会から出場するオールドメンバーであり、その記念すべき1回目の優勝校(東京高等師範学校)である。しかし近年は本選に名前が上がらなかった。その筑波大が、年月にして26年ぶりの出場を決めた。ダークホース的な感覚なのだろうか。そのどよめきは2010年ドイツW杯のメンバー発表でジーコ監督が「マァキ(巻)」と言った瞬間に似たものがあった。名門早稲田が9位だったのも意外ではあったが、メンバーが揃っておらず、予選会慣れしていないのも響いたのかもしれない。予選会とは奥が深い。

そして、瀬戸際10位の発表。学連の人は、少し、ためた。でも思ったよりもほんの少し。もっとためてもいいのに、と思うくらいだった。

第10位・・・中央大学

11位の麗澤大学とは30秒も違わなかった。ひとりあたり2~3秒縮めていれば…の世界である。ちなみに麗澤(れいたく)大学を初めて知った。関西にいた私は聞いたことがなかったが、箱根駅伝の予選会ではいつも惜しい結果を出している大学とのこと。来年あたり本選出場もあるかもしれない。

本選出場を決めた大学は胴上げしたり、万歳したり、盛り上がっていた。一方、敗れた大学は4年生引退となるので監督や4年生がしんみりと話している姿が見られた。広場の中に、様々な空気が流れていて、その間を縫うように私は駅へ急いだ。

そんなこんなで、初めての予選会観戦は終わった。選手の走る姿はほとんど見られなかったが、テレビで見ていたシーンを目の前で体験し、現地でしか味わえない雰囲気を味わうことができた。加えて、推し学校が出来た。東京国際大と筑波大である。本選がますます楽しみになるので、予選会は見た方がいいという結論に至った。今年も行こう。

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