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ほったらかされ旅~古民家編~
この旅行記は続きものです。
まず「三ッ峠山編」からご覧下さい。
下山したその足で、宿へ直行。
古民家のワタナベ氏は電話で話したとき、三ッ峠山から40分ほどで着くと言っていたが、ナビで見ると高速使って1時間と出るではないか…(山には出発地点が色々あるからね)現在の時刻16時半。絶対遅刻。もうしょうがねえや!高速使ってやれ!それでも遅れるけどな!待ってろよワタナベ!いるか知らんけどな!
ほぼ休憩することなくナビの指示通り車を走らせること1時間。本当にこんなところに宿があるの!?っていう、最近舗装されたらしき整った道路の脇に民家や桃の木畑が連なるエリアをひた走る。まもなく到着というところで大きな道から細い道へ誘導されるわたしたち。こんな時に限って大きめのレンタカー。ぶつからないかハラハラしながらノロノロ進んでいたら、ようやく小さな古民家の看板を発見。駐車場への道にある側溝に再びヒヤヒヤしながらジリジリ車を停め、ようやく古民家に到着。17時半。はい遅刻。
そうか。
我々の宿は古民家だから民家の中にあるのは当たり前。
そこは、人っ子ひとり通らないような静かな町で、住んでいるのか空き家なのかも分からないちょっぴり寂れた家々が並ぶ。
そんな中にあるのが、MEKIKI古民家。
築100年以上の母屋の1階は、お洒落なカフェ兼雑貨店になっていて、入った時の我々のテンションと言ったらもう!
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「遅れてごめんなさい!」
と古民家に入ると、キッチンで作業していた可愛らしい女の子が出迎えてくれた。
きっとワタナベに残るよう頼まれたのだろう、かわいそうに。
「ちょうどカフェの営業が長引いていたので大丈夫ですよ~。バイト代も稼げますし」と茶目っ気たっぷりに言った。あぁカワイイ。山梨の女子、はい勝利。支払いを済ませた後、建物の説明を丁寧にしてくれた。ついでにワタナベのことを聞くと、ここの管理人だと言う。バイトリーダーではなかったようだ。もしかしたら現場には来ないタイプの偉い人なのかもしれない。声は若そうだったけれど。ワタナベへの妄想は膨らむ一方であった。
手続きが終わったら彼女は本当に帰っていた。その日宿泊客は我々だけで、すべての施設がわたし達の貸し切りであった。自由に焚火もしていいし、踊っても歌ってもいいし、庭にあるトランポリンも使い放題。
予約した部屋はタイニーハウスと呼ばれる離れ。ちょっと変わった造りで、これがまた秘密基地みたいで最高の空間だった。
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ひとまず夕食を食べに出かける。当初行きたかったとんかつ屋はラストオーダーを過ぎていたため、色々と探し回ってようやく出会えたのが、大盛りで有名な店「ジンベエ(JINBEE)」。
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はち切れそうなお腹を抱え、買い出しをして古民家へ戻った。
そして、同行人M念願の焚火をすることに。電話口でワタナベは「出来るようにしておくんで!」とだけ言っていて、何の説明も注意もなかった。
焚火台のそばに「どうぞお好きに使って下せえ」と言わんばかりに置かれた護摩木のような細い木材。Mは焚火経験者なので、上手に木を組み、火を起こすことに成功。その木は面白いほどよく燃えたので、願い事でも書いておけばよかったと思ったほど。
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昼とは反対にとても冷えた夜だった。炎の暖かさと揺らめきがこんなにも体に沁みるなんて知らなかった。
焚火と酒と音楽。
そして月。
ミスチルとか山崎まさよしなんぞを聞きながら、月を見上げて、酒飲んで。
これまでの思い出話をしたり、これからの想像話をしたり。たいした話なんてないけれど、世間から”ほったらかされている”この時間はとても贅沢なんだって感じていた。
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ひとしきり喋って、飲んで、歌って、眠くなったから寝た。
布団が柔らかく包み込んでくれて、楽しくて幸せな1日だなぁと思っていたら、いつの間にか意識は飛んでいた。
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明日は朝から温泉だ。
(温泉編に続く)
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