平成、最後の夏。
ずっと考えていた。
『平成』の由来を。
聞かれることも多いから。
「平成」が終わるに当たって、調べてみた。インターネットで誰でもどこでも簡単に調べることが出来るようになったのは平成になってからだ。
本来の「平成」の由来は、『史記』五帝本紀の「内平外成(内平かに外成る)」、『書経(偽古文尚書)』大禹謨の「地平天成(地平かに天成る)」からで「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味だという。≪引用Wikipedia≫
当時、内閣官房長官だった小渕さんが「平成」と書かれた額縁を掲げていたのがついこの間のことのようだ。
ついでに調べると、僕の生まれた「昭和」の由来は、四書五経の一つ書経尭典の「百姓昭明、協和萬邦」からで、国民の平和および世界各国の共存繁栄を願う意味であった。
一方、僕の名前『平成(ひらなり)』について。
僕は昭和生まれだから、平成が元号になるとは親も考えていなかっただろう。予知していたとしたら凄いけど。母親に聞いてみたら、名前の由来はこれだった。
『平生業成(へいぜいごうじょう)』
親鸞の開いた浄土真宗の教義を表す看板的な言葉で、「生きている平生に、往生の業事が、完成する」という意味だという。簡単に言うと「人生の目的を、生きているうちに達成せよ」みたいなニュアンスのようで、生きている今現在を考えるべきであり、それは「死んだら天国に行けますように」とか「臨終の際に救われますように」というような死んだ後のことを考えるのではないということ。
それを聞いて、平成って名前は大層素晴らしい名前だと僕は満足して、人に聞かれたら胸を張って説明しようと決めたのである。
しかし、今度はその『平成』が終わる。
何だか僕も終わってしまうようで嫌な気持ちもある。
だから僕は次の元号を考えてみようと思う。
これまでの元号は、五経や史記などの書物から引っ張ってこられたものが多いようだが、僕はその筋には疎いので、インスピレーションとか雰囲気に頼るしかない。なんせ平成を含めて日本の元号は247個あると言う。被ってしまう可能性もあるけど、再選というのもあるかもしれないし。
では発表しよう。
仁新(じんしん)
「仁」とは、人を愛すること。親子や兄弟、夫婦の間、そして無差別にも、痛ましい事件が多発する現在、一番大切なのは、相手を思いやり、慈しむことではないか、と。仁にはその意味全てが含まれるとインターネットが教えてくれたからこの文字を選んだ。これからの時代は人だけではなく、生きとし生けるもの、そしてAIを含めて、この地球上にいるもの全てに愛を持つ必要がありそうだ。
「新」、それは新しいこと、変化していくこと。インターネットだけではなく、今ものすごいスピードで技術が進歩している。いつでも世界と繋がることができるし、自分を発信できる。雇用の在り方や働き方、お金のカタチ、結婚や恋愛のスタイル、それはもう多様化している。その新しさを受け入れ、理解し、共存していくこと、もしくは新しいものを生み出す存在そのものになること、それが求められていくだろう。
新しさを受け入れるには、やはり愛が必要だ。愛する人やモノのために、新しいものが生まれていくだろう。そういう時代にきっとなる。でも「愛」と名付けるのはちょっと恥ずかしいから、「仁」が適していると思う。我ながら良い元号が考え付いたものだ。
どうせなら元号も公募したらいいのに。そうしたら来過ぎてまとめる人が大変かな。もしくは5個くらいアイデアを出して、投票にするとか。偉い人だけで考えるよりも素敵な元号になりそうだ。それくらいのことをするのが当たり前の世の中になっていると思うのは、僕だけだろうか。
平成という名前でこの世に生を受けた僕は、次の世代にバトンを渡そう。
平成最後の夏ではあるが、僕にとっては最高の夏にしよう。
生きている間に、僕の人生の目的を、達成するために。