【2021/10/16】あの一言をキッカケに?
少し前に #あの会話をきっかけに というお題で投稿募集があったので、わたしは母とのエピソードを書いた。
いつもより多いイイねと閲覧数を頂いて、自分自身としては少し恥ずかしい昔話なのだけど、やっぱり親からもらう言葉の影響力は大きいなと感じた。
そんな矢先、先輩から突然電話がかかってきた。
スマホが流通してから、電話って滅多にしなくなった。いいか悪いかは別として、とにもかくにもまずLINE、知らなければショートメール。もしくはTwitterだってFacebookだってインスタだって、大抵の場合、誰にだってダイレクトにメッセージを送れる時代になった。誰もが四六時中に近いパーセンテージでスマホを携帯してチェックしているし、電車でも車でも自転車でも歩いていても、何かが届いたら即座に気付くように、自然とトレーニングされているのである。
だからこそ、突然の電話は慣れない。もう何事かと電話を放り出してしまうほどの驚きである。しかも朝方だったらなおさら。あらゆる不幸の可能性すらも想像してしまうくらいである。
「おっすー!元気かぁ?」
ちょっとドキドキしながら電話に出たら、いつもの先輩の声が寝起きの脳みそに響いてきた。いつものテンションで久しぶりの会話が始まった。
先輩が話したかったのは、仕事の関係で近々東京に来るからよろしくなぁ~、とそういう内容だった。関東に仲間はたくさんできたが、地元や長く過ごした関西に比べると、友人は少ないというのが紛れもない事実。「おー!遊びましょうね!」とテンションが上がったし、素直に喜んだ。
と、先輩が言った。
「マリオに言われたからなぁ」
その東京に来るキッカケはわたしが放った一言だという。確かに数年前にあった時に「今のままでいいんですか!?」と言うようなハッパをかけることを偉そうに言った記憶はある。でもその言葉は当時のノリというか、調子に乗っていたというか、そんな発言だったので、先輩が奮起して新しい人生を歩むキッカケになるなんて思ってもみなかった。
もちろん、先輩はわたしに言われたから決めたなんて言うのは、ちょっとした”いじり”だということは分かっている。時間をかけて考えて、あらゆる計算もして、決断を出したのだということは想像に難くない。それくらいしっかりした人だし、勝算があるから東京にやってくるのだ。
だとしても、たとえほんの小さな、指先でチョンと触ったくらいの後押しでもあっても、わたしの一言が誰かを動かしたということに、言葉の重さを思い知らされた。
プラスであっても、マイナスであっても、誰かに向けたその一言が、何かを生み出したり、動かしたりすることに繋がっているのだとしたら、言葉とはより深く考えて発するべきものであると、そう思った。
でもそうなったら何にも言えなくなる。
軽い気持ちで発せられる言葉が心地よい時だってある。大切なことは相手を思いやって話すべきであるということ。関係性を過信しないで、でも相手を信頼して。
様々な方法でコミュニケーションが行われる時代だからこそ、その気持ちが大切なのだと、突然の先輩の電話をキッカケにわたしも考えることが出来た。