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ヒコロヒー単独公演「括れば踊れば」

これだけ売れても毎年必ず単独公演を行っているヒコロヒー。

「あたし友達やねん」

って言うのが憚られるくらいの売れっぷりなわけだが、一応友達、もしくは、同志、仲間、って関係性な、はず。

中野にある渋い劇場、飛行船シアター。好きな感じの劇場。

だから今日本当に久方ぶりに生で見た舞台上に立つヒコロヒーは、今をときめくヒコロヒーであると同時に、関西時代に共にお笑いライブに出たり、稽古場近くのドトールでお茶したりしていたヒコロヒーでもあった。

ヒコロヒーの代名詞でもある、皮肉、が余すところなくまぶされた、すがすがしいネタの数々。

最大値の笑いを取りに行くのではなく、分かる人だけ笑ってくれ、という潔い言葉のチョイス(もし最大値取りに行ってたとしたらゴメン)。

ちょうどいい塩梅で取り入れる巷でホットなテーマ。

最初の2,3ワードで設定を分からせる巧さ。

いくらでも広げられるストーリー性の高い構成。

全部面白くて、唸されて、驚かされて、感心して、尊敬して、笑った。
中でも好きだったネタは、「職務質問」と「マッチングアプリ」。
※ネタのタイトルは知らないので勝手につけた

「職務質問」は二転三転と展開していく中で、ショートスリーパーを軸にあそこまで広げられる発想が素晴らしい。次はどう行く?って先を読みつつ、裏切られつつ、楽しめる。あの設定で短編小説とかショートドラマは書けそうな気がする。あと職質され感がリアル(笑)

「マッチングアプリ」はやったことがある人なら分かりみが深すぎるし、導入部分の「アプリで会うの初めて」とか「すごく話しやすい人で良かった」とか女が言いそうな常套句(ウソ)が盛り込まれていて、のっけからおもろい。そこからお持ち帰りの流れになって「真昼間から誘う?」っていうカウンターパンチを食らわされる。もうそっからはどう遊んでも面白いし、その遊び方が秀逸だからもう気持ちいいレベル。

今日が千穐楽だからネタバレしても大丈夫かと思って書くが、もし配信やDVDを見る人がいたらごめんなさい。でもギリ分からないラインで書いたつもり。

かつてヒコロヒーはネタをする前に

「ヒコロヒーのヒッコロコント〇〇(ネタのタイトル)」

と決まり文句を言ってから始めていたけれど、いつから無くなったんだろう。あれ、結構好きだった。

まぁ単独ライブで毎回この文句をいう必要はないし、ネタのタイトルなんて絶対に必要なわけではないので、無くなるのも必然だけど。

コントだから当たり前だけど、毎回毎回着替えて出てくるのが、先日観た椎名林檎みたいで良かった。林檎さんも2~3曲ごとにお色直しをして出てきたからデジャヴかと思った。

・・・とわたしの席の前の男性が、林檎博'24のライブTシャツを着ていて、もしかしてファン層同じ?と驚いたけど、よく考えると、ヒコロヒーと椎名林檎は通じるところがあると気付いた。

それは「媚びない」感じ。

自分を貫いて、好きな人は好きでいて、でも嫌いな人は嫌いで結構。

わたしはわたしの道を逝きます。

みたいなスタンス。

完全には理解されないラインを絶妙に攻めてきて、そこにセンスや色気を感じるから我々は虜になっていくのではなかろうか。もっと知りたい、考察したい、近づきたい、と。

ヒコロヒーがカーテンコールで話していたが、この公演のタイトル「括れば踊れば」は「腹を括る」ことができれば、この世界で「踊り続けられる」という思いが込められている。

人生には腹を括らねばならない時が必ずある。

あれだけ売れても、まだ腹を括るという決意を持ったヒコロヒーはまだまだ突き進んでいくのだろう。

そしてわたしも。

腹括りレベルは足元にも及ばないけれど、覚悟を持って、もう一度自分がやりたいこと、なりたい姿に挑んでみようと思った。

諦めたり辞めたりする理由や言い訳はいくらでもあるけれど、今まさに第一線を走っている先輩や仲間が近くにいること、今も応援して期待してくれる人たちがいること、それだけで、続けていく価値はある。

グッズのライターを買う
徹子とヒコロヒーからお茶を頂きました。

でも、やめない。
※公演見た人しか分からないやつ

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