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ドラゴンクエストⅥ 幻の大地の感想(上)

 辰年ということでドラクエやるかあー。手元にあるのは1~6と8で、ここ10年プレイしてないのは6と8。8は賢者見殺しツアーとチャゴスがあんまりだったので消去法で6。
 オリジナルは発売直後に買って、『敢然と立ち向かう』が流れるオープニングイベント(wikiったら、こっちは『ムドーの城へ向かう』って別の曲らしい)からライフコッドの自宅から出たときに陽光が射す演出でVからの進化具合にびっくりした記憶だけが残ってて、話やバランスは何一つ覚えてないので手探りで進めることになりそう。たしかチャモロが意外と高くて、バーバラとテリーが弱いとかそんなだったっけ。

 金の竜のアニメーションがカッコいい     グラのクオリティが前作から跳ね上がりすぎ

ミレーユ加入まで

 ……で、シエーナに辿り着くまで2回全滅。シエーナに辿り着いてからも全滅。更に試練の塔でも全滅。もう少し先に進んで夢見のしずくの洞窟でも全滅。いや、このゲームきつくない!?

速い・躱す・痛い             硬い・痛い・回復までする

 主人公一人で先行が全く安定しないから回復ボーダーを高く設定してないとあっさりやられたり、火力不足で全く狩れなかったり。しかもこんぼう110G、どうのつるぎ270Gって尋常じゃないインフレが起こってる。新しい場所に付いたら周りで少し鍛えてから先に進むっていう、FC時代のRPGみたいな行動をしてないと容赦なく死ぬバランス。

 で、ここまでまったく話を思い出せなかったのに、大地の下に別の大地が広がってる箇所と、そこに落ちて自分自身が透明になって誰にも気づかれないという不思議な体験を村のおじいさんに話したところで、このゲームの致命的なネタバレを完全に思い出してしまった。

FF3の浮遊大陸みたい、って思ってました。   この爺さんのセリフでハッとするまではね。

 これ、主人公は姿を見せないレイドック城の王子で、実体のある方が主人公が見ている夢の世界(だからお爺さんのセリフは主客逆転してる)だよね。で、夢と現実の主人公が一つになってライデインを覚えて、ハッサンは大工の息子、ミレーユは元奴隷、バーバラはEDで消えて「生まれるだよ~!」でTHE END。あとロンガデセオって街に入るために『デセオのパス』ってアイテムが必要で「略し方おかしくない?ロサンゼルスをゼルスとは呼ばんだろ」って思ったよなァ~学生の頃の自分!

 驚愕の真実への気付きが失われてガッカリ感はあるけれど、それでも「こんな雑魚敵いたっけ?」「こんな街あったっけ?」「こんなイベント(略」が連続してるので、新しいところへ行くたびに驚きは感じますね。
 ただ、サンマリーノのイベントにドラクエの悪意を感じて心がやられたので今日はここまで。これさあ、イベント前にお手伝いのサンディと惹かれ合う町長の息子ジョセフに透明の状態で話しかけて「おお神様、サンディをお守りください!」にわざわざ「はい」って答える余地を残しておいてから、

聖剣伝説のお陰で「アマンダ」って名前けっこう好きだったんですけどね。

 サンディを快く思わない女が町長の飼っている犬の餌に毒を混ぜるシーンを主人公が目撃。無実の罪で牢に囚われるサンディ。それなのに主人公の姿は見えず声も届かない!というもどかしさを経験させて、「夢見のしずくを使えば姿が見えるようになる」ってヒントで洞窟に挑ませる。

 スカラはやめろ繰り返すスカラはやめろ     洞窟についてきたときに手助けしてよ……

 ギラ連発のベビーゴイルやらマヒ攻撃のヘルホーネットやらに死ぬ思いをさせられてボスをなんとか倒し、リレミトが使えないことにウンザリしながら帰ってミレーユを仲間に加え、さあサンディを救うぞ!って急いでサンマリーノにルーラすると、既に彼女は遠くへ売られていった後。

反省さえしないいじめっ子の理論。これも吐き気を催す邪悪じゃない、ブチャラティ?

 町長も「そういう大事なことは早く言ってもらわなきゃあね、もう手遅れだよ」と悪びれないし、孫の無罪を信じ続けたお爺さんは海の向こうに売られていった孫娘を想って港で呆けてしまっている。なんでこんな無力感を味わわさせられなきゃいけないんだ堀井さん。

 思い返せば4で美しくも悲しい復讐譚サイコーイェイイェイ!って盛り上がってたけど、5のゲマ周りは主人公が可哀想過ぎてドン引きしたし、7も悪趣味なイベントが多くてプレイするのが嫌でしょうがなかったなあ。悪者がいない曇らせは好きだけどこういうのは好まず……。
 とりあえず次回プレイは来週あたり。

ランドくん、MOTHERのポーキー枠かと思って構えてたけど、いい奴かもしれない。

ムドー(幻)撃破まで

 来週と言いつつ翌日に再開。悪が裁かれないという鬱展開を乗り越え、海を渡って下の世界(幻の大地=現実の世界?)のレイドック城へ。というか周囲の様子が上の世界(夢の世界?)と全然変わってるんですね。いや変わったというよりこっちが正しいのか?混乱してきたぞ。

  攻めづらそうな地形だ          ドラクエ名物テンプレクソ大臣

 その後、主人公の見た目が行方不明の王子にそっくりだったことで、これまた夢の世界のソルデイ兵士長そっくりのトム兵士長の手引きで城内へ。悪のゲバンを抹殺できるかと思ったら逆に「身分の卑しい者が街で貴族の服を買っていた」「本物の王子なら妹の名を答えられるはず」と詰め寄ってきた。4択の中にはターニアの名前もあったけどこれは引っ掛けで、妹などいない、が正解とみてBボタンキャンセル!……効かない。えーじゃあこれ正解が無いやつじゃん、といささかガッカリしながら適当に「セーラ」と回答すると案の定違ったらしく城を追い出されてしまう。王族を騙ったんだから良くて投獄、その場で死刑もあり得ると思ったのにとんだ甘ちゃんだぜ。

 で、行く当てもないのでそもそもの目的であったラーの鏡のヒントを求めて西のアモールへ。
 しかし……このゲーム、物価が高すぎる割に敵から手に入るゴールドが少ないせいか常にカネが足りませんね。ドラクエって序盤のモンスターが落とすのは金>経験値で中盤に不等号が逆転するイメージなんですが、6ははじめからほぼ金=経験値なんですよね。そのくせ普段ならお金を貯めて180Gのかわのよろいとか買ってるタイミングで350G~700Gくらいの装備がお店に並んでるイメージ。「攻撃力が2上がるとダメージが1上がる、守備力が4上がるとダメージが1減る」という有名なドラクエのダメージ計算式を知ってると、装備を更新してもダメージ1減るかどうかか……と及び腰になる。

物価が高くて稼ぎが追いつかない        人妻バニーとかいい趣味してるね

 シナリオの流れで教会のベッドを借りたら夢の世界で目覚めたようで、外に出ると清水を湛えた街の源泉たる滝が、なんかすごいことになってた。

 この絵面のインパクトよ          その血の量はおかしいだろ……

 どうも教会で下働きしている老婆の夢の中らしい。現実の世界では落盤で塞がっていた滝の洞窟も、ここでは時間軸が過去のものになっていて先に進める――あの。この夢の世界ってどういう位置づけなんですかね?

 「夢の世界」という巨大なサーバーがあって、個人が眠てる間そこにログインしているのか、個人ごとに時間軸も設定も別々のローカルサーバーがあって主人公たちだけがお邪魔する形でログインしているのか。
 夢の中のイベントが独立して相互に干渉できないなら後者なんだけど、ルーラで別のイベントで訪れた場所にも移動できるんですよね。一方で老婆の夢を根拠に「夢の世界の時間軸は現実と異なる」と言うにはリアルタイムでリンクしている部分が多すぎる。

 洞窟そのものは大したことなく、珍しくハッピーエンドで終わるエピソードでホッと。ただこれも、辛い過去を夢で追体験しその結末を変えたら現実世界でも救われたという、夢が現実を書き換えているのかタイムトラベルものなのか分からない結末。夢の世界のスタンスや主人公たちの存在をハッキリさせてくれないと中々腑に落ちてこない。

女の名前なのに……何だ男か           貴重なめでたしめでたし 

 続いてはラーの鏡が置いてあるギミック満載の塔の攻略なんですが……ここがめちゃめちゃダルい。
 原因は異様に高いエンカ率と全然ダメージが通らないうえ集団で出てきて一斉に凍り付く息を吐いてくるシャド一、同じく硬いうえマヌーサ効果のフラッシュやモシャスまで使うあくまのカガミ。相手してられないから即逃げ安定なんですが、似たような地形を上ったり下りたりするから今いる場所と進行方向を忘れやすくて、進んでいたつもりが3~4フロア巻き戻ってることさえある。

とびひざげりで3ダメしか入らない硬さ        制作者はRPG未経験者か?  

 それでもこの塔はまだマシだったんです。この次の地底魔城(というかストーンビースト)に比べれば。こいつのことはわざわざ書くまでも無いと思うのでドラクエwikiの記事にリンクしときますね。
 ボスのムドーはローテ行動なのか、全体に50ダメ与えてくる炎が連続することは無いしルカニは確定で通るしでそこまで苦戦せず。
 そして夢の世界のムドーの正体はレイドック王だったという衝撃展開。これに先立って夢の中のレイドック王=実は王妃様ということをラーの鏡で暴いていて、つまり、
現実の王妃:眠り続けている=夢の中ではレイドックの王
現実の王様:眠り続けている=夢の中ではムドー

 だったというわけ。しかも我に返った真のレイドック王は王妃とソルディ兵士長を伴って夢の世界のレイドック城へ凱旋……するかと思いきや夢の世界から現実に帰還している。

 じゃあ夢の世界ははじめから王妃様がいない扱いなの?現実の王様がムドーになる夢から覚めなくなった後を追うように王妃様も眠り続けたそうだけど、じゃあ夢の中で王様がムドーに、王妃様が王様になる前の夢の世界のレイドック城はどうなってたの?そしてお城の人たち、今も帰らぬ王を待ち続けているんだけど。
 おそらく、街の人の何気ない会話から時系列や以前の状況を類推することが可能なんだろうけど、今の段階では何とも言えませんね。ちょっと触っただけでもイベント進行で街の人のセリフは変わりまくるし、齟齬が無いように設定をしっかり練りこんでそうな雰囲気なので最後までプレイした後で初めからやり直すと手を打つことがありそう。そこまでする気力は無さそうですが、まだ中盤にも入ってないだろうに、好きな人はTHE・BESTに挙げてもおかしくない作りこみを感じますよこれ。

堀井さんはさあ……とりあえず鬱展開にすればいいと思ってる人?

真・ムドー撃破まで

 レイドック王から自分に代わってムドーを倒してくれ!とのお願い。 
 え……やだけど……と一度は断ったものの、話が先に進まないから仕方なく引き受ける。しかしムドーの島へ渡るための船はゲント族が持ってるから借りること、って紹介状を持たされて、しぶしぶゲント族の街を訪れると肝心の先方は貸せるわけねーだろ信仰の対象なんだぞとにべもない。完全に梯子を外されたところにチャモロ登場。

 個人的にはうげえとうとう来やがったなキーファとマリベルを下回るドラクエ史上最低の人間のクズ!口を開けば嫌味と暴言、神の子を自称して他人を見下すチビメガネ野郎め許しちゃおかねえと身構えたのに、なんか様子がおかしい。
 事務的ではあるものの立ち居振る舞いは丁寧だし虚栄心ではなく宗教的な情熱から船の貸し出しと主人公への同行を申し出てくれる。えっ、どういうこと?と思ったら自分のイメージは漫画版で原作とは乖離があるらしい。おのれガンガン。

ビビるくらいまとも。ガンガンの出版元のエニックスって会社はドラクエのこともう少し勉強してくれないとスクエニに失礼だよぷんぷん。

 こうなると本当に不安になってきたんだけど、自分ひょっとしたらドラクエ6プレイしたことないかも。
 海底神殿のキラーマジンガで全滅したり「産まれるだよー!」って画面を見た覚えはあるんだけど、弟のプレイを後ろから眺めてただけかもしれないしミーム化しててもおかしくないキャッチーなシーンだから記憶が混同してるだけということもあり得る。というかOPを除いてここに至るまですべてのイベントが新鮮で、「あったなあこんな話」ってのが一個も無いんだもの。

 ムドーの島の魔物は地底魔城に比べたら正直たいしたことないんだけど、異様に長いうえにエンカは率高いし(ドラクエ6自体がダンジョンのエンカ率高めなのか、移動スピードの上昇に比例してエンカ率が上がってる気がする)、こっちの火力不足も深刻。全体的にタフでハッサンと主人公だけでは落としきれないことが多いし、脅威が少ないとはいえ相手のペースで動かれると壊滅しかねないからミレーユは星のかけらで混乱狙い、チャモロはゲントの杖かマホトーンを優先する地味な戦闘が続く。もうレベル15くらいなのに従来のベギラマみたいな、習得することで雑魚戦のパワーバランスを一変させる強力な呪文が無いことが大きいんですよね。戦士・勇者・僧侶・僧侶って感じのPTだから負けない戦いはできても「ガンガンいこうぜ!」という気分にはなりづらい。

 それでも洞窟を通り抜けると見覚えのある野営地に。OPを再現する演出と、「この笛を吹けばあの時と同じようにムドーの城に運ばれていくでしょう」と何かに気付いている様子のミレーユ。これはめちゃめちゃ熱い演出で、オラァ!覚悟しろやムドー!

 意気揚々と城に乗り込んだものの頭の中では「道中長かったし、地底魔城と同じくブクマ可能なんだろうな。一度ゲントの村に戻って装備を更新してから再訪しよう」と計算してたんですよね。まさか後戻り不可とは……。

 敵も城までの洞窟とは比較にならないというか、単純に硬いわ強いわで狩れない敵が多い。どいつもこいつも星のかけらが効かないしマホトーンで封じながら殴るしかないのにチャモロのMPは別に潤沢ではないし、このあとムドー戦が控えてることを考えると消耗したくない。ということでほぼ全逃げしつつ受けた傷は大量の薬草で回復作戦。幸い道中は短かったからあっという間にムドー前まで来られましたね。

 そして決戦。
 ……個人的にドラクエでえっこれ負けイベだよね?ってなったボスは8のドルマゲスとレティスが双璧、強すぎだろ!って頭を抱えたのは7の山賊なんですが、ムドーもそこに食い込んできかねない強さ。いやこれ無理だろと何度も投げそうになったんですが、主人公が会心を2連続で出したりチャモロがヒュンケっ(HP1で耐え)たり、何が飛んできても死者が出る!ってタイミングでノーダメージのまぶしい光が飛んできたりたまたまハッサンにもたせてたアモールの水が先制したり、謎の噛み合いを見せてギリギリ勝利。

戦闘中はスクショどころじゃなかった       巨悪を滅ぼして自分探しの旅へ…… 

 とりあえずダーマ神殿が復活したのでこれからようやく転職です。次に行く場所が分からないので世界各地を周りながら熟練度稼ぎをしていきましょう。ハッサン→武闘家、主人公→僧侶、ミレーユ→魔法使い、バーバラ→踊り子、かなあ最初は。

祝勝ムードが一瞬で凍る

ジャミラス撃破まで

 とりあえず世界を巡りながら次の目的地を探すことに。ドラクエ6、状況が変わるたびに街の人のメッセージや配置が更新されるから街の人に話しかけるの好きなプレイヤーは本当に好きそう。

追い出されたメイドも晴れて若と一緒に       どう見てもポップの里帰り。  

 ただ、すべての街を回ったつもりなのに(何故か過去のアモールはルーラ登録されないし夢の世界で隔絶されてて行く手段がない。なんで?)、次に行く場所のヒントは「サンマリーノの北で人魚を見かけた」くらい。仕方なくそこを訪ねたもののあっという間に逃げられてしまい、仕方なくそのまま北上して対岸に上陸し、モンストルの街へ。……アモスってこいつか~。

 海底に人魚の街があるパターンか?       仲間にしたけど汎用グラは可哀想  

 アモス自体は苦もなく倒せたし理性のタネの山も強い敵はおらずスムーズに突破。で、やっぱり行くところがなかったのでそのままお隣の陸地に進んでアークボルト城に。話の流れでこの城のトップ騎士ブラストと戦うことになったものの、ここで大ブレーキ。

 当時流行のキャラまんまって性格        5連敗。ムドーより強くない?  

 全体攻撃、正拳突き、はやぶさ斬り、ルカナンを使ってきて、バーバラははやぶさ斬りで死亡、正拳突きをくらうとミレーユまで即死。素早さも高く行動順が安定しないしやたらこっちの攻撃は躱される(ハッサンの正拳突きの命中率が低い?)、ルカニは通りづらくマヌーサ、ラリホーは無効、HPもやたら高いうえ攻撃呪文にも耐性アリって馬鹿げた性能。
 
 いろいろ試してみて、どうしてもこのままじゃ勝てないと思ったので転職がてら稼ぐことにしました。
 全員で延々と僧侶を鍛え、スクルトを覚えたところで今度は全員で戦士(HP底上げ)になって再戦。最初のターンは4人がかりでスクルト、次のターンからハッサンはたたかう、主人公とバーバラは2回通るまでルカニ、ミレーユは適当にゲントの杖でサポート、という形で戦ったらかなり安定して勝てました。6ってまだ時間経過でスクルト切れないんですね。だとしたら今後のボス戦も最初に全員で固める戦略は通じそう。

 アークボルトの先にある洞窟を抜け、マップチップを間違えて置いたとしか思えない階段を登ると夢の世界。さらに進んで砂漠の真ん中には、崩れた壁と枯れた井戸の周りでぼんやりとした不幸を嘆く人たちの街。

 街の中は「しあわせの国」の噂で持ち切りで、そこへゆけば誰もが一生遊んで暮らせるという……胡散臭いにも程がある。北朝鮮が元ネタだと思うんだけど5の光の教団といい、この辺のエピソードは堀井さんの手癖が凄く分かりやすい。

 (この人はこのあと騙されます)        読めてた展開過ぎて苦笑    

 着れていかれた先にいたボスはジャミラス。口調からムドーと同格かちょっと落ちるくらいのモンスターだと思われるものの、スクルト作戦でほぼ完封できたしコイツ相手には何故か正拳突きがよく当たったので楽勝でしたね。ひょっとすると正拳突きもメラとかイオと同じく属性持ちなのかも。

興味深い話。夢の世界では肉体の死そのものがありえない?となるとダーマの神殿は現実で滅ぼされたもののその存在を夢見た人たちのお陰で夢の世界には存在していて、それをムドーが封印していたことになるのかな。

 現在ストーリー全体でどのあたりなのか分からないけど、ドラクエ6の問題点が見えてきたからこの時点での感想ということでまとめておこう。

◯敵がタフすぎる
 満場一致でこれが一番の問題。今までのドラクエより1.5~2倍くらい高いイメージで、メラミで60ダメ通ったマリンスライムが倒れない。調べてみたらDQ3のマリンスライムのHPが38なのに対してDQ6は90。更にDQ3で雑魚のHPが100を超えだすのはだいたいネクロゴンド辺りからなのに対し、DQ6はムドーの城で100超えが目に付きはじめる(その前から出てくるレッサーデーモンはHP145!)。序盤の山場ではあるけれどレベル16~19程度で挑まされるのはキツい。
 
 別のゲーム、別のバランスで作られてるゲームなのに比べる意味は無い、って言われそうですね。自分だって適正レベル相手にベギラマ撃って簡単にザコ散らしできるならば、メラミ1発で無双できるならば、こんなこと言いませんよ。
 でも、呪文や武器攻撃のダメージはそのままにHPだけ引き上げてるんだからそりゃ戦闘の難度は高くなるしテンポも悪い。ついでに言うとやたら硬いザコが序盤からゾロゾロ出てくるのもウンザリを加速させる。シールドこぞうにあくまのカガミ、シャドー、エビルポット、ストーンビーストにデビルアーマー……。

◯先制できない、行動順が安定しない
 今作の敵はやたら素早いというか、ノロマそうなオークや魔道士系、老人っぽい敵でも容易に先手を取ってくる。一部の雑魚が素早いとかじゃなく、全体的に素早いんですよね。味方だとミレーユが一番素早いはずなんですが、はやてのリングを付けてないと先行が安定しないし、魔法系で育てようと転職すると素早さにマイナス補正がかかるからますます傾向が強まる。
 
 こうなると何が問題って、「最初に全体攻撃でまんべんなく削ろう」とか「とりあえず面倒な1匹を倒そう」とか「危ないから先制して回復しよう」とか、このあたりの行動が全部バクチになる。戦術が運任せになるか、あるいは安全策を取るためにより慎重な立ち回りを求められるか。いずれにしても面倒な話。

◯目的がぼんやりしすぎ
 魔王ムドーを倒して、「夢の世界の精神体である主人公が、世界のどこかにいるはずの現実世界の自分を見つけ一つになること」が旅の目的の筈なんだけど、これが雲を掴むような話。
 ただ、だからと言って城の兵士たち相手に腕試しをして王様に実力を認めさせ、洞窟でとおせんぼしてるモンスターの討伐に向かう必要あります?もうブラストさんを一蹴した謎の男が行ってるのに。まあ、彼一人じゃ危険かもしれないし自分たちも先へ行きたいから討伐に参加しようってなら分かりますよ。じゃあ胡散臭いしあわせの国に乗り込む理由は?さらに怪しい神の国とやらを目標にしなくていいでしょ?

 RPGは主人公になりきってプレイする派なので、必須行動があるなら理由が欲しいんですよね。こんな露骨な導線は無視したいんですが、なぜか謀ったように険しい山脈や浅瀬で区切られていたり関所を守る兵士がいたりで他に行けるところがないから従わざるを得ない。
 個人的な感覚だと、「提示されたヒントのとおりに行動しろ、さもなくば……」って脅されているような、ゲーム側で敷かれたレール通りに進行させられてる気分になって非常に苦痛。

 ハッサンが「しあわせの国とやらに行ってみようぜ」って言うだけでいいんですよ。バーバラが「神様に会えたら主人公の本体や自分の記憶のことも一気に解決するんじゃない?」って言ってくれればやる気になるんですよ。
 ドラクエだとロトシリーズはどれも世界征服を企む悪を倒すことが大目標で、4は勇者として生まれた自分の命を狙ってくる魔族との戦い、5はパパスの遺志を継いで勇者を探すこと、まだ生きている母親に会いたいという思いが辛い旅でも続けようというモチベーションに繋がる。
 6は世界設定こそ深いものの主人公が冒険を続けるエクスキューズが足りてないんじゃないかなって印象です。

この意味不明な展開、伏線だったりするのか……?

空飛ぶベッド入手まで

 前回ジャミラスを倒したことでメダル王の城が復活したので寄り道。ギリギリてんばつのつえが貰えないくらいしか集まってなかったから、また今度来ましょう。それより大事のはスライムのこのセリフ。

 つまり人々の記憶に残ってれば夢の世界では(当人が既に死んでいても)行き続けられるってこと?これ世界観の補完のためにめちゃめちゃ大事な話だと思うんですけど。じゃあトム兵士長(ソルディ兵士長)も生きてるかもしれないし、人口に膾炙するような人は夢の世界で生き続けるってことじゃないですか。

 閑話休題。カルカド南の大海原に浮かぶ島の階段を下りた先にあったのはホルストック王国。この国では王子が15歳になると洗礼の祠で儀式を行うことが王位継承の条件になっているものの、当代のホルス王子はいたずら好きの意気地なしで周囲が心配しているとのこと。そこで王様は主人公たちにホルス王子の護衛を依頼する。

 ダメ王子のお守りをさせられるのって90年代のRPGあるあるだけど、ドラクエシリーズでさえこのネタ複数回使われてない?気のせい?既視感を覚えるのはホルス王子の態度が幼ヘンリーやチャゴスに重なるからかな。
 ただホルス王子が酷いのはイベント中再三に渡って逃げ出すこと。面倒だから障害を排除してから連れ戻そうと試みたものの、この祠はホルストック王家に連なるものでなければ先に進めない仕掛けがあるらしくホルス王子がいなきゃ話にならない。でもこのガキ、試練の番人と戦うたびに逃げちゃうんだよなあ……。

 試練は3段階。パワーファイターの試練2はスクルト連打で余裕だったものの、全体にメダパニをかけ続ける試練1は混乱耐性持ちのミレーユがいなければ危うかった。混乱って、今も昔も治療の方法が全然ありませんね。試練3は完全2回行動でルカナン+何か、って動きだけど、ずっとスクルトをかけ続けてれば怖い相手じゃない。
 無事に試練を終えたホルス王子は真面目で前向きになりましたとさ。……本当?最後までグチグチ言いながら滝行しただけだよ彼。

ドラクエ6最大のサービスシーン

 王様からもらった魔法のカギでホルストック南の小屋に侵入すると井戸がポツンと。進んだ先は夢の世界でクリアベールという街。ここでは空飛ぶベッドの話題を耳にしたものの、発生するイベントも無さそうなのでそのまま周囲を探索したら、今度は現実世界への下り階段が。
 フィールドに点在するこの階段、アークボルト北西の一軒家の人のセリフからどうも主人公たち以外にも見えてるらしいんだけど、こんな物理的な方法で夢と現実を行き来できるというのも異様というか、シナリオ進行の都合における苦肉の策という感じを受ける。

 正直、夢の世界では地図が見られないし地域間の移動にワープを多用されると位置関係が全然頭に入らないんですよね。ドラクエ1~4のマップを今でも覚えているのは子供の頃の記憶力のおかげだろうけど、ドラクエがエピソード制になったのも大きいと思います。

 昔のドラクエにおける街は、イベントの起点ではなく旅の拠点・中継点として機能するケースも多かった(2はリリザやムーンペタ、3だとカザーブやアッサラーム、4の5章は多数)のに、6以降は(特に7は露骨に)1~2個の街とダンジョンをセットにして、事件発生→ダンジョン攻略→報告で1セットになるパターンばっかり。DQ4の1章が小規模クエスト形式の手本みたいな出来なので、ドラクエにおいてはここが転換点だったのかもしれませんね。

 この形式はエピソードごとに話をまとめやすく難易度調整も容易になりそうなものなんですが、完全にお使いRPGになっちゃって自由に冒険してる感は薄れるから……まあ好き好きですね。
 とまれ、階段を下りると現実のクリアベールの街が。収集した情報をまとめると、空飛ぶベッドの正体は生まれつき体が弱く寝たきりだった少年がベッドに横たわったまま自由に空を飛ぶ夢を見ていたもの。夢の世界で空飛ぶベッドを見かけなくなった理由は……その少年が亡くなったから。
 子供に何もしてあげられなかったと悲しむ両親は、せめて北の岸壁の頂上にある岩を墓前に供えたいと言っているが……あー!はいはい!俺が行かないとストーリーが進まないのね!

 ドラクエ5がストーリー偏重になったことで、自分の意思で冒険し発見する面白さを感じてほしいってテーマに作られたのがドラクエ6だそうだけど(要出典)、この実装で本当にそれが叶ってます?堀井さん。

 岸壁の狭い岩場は登攀ルートから外れると下に落ちてしまうため慎重な操作が要求される。要するにイライラ棒みたいなものなんだけど、6で大幅に向上したダンジョン内の移動速度がマイナスに働いてて面白かった。見えている横穴に入るため崖から飛び降りたりと、1枚マップでダイナミックに視点が上下するから見た目にも楽しい。

人生初メガンテの惨状。このあとザオラルしてたらもう一回食らってハッサンしか残らなかった。

 さて、頂上で手に入れた岩を加工して墓前に供え、死んだ子の霊が慰められたことで空飛ぶベッドを入手……するんだが、これによって一気に行動範囲が広がるかというとそんなこともなく。というのも、海も浅瀬も渡れるけれどこの乗り物じゃあ森や山は越えられないのよね。行けるところは厳密に区切られてるし、頑張って先々の街へ行ってもフラグが立ってないから何も起こらなかったり通行証が無いために入れなかったりする。

何もできませんがお礼に死んだ息子のベッドで休んでいってくださいとか言い出すサイコ。
そしてベッドで寝たら夢の世界にワープしてしまった一行。              
いや、少なくともハッサンはもう精神体じゃないだろ設定どうなってんだ。       

 行けるところがないからウロウロしたら見えてきた占いの館で次に行くべきところを占ってもらうと、北の方に井戸があるぞ、と。なるほど、その井戸から下の世界に降りると次の目的地なのね。促されるままに井戸に向かうと中に人がいて、「ここから下に降りればフォーン城があるぞ」とか。

山と森で覆われた不自然な海岸線         「下に降りる!?」ビキィ   

 いや、今までもこのゲームの窮屈なデザインにはずっと不満を漏らしてたけど、これは無いわ。
 繰り返しになるけれど自分がRPGに求めるものは、自分が主人公になりきって冒険できること。そのためには自由な意思決定(PT選択・スキルビルド・サブイベント等)が確保されてると嬉しいけど、一方でNPCが実際に生活していると感じられるステキな箱庭が成立してるなら終始お使いゲーでも世界観にどっぷり浸れて好きなんです。

 翻ってこの大臣っぽいオッサンのセリフ。夢の世界に対して現実の世界を「下」と表現するこの老人のセリフは分かりやすいが短絡的。
 プレイヤーが世界を上下に分かれていると認識しているのは序盤に大地の切れ目から現実の世界に落下したり、(何故かフィールドにある)階段を上り下りしたからで、この人が安易に「下におりる」と表現してしまうのは世界観をぶち壊しかねない。
 だって少なくともこの人は2つの世界とその位置関係を認識していて、夢の世界に生きながら現実にしか存在しないフォーン城とその地の噂話を知りうる立場にあるということ。じゃあこの人は何者なのか?この世界の住民はフィールドの階段を通じて相互通行できるのか?夢の世界の住人は現実世界を認識できるのか?といった疑問が一斉に噴き出す。

 多くは語らずプレイヤーの感じ方に委ねるのもいいですよ。ただその前に、世界設定を曖昧なままにせずキチンと煮詰めてあるのか?という疑問が生じてしまうんです。

襲いかかり→やけつく息4HITという開幕10割。

 ヤバい!DQ6思った以上に話が長くてぜんぜん終わらない!もう少し続きます。

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