バナナ注意報
朝起きたら、バナナが腐っていた。
おかしいな。昨日までは、まだ食べられる状態だと思っていたのに。
程よく熟れて、柔らかくて、甘くて。そんな一番おいしい状態を迎えていて、そろそろ食べよう、後で食べよう、さあ食べよう、と思っていたのに。
目の前にあるバナナは、皮の大部分が黒くなって、持ったらふにゃふにゃと崩れてしまいそうだ。香りは甘いを通り越して鼻につく。こうなるともう、ケーキの材料にするのも躊躇われる。
「熟れておいしい」と「熟れすぎて食べられない」の境目は、恐ろしいほど近い。
わたしはいつもそう。
持ち続けて、持て余しているうちに、腐らせてしまう。
バナナも。あの人への想いも。
そうなる前に、何とかしないと。手放さないと。
今朝も夢を見てしまった。それはそれは楽しい夢だった。
自分から連絡はしない。でも待っても何も起こらない。
このままでは腐ってしまう。
腐ったらもう、捨てるしかなくなる。
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