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利用者・家族・職員間のトラブルを未然に防ぐ方法

介護現場は、利用者さん、そのご家族、そして職員同士が密接に関わる場所です。多様な立場や価値観を持つ人々が関わるため、時にはトラブルが発生することもあります。小さなすれ違いや誤解が大きな問題に発展することもあるため、トラブルを未然に防ぐための心がけと対応力が重要です。

特に、60歳から介護職を始められた方々にとっては、新しい環境での人間関係に不安を感じることもあるかもしれません。しかし、これまで培ってきた人生経験や人間関係のスキルが、大きな力となります。

今回は、利用者・家族・職員間で起こりがちなトラブルの例と、その予防方法、トラブルが発生した際の適切な対処法についてご紹介します。

なぜ介護現場でトラブルが発生するのか?

1. 立場や価値観の違い

  • 利用者さんは「自分らしい生活」を望み、ご家族は「安全で安心できる介護」を希望します。

  • 職員は施設のルールや介護方針に基づいてサポートを行うため、意見の食い違いが生じやすいのです。

2. コミュニケーション不足

  • 「伝えたつもり」「わかってくれているはず」という思い込みから誤解が生じることがあります。

  • 特に利用者さんの気持ちやご家族の要望を十分に確認しないまま対応を進めると、不満や不信感を生むことに。

3. 介護現場特有のストレス

  • 介護は身体的・精神的に負担が大きいため、職員間でも感情的になりやすい場面が出てきます。

  • 忙しさや責任感から余裕を失い、ちょっとした言動がトラブルの引き金になることも。

4. 情報共有の不足

  • 利用者さんの体調や状態の変化を職員同士で共有できていないと、ケアのズレが生じてしまいます。

  • これが原因でご家族からの信頼を失ったり、利用者さんの不安を招いたりすることもあります。

トラブルを未然に防ぐためのポイント

1. 丁寧なコミュニケーションを心がける

  • 利用者さんやご家族の声をしっかりと「聴く」ことが基本です。

  • 「何か気になることはありませんか?」と日常的に声をかけ、話しやすい雰囲気を作りましょう。

  • 利用者さんの小さな変化や言葉にも耳を傾けることが、不満や不安を早期に察知する手がかりになります。

2. 情報共有を徹底する

  • 職員同士での情報共有は、トラブル防止に欠かせません。

  • 申し送りやミーティングの際に、利用者さんの状態やご家族の要望を共有し、全員が同じ方向を向いてケアを行いましょう。

  • 「この前、○○さんがこんなことをおっしゃっていました。気にしている様子なので気をつけましょう」と共有することが、トラブルを未然に防ぎます。

3. 期待値を合わせる

  • ご家族や利用者さんが期待するケア内容と、施設や職員が提供できるサービスの範囲を明確にします。

  • できること・できないことを最初に丁寧に説明し、誤解や不満を防ぐことが大切です。

  • 「ご要望にお応えできる部分と、難しい部分がありますが、できる限りサポートいたしますね」と誠実に伝えることが信頼につながります。

4. 尊重と共感の姿勢を持つ

  • 利用者さんの生活歴や価値観を尊重し、「その方らしさ」を大切にした対応を心がけます。

  • ご家族に対しても、「大切なご家族をお預かりしている」という気持ちを持って接することで、良好な関係が築けます。

  • 「○○さんが大事にしてきたことなんですね。教えていただきありがとうございます」と共感を示すことで、信頼関係が深まります。

5. トラブルの兆候を早期にキャッチする

  • 表情や言葉に違和感を覚えたときは、そのままにせず確認します。

  • 「先ほどのことで何か気になることがあれば教えてくださいね」と声をかけることで、早めの対処が可能になります。

トラブルが発生してしまったときの対応策

1. 感情的にならず、冷静に対応する

  • トラブルが発生した際は、まず冷静さを保つことが最優先です。

  • 相手の話を最後まで聞き、途中で言い訳や反論をしないように心がけます。

  • 「お気持ちを聞かせていただきありがとうございます」と、相手の気持ちを尊重する姿勢を示しましょう。

2. 事実確認を行う

  • トラブルの内容を正確に把握するために、関係者全員から話を聞きます。

  • 感情論ではなく、事実に基づいた解決を目指します。

3. 必要に応じて第三者を交える

  • 話し合いがこじれてしまった場合は、上司や責任者など第三者に介入してもらいます。

  • 客観的な視点で問題を整理し、公正な解決を目指すことが重要です。

4. 解決後のフォローを怠らない

  • 問題が解決した後も、「その後いかがですか?」と声をかけ、関係修復に努めます。

  • 再発防止のために、職員同士で反省点や改善策を共有し、次に活かしましょう。

60歳から介護職を選ばれた方々へ

60歳から介護職を始められた皆さん。介護現場での人間関係やトラブル対応に、不安を感じることもあるでしょう。しかし、これまでの人生経験や人との関わりを大切にしてきた皆さんだからこそ、相手の気持ちに寄り添った対応ができるはずです。

トラブルが発生しても、「自分のせいだ」と責める必要はありません。重要なのは、問題をどのように受け止め、解決へと導くかです。皆さんの落ち着いた対応や、相手を尊重する気持ちが、介護現場をより安心できる場所に変えていきます。

「あなたがいてくれて良かった」と感じてもらえるような存在を目指して、無理をせず、ご自身のペースで一歩ずつ進んでください。

まとめ

  • 介護現場でのトラブルは、立場や価値観の違い、コミュニケーション不足、ストレス、情報共有の欠如から発生する

  • トラブルを未然に防ぐには、丁寧なコミュニケーション、情報共有、期待値の調整、尊重と共感の姿勢が必要

  • トラブルが発生した場合は、冷静な対応、事実確認、第三者の介入、解決後のフォローが重要

  • 相手の立場に立った対応と、焦らず無理のない姿勢が信頼関係の構築につながる

利用者さんやご家族、職員同士が気持ちよく過ごせる環境を作るために、日々の小さな気配りや声かけを大切にしていきましょう。
皆さんの温かなサポートが、介護現場をもっと安心で笑顔あふれる場所にしていきます。


トラブル解決後に介護職員が利用者と家族に笑顔で声をかける温かなシーン

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