お酒をもらってくれませんか

この日記の裏テーマは禁酒日記なので、禁酒関連のことも書こうかとおもう。

社会人になってから私はお酒を飲むようになった。
お酒をのんで文句を言ったり、度が強いお酒をたくさん飲んで嫌なことを忘れようとしたり、
その結果二日酔いで次の日の朝はトイレから離れられない、なんてことも増えた。

大学院生時代には考えられないような習慣である。

そんなわけで我が家には今、4本の酒缶がある。
二缶は実家で正月にもらったビール、一缶はストレスが溜まった日に買ったハイボール、そしてあと一缶はアキ・カウリスマキの最新映画「枯れ葉」を映画館で鑑賞した時にもらったロンケロという名前のお酒だ。

ロンケロを渡すのは非常に心苦しいのだが…

でも、私はお酒を飲んだっていいことはないんだ!でぶになるだけだ!禁酒だ!

と言い聞かせ、心を鬼にして、
昼休みに職場の同僚(友人)にこんなお願いをしたのだ。

「あのう…私禁酒するので、お酒をもらってもらえませんか…?」

その同僚とはよく飲みに行く仲なので、私の禁酒宣言にやや驚いた顔をしていた。

「4缶?いいですけど…。あとロンケロってなんすか?」
「フィンランドのお酒で、スポーツドリンクみたいな味がします。酎ハイみたいな感じです」
「なるほど。昔流行ったスミノフみたいな感じ?」
「はい。方向性的にはそんな感じかと」

ロンケロがスミノフに似ているかどうかは異論がありそうだが、まあ、味は似てなくないだろう。

同僚は快く4缶引き受けてくれた。
一方で、私の見間違いでなければ、いきなりの禁酒宣言に少し寂しそうな顔を同僚がしたような、気がした。

慌ててこう弁解した。
「いや、あの、ごはんにはいきますからね!〇〇(同僚の名前)さんも飲んでください!私は飲まないんですけど!!また誘いますし誘ってくださいね!」

その同僚はわかりました〜、と言ってにこにこしていた。

===
夕方、職場で久しぶりに別部署で働く私の同期に会ったので、一緒に帰った。
私がダイエットをしているから、ということで一駅分歩くのに付き合ってもらった。

数ヶ月ぶりに会ったその同期といろんな話をした。
でも話した内容はそんなに覚えていない。素面なのに私の口調はまるで酔っ払いのようだった。

ごめん何話してるかわかんないよね、酔っ払いみたいだよね、とその同期に謝ったら、
「雰囲気酔いてきな?」
とにやにやされた。

雰囲気酔い。
そうかもしれない。

私はお酒がなくても酔っぱらえる楽しい人なのかもしれない。
だから私はお酒を飲みたいんじゃなくて、誰かと一緒にいるための口実としてお酒を利用しているだけなのかもしれない。

お酒があってもなくても楽しいときは楽しいし、大切にしたい絆を大切にできるよね。


同期と駅で別れてから、そんなことを考えていた。
===
※カウリスマキの新作「枯れ葉」はとても良かった。はからずもその映画の主人公の一人が、アル中で仕事を失った孤独な男性だった。
※※その男性が恋に落ちるのが、理不尽なことでスーパーのレジ打ちをクビになった女性。その女性には素敵な同僚が複数名いて、スーパーで理不尽にクビになるその女性をかばってくれていた。


そんな、皆様からサポートをいただけるような文章は一つも書いておりませんでして…