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今気になる黒ワインさんに会ってみた

黒ワインさん:何でインタビューしたいんですか?笑

ーただただ興味があるからです。笑


noteをやっている、見ている人で、特に飲食関係者はこの人を知らない人はいないんじゃないか、という人にお会いしました。僕は黒ワインさんのことはnoteで存在を知ったのですが、飲食店で働く者にとって非常に興味深い文章でした。一体こういう文章を書く人はどういう人なんだろう気になっていたんです。黒ワインさんの考えというのは、もういくつかノートに書かれているので読んでいただければわかると思いますが、ここまでの考えになった、思うようになったのはどのような経験をしてきたからかお話いただけました。


noteを始めた理由

ー僕はそうだったのですが、黒ワインさんを初めて知ったのはnoteという人も多いと思うのですが、そもそもnoteにあのような内容のことを書こうと思ったきっかけをあらためて伺いたいのですが。

僕はTwitterもやっているんですが、こちらは後から知りましたか?

ー後ですね。ちなみにどちらが本性なんですか。

えーと、どっちもです。TwitterはTwitterの人格でやっているので。媒体の色が違うから、効果的な内容はそれぞれ違うじゃないですか。Twitterのほうはちょっとやんちゃにはするんですけどね。noteは真面目では無いですが、ちゃんと語ろうと思っています。

ーどっちがメインというのはあるのですか。

ないですね、どっちも僕なので。noteの方しか好きじゃない人もいるだろうし、 Twitterの方が僕だと思っている人もいると思うし、まぁどっちも僕ですね。見せ方を書いているだけで、根っこは一緒です。

ーnoteの方が不特定多数の人に発信というよりかは、ある特定の人に絞ったというように思うのですが。

1番最初のnoteは、2000以上のスキがついたのですが、

もともとTwitterで、ある飲食店に勤務している男の子がこんなお客さんが来たんですけど皆さんどう思いますか、文化を知らない人間が来て呆れます、みたいな内容が書いてあって、拡散希望みたいなことが書いてあったんです。気持ちはわかるけど、君がやっている事は間違いなんだよなということを思ったんです。その男の子とはTwitterではやりとりはあって、多分若い子で真面目に勉強していると思うんです。最初は彼だけのために書いたんです。他の人に読んでもらう気なんて全くなくて、、

ー本当ですか?

本当です。Twitterだと文字数が足りないから何かいい媒体ないかなぁと思って、知り合いでnoteを紹介してもらったんですけど、長文も書けるしいいなと思って書いたんです。

ーでも、あの量の文章というのはある程度考えているというか、思っていることがないと書けないとは思うのですが。

多分思っていたとは思います。あの最初のnoteがきっかけで、自分の考え方とか、接客に対する姿勢とか、ある程度周りから評価されるものなんだというのを初めて知ったんです。僕も。それまでそんなこと思っていなかったんです。じゃあ、もう少し書いてみようと思って続けて書いたら、やっぱり反応がいいと。人のためになるんじゃないかと思って書き続けてみたという感じです。最初は続けるつもりなんて全くありませんでした。たまたまバズっただけです。
ただ、(最初のnoteは)その男の子のためだけに書いたので、彼が納得するようなロジックをあの中に入れているんです。だから他の人が読んだときに、こいつ生意気だと思う部分が多々あると思います。それはしょうがないんです。そういうふうに書いてないから。実際変なリプもたくさんきましたし。

ーやっぱりくるんですねそういうの。反応はどういうものがあったのかっていうのは興味があるんですけど。

1%位でしたね、全く意図を読んでいない反応はありました。

ー良い悪いを含めてどういう方から反応がありましたか。やっぱり同業の方が多いんですかね。

ほとんど好意的な反応でした。同業もあったし、お客様も結構多かったです。経営者の方ともあれでつながってくれました。あとお医者さんとか。患者さんと向き合う時に、やっぱり似ている部分があるみたいですね。僕も驚きました。こんなに反響があるのだと。

ーご自身の思ってる以上に反響があったという感じみたいですが、あまりに反響がありすぎてもう嫌になったりはしなかったんですか。

僕は全然接客の仕事ができなかったんですよ。仕事どころか、コミニケーション能力もない人間だったんです。でも、仕事に救われたと言うつもりはないですが、いろいろ考えていく中で、僕でもやれるんだなという瞬間があって、それまでは辛かったのですが。

やめようと思ったこともあったし、実際に何度も逃げてますし、別に接客って、難しいんですけど、誰にでもできると思っているんですよ。僕はいろんな上司にお前は接客に向いていないと言われました。向いてないからやめたほうがいいと。そういう人間が、noteに書いてあれだけ反響があるならもっと伝えられるのではないかと。自分が持っている接客技術を、自分の中だけにあるのはなんかもったいないなと思っていて、それを今伝える良い機会だと思って書き始めています。

今年の初めからは有料で接客技術のことを書いていますが、あれなんかは完全にレストランで働いている人向けに書いてますね。レストランで働く人が、もっとこういう風に考えれば楽しくできるようになと、レベルを上げて自分の価値を上げられるような事はたくさんあるので、それを伝えられていければ働きやすくなるのかなと思っています。


黒ワインさんの経歴

ーそのような考えに至るまでの経歴を教えていただいていいですか。

大学を出てから、飲食以外の仕事を2つやっています。短いですけどね。半年と後は1年位。その後に飲食に入りました。最初1人でリストランテのホールやれみたいになって。自分からお願いしたのでしょうがないんですが。これも最初のノートに書いてある話ですよね。ここのお店が2年半位です。その後に、僕がよく酒の師匠と書いているんですが、2ヶ月だけ働いたバーがあるんですが、そこでボコボコにされました。

ー100個質問のところですか?

そうです。その人です。笑

ーそこは2ヶ月なんですね。

そうですね。これを師匠が見ると、お前2ヶ月しか働かなかったっていうのは外で言わないほうがいいよと言われたのでどっかで見られることがあったら馬鹿にされるんですが、僕はめちゃくちゃ得るものがあったのでこれは絶対抜けないんですよね。馬鹿にされても。その後に東京に来たんです。星付きのお店で働きたくて、都内にあるお店に全部電話しました。

ーイタリアンですか。

そうです。で、働くことになったんですがこれも2ヶ月位でメンタルがやられてしまって辞めてしまいました。その後鬱っぽくなってしまって、しばらく違う仕事をしていたのですが、横浜のリストランテの立ち上げに誘われて働き始めました。そこは2年半ぐらい働きました。全部合わせて7年位ですね。

ー飲食をやってきて、嫌な事と良いことを比べると圧倒的に嫌なことの方が多くないですか。

多いですね。めちゃくちゃ多いですね笑 

ーそれをどう乗り越えたかというか、どういうふうに捉えてきたのかが興味あるのですが。

僕乗り越えてないです。辞めてるから笑

ーでも笑 noteを読んでいる限り十分に自分なりに対処してきたというか、経験もあるし、でないとあのように伝えるように文章は書けないと思うのですが。もっと前の段階で辞めている人がほとんどだと思うので。1年以内に辞める人もすごく多いですし。

そうですね。なんですかね。単純に悔しかったんだと思います。言葉が難しいんですが、誤解を恐れずにいうと飲食は誰でもできるじゃないですか。学歴を自慢するつもりは全くないのですが、僕は国立(大学)を出てまして、なんで誰にでもできることが僕にはできないんだろうと思ったことはありました。最後のお店の店長がすごい良い人で助けられたというのはあります。その人にこれから毎日発泡酒奢るから、話しながら帰ろう、と言われたんです。その日のサービスについての話をずっとするんですよね。それで接客の楽しさというのを感じて続けられたんだと思います。

ーそういう話は全く興味ない人には鬱陶しいだけじゃないですか。そういうふうには思ったりしませんでしたか笑

ないですね笑 仕事の質をあげたいというのはずっとあって、銀座で働いた時も仕事誰も教えてくれないんですよ。忙しいのもありますが。最初回せるようになって、それからは何もないんですよ。これではだめだと思って、自分から仕事を増やそうという意識はありました。仕事を奪っていかないと自分のキャリアは増えないという感覚があったので楽しかったんだと思います。

ー自分から仕事を増やそうという意識、なかなかできないことではあると思いますが、そういったことを後輩などにもとめますか?

それは無理ですね。ただきっかけは作れるとは思います。


これから書いていきたい、伝えたいこと

ーnoteを読んだ全体的な感想なんですが、やってほしいこと、やらなくてはいけないことをしっかりと伝えていきたいという思いはどれくらいあるのでしょうか。

仕事は絶対にできる方が面白いじゃないですか。自分ができることが増えた方が、絶対楽しいし、例えばレストランのテーブルの担当になって、今日は〇〇さんが接客してくれて楽しかった、と言われるとそれがやりがいだったりするじゃないですか。そこに行くまでは覚えなければいけないことがたくさんあって、大変なんですけど、やっぱりそこには行って欲しいですね。あと前から意識していて今でもそうなんですが、自分の価値を上げて、自分の給料上げて欲しいんですよね。僕は2000円のグラスワインが売れて、あの子は1000円のグラスワインしか売れなかったとすると、僕の方が重宝されるわけじゃないですか。それで、給料が上がったらまた別なことを経験できる、それでまたスキルアップができるから、結果的にいろんなことが楽しくなるんですよね。それは働かされている感が強いと気づけないから、ただ回しているだけみたいになってしまう。レストランの仕事というのはほとんどルーティーンだから、それだけで疲弊してしまうけど、細かいところに自分の価値を上げるところはたくさんあって、でもそれは誰も教えてくれないわけです。僕は教えてもらえなかったので。こういうことを覚えるともっと楽しくなるからやろうぜ、ということを僕は有料のnoteに書いているんです。そこに反応してくれる人は結構いるんで、反応してくれるのなら望みはあるなと。

ー現場では実際に、この人は凄いと思える人が現れてそういうふうに教えてくれる人がいない限りは難しいということでしょうか。自分で楽しさに気づけない限り。

そうじゃないですかね。全員を救おうとは思っていないので。救うという言いかたはおかしいですけれども。

ー僕が聞きたかったのはその部分でもあります。

全員に伝えようと思っていないです。伝わらない人には伝わらないので。


お客さんを喜ばせることが大事だよねーと言っている人に限って、じゃあどうすればいいかわからないみたいなことが多いですよね。何をしたいんだろうとか。なんとなく空気感だけ伝わって、お客さんのために一生懸命考えればいいんだ、だけ乗っかる人が多いんですけど、でも実際現場で何していいかわからないじゃないですか。

ーそうですね。

何していいかわからないというのは、何もしなくていいというのと一緒なので、そのレベルに食いつく人が多いんじゃないですか。僕は結構これをしようぜというのは書くようにしています。具体的な行動は絶対に書くようにしているので、少なくとも有料の方には一例を必ず書いています。ただ書いてもやらないです。やらないのは9割以上なんです。そういうのを見ているので、全員に伝えようとは思わないですよ。意識の高い人だけに伝われば良いというのはあります。


接客に正解はあるのかないのか

siroccoさんも書いていましたが、接客には正解がないってよく言われるじゃないですか。僕はそれが嫌いなんですよ。接客の正解がないって言ってしまうと、じゃあ何をしていいか分からなくなるんですよね。でも、レストランというのはそれほど特別な事は起きないじゃないですか。イレギュラーはあるけど、僕はイレギュラー対応は苦手なんですよ。ぶっちゃけ言うと全部僕は覚えたんですよ。お客さんがグラスをこぼしました、その対応をイメトレで全部しておくんです。こぼしました、とりあえずどこまでこぼれているかを確認する、体はおしぼりのほうに向けつつ、おしぼりを出しながら料理はどこまでできているかを確認する。そういったことを全部先に考えておくんです。だから冷静に対応できるのであって、お客さんの事は考えてないんです笑

ー言っちゃっていいんですか笑

全然いいですよ笑 だってサービスの本質はそこじゃないんです。

ーほほう。

お客さんのことを考えて何かするというのは、100通りとかパターンを覚えればいいじゃないですか。

ー確かに。お店側はクレームや、いつかは起こりえるイレギュラーな出来事に対するマニュアルがないところが多いですよね。だからこそ対応が不安定でより一層クレームが出てしまうということがありえます。

センスでできてしまう人がいるんですが、僕はそうじゃなかったので全部覚えました。ほとんどの人が(センスでは)できないんじゃないですかね。

ーああ、確かにできないと思います。

若い人がサービスしたいと思うときに、センスにしてしまうとそれは希望がないじゃないですか。

ー自分がミスをしたときの対処法まで考えるというのはほとんどしないんですよね。ミスをしないことが当たり前とされているから、考えないようにしているというか。


そうですね。グラスを落として割ってしまったということが起こったとき、それをどう処理するのかを全て考えておく。だからお客さんの事は考えていない。もっと言うと、今はマイナスの話ですが、プラスの話でもあって、例えば働いているお店が11時30分からオープンだった時に、その前からお客さんが並んでいる。外はとても寒い日だったりした場合、先にお店に入れてあげたい。そういった場合のテンプレも僕にはありました。キッチンには先にお客さんは入れるけど注文は時間通りに取りますというのを伝えておけば、誰も文句は言いません。これだとお客さんは寒がっているけどどうしよう、みたいにはなりません。こういうのをたくさん用意すればいいことなんですよ。逆に想像力だけでサービスするというのも怖い気がします。基本のサービスというのは、大体10パターンぐらい覚えればその範囲でできることがほとんどだと思います。このお客さんはどのパターンかなって考える想像力だけ必要なんじゃないですかね。

ーなんかすごいですね。そういう話する人いないですよ。少し考えていても言っちゃいけないと思っている場合がほとんどだと思います。何か、夢のある商売だと思われている部分がほとんどなので。もちろんお客さんのことを考えているこそのルーティンとも言えると思いますが。

siroccoさんもこの前書かれたnoteがありますが、

当たり前のことをまずやろうぜというか、みんな華やかな方に目が行きがちですけど、僕もnoteでは華やかな方を書いていることが多いので忘れがちになるんですが。

ーサービス業で働きたいと思う理由の1つがその華やかさですよね。その思いが強すぎると結構あっさり辞めていくという。

そう笑 お店の回し方、スタイルは僕が教えることではないので。そのお店のやり方があるからそのお店の上司に聞いてねというのがあるんですが、それ以外の付加価値の作り方は誰も教えないことが多いから教えてあげるよ、という意味でnoteは書いていますね。


僕のnoteとかで頑張ろうと思ってくれる人がいるのなら、本当に輝く瞬間というのは一瞬だから、後は全部つまらないというかルーティンの連続でしかないけど、それをやっていたおかげである一瞬が気持ちの良いサービスができる、というのが仕事だとも思います。

ー確かにどの仕事にも言えることだと思いますが、それがあるからこそ続けられるというのはありますよね。


黒ワインさんの話を聞きたい方に伝えたいこととは

ー将来的には現場に復帰というか、自分のお店を構えるとかそういった事は考えていらっしゃるんですか。

まずフルタイムでレストランをやろうとはもう考えていません。あんまり独立意欲もありません。でもバールボッサの林さんとかを見ていると、

居場所があるというのはうらやましいなとは思いますね。言っていることが矛盾しているかもしれませんが、サービスというのはお客さんを幸せにできるじゃないですか。お客さんのことを考えなくていいじゃんとか言ってますけど。23歳位の時に、レストランで働こうと思った時、世の中の男性が上手に女性をエスコートできるようになれば、男性も女性も喜ぶし、もっと世界は平和になるんじゃないかなと結構真面目に考えていたことがあって笑 それは今でも少し思いますね。

ー確かにみんなやらないからやる人の1人勝ちですよね。

普段のコミニケーションでもサービス技術というのはすごい使えるから、もっとそういうのをみんなが、なんていうのかな、使えるようになるともっと平和になるというのは今でも考えますね。それが僕も食っていける位の収入になればいいかなと思います。お店というか、自分のサービス技術を伝えたいと思っているだけです。自分のサービス技術を教えた子がすごい活躍しているのを見るとやっぱり嬉しいですね、ありがたいし。自分がもう現場に戻るという事は考えていないので、だったら誰かに技術を伝えたいなというのはありますね。多分そんな気持ちなんでしょう。

ーすばらしいです。だって書けないですよ、あんなことは。あんなことって良い意味でですよ笑 熱意と、思いと、考えてないと。だから僕も興味を持ってお話ししたいと思ったんです。

ありがとうございます。

黒子型のサービスと劇場型のサービス

ーサービスのやり方は本当にたくさんあると思うのですが、感動してもらうことを追求するレストランについてはどう思いますか。アピールが強いというか。一応言い訳しておくとこのサービスがダメだと言っているわけではないです。僕にはできないですし。

もう有料ノートに書いたんですが、

僕は黒子型を押すという話です。なんでかと言うと、劇場型は確かにファンはものすごく多いんですが、これはセンスでやるしかないから真似できないんです。継承できないです。結局その人の人気にとらわれてしまうんです。では黒子型のサービスと言うのはどうなのという話を書いています。書いている事はものすごい地味ですけれども笑 
劇場型の方のサービスが好きで店についてくれてる人はその人がいなくなっちゃうと来なくなっちゃうんです。

ー時代の流れはそのような流れになっているのかと感じているんですが。劇場型とまでは言わないですが、お店も、やっぱり人に会いに来る方が強くなると思うんです。お店はおいしいのは当たり前で、料理の内容というのはもう完全にシェアされていて、お店にはそれの確認のために行く。じゃあ何のために行くのか、やっぱり人で、これから美容院みたいになっていくのかなという感がありますが。もちろんその人が他の店に移ればお客さんも他の店に移る。それが当たり前になるのかなと。

そうですね。人にもっとフォーカスが当たっていくとは思います。でも、僕が言うその黒子型のサービスでも人が活躍できるんで。六本木にあるマクシヴァンと言うお店の佐藤さんという方がいるのですが、

この方がとても黒子型で素晴らしいんです。全然自分は目立とうとは思っていないし、でもとても気を遣ってくれているな、というのを感じるんです。これはとても良いサービスだと思うし、佐藤さんにもファンはつくじゃないですか。黒子型でも。

ー僕も劇場型は無理です笑

僕の実家が美容室なんですよ。田舎は特にそうなんですが、昔の美容師さんは冠婚葬祭の全部に関わっていたんですよね。人間の一生に関わっていて、そのお弟子さんが、またそのお客様の子供達と関わっていくみたいな感じで。そういう時代があったんですよ。もちろん完全に再現はできないんですが、僕の父親が店のスタッフに対して「美容師として何でもできるようにしたい」ということをあげています。父の中には「ただ髪を切るだけという美容師はいるけど、うちは美容師を生業としていけるように育てていきたい」っていうのがあったんです。技術だけではなく受け継がれていく文化として考えたいというか。だから僕もそういう考えなんだと思います。飲食や接客を食文化として考えたほうがいいんじゃないかという思いがあるんです。

会話には必ず意図を考える

ー僕がnoteを読ませていただいて、勉強になるな思ったことの1つに話のつなげ方なんです。上司からお客さんと会話をしなさい、と言われても最初ってなんて言っていいかわからないじゃないですか。今日は暑いですね、なんて言うわけにもいかないし。黒ワインさんのnoteを読んでいて、確かカトラリーの話のところで、そのカトラリーの説明をしていて、デザートのものも面白いものなのでまたその時にその感想を聞かせてくださいね、と振っといてから席を離れるという話があったんです。話の内容にたくさん伏線を張っておくとよりスムーズに次にテーブルに行った時に話が続けられるんですよね。

(お客さんの中に)入る時も全然困りませんね。

ーただなかなか難しいですけどね。何も話すことがなくなって、お味はどうでしたか、しか言えなくなっちゃう。

つまらない会話になっちゃいますね。会話は難しいですが、会話ができるとやっぱりサービスのレベルは上がりますので、絶対覚えなきゃいけないですよね。言葉遣いも気をつけなきゃいけないし、とても大事だと思います。

ー自分がおもしろい話を用意するのではなくて、もちろんあるに越したことはないですが、次にこういう会話に持っていきたいから今はこういう話をしておこう、みたいに出来るとサービスが楽になる部分は多いですよね。


ーnoteのように不特定多数ではなくて、黒ワインさん自身の話が聞きたいと相談に来た人がいた場合など、これだけは伝えておきたいことなどはありますか。

悩みますけど、自分が1番言いたいのは、目の前の世界だけを見ていたらダメなんだとは言いたいですかね。レストランはどうしても狭い世界なので、その中だけで完結しちゃうというか、忙しいし他のところに行く時間なんてないし、無理に作らないとないじゃないですか。だからそれだけが自分の世界になっちゃうから、そうするとそれこそ想像力を伸ばす余地がなくなると思うんですよ。レストランやワインの世界には目を向けるけど、それ以外の世界には目を向けないじゃないですか。接客は人と人とのコミュニケーションだから、いろんな世界を知ってた方が絶対有利なんです。知らないより。だからレストラン中で収まってほしくないというのはあります。


今回のお話の中で、会話と言う単語が多く出てきました。ただ話すだけでなくて、しっかりと出口をいくつか用意してその出口に導くために会話をつなげる。実際に、僕が質問したいことや伝えたいことをうまく言えなかったことが多々あったのですが、それでもその意図を汲み取ってくれて僕が理解しやすいように説明してくれたりする場面が多く見られました。会話の中では意外と好き勝手に話してしまうことが多いとは思うのですが、黒ワインさんは会話の中でも文章を書くように相手の考えを汲み取って素早く会話を導いている印象でした。お客さんのことを考えていないと言っていたのは印象的でしたが、これはお客さんが最初から最後まで満足してもらうことを前提にしているからこそであって、結局その場しのぎで考えている訳ではないんですね。その時に考えていたのでは遅いということはよくあります。

今回、書いた内容は実際にお話ししていただいた量の半分にもなってないですが、まぁその辺は書けないというか書かないというかお察しいただいて、、、お願いします。
貴重なお話有り難うございました。

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