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感動よりまずは普通のサービスをしてほしいと思う件

ワインバー黒ッコです。いらっしゃいませ。

僕はみんなで全力でする感動サービスは苦手です。

お店全体でお客様の誕生日を祝ったりすることとか。これだけと誤解されそうですが苦手であって否定はしないし、そういったサービスが大好きなお客様もいます。

喜んでいただけるならそれは素晴らしいことだと思います。

で、なんでそういう考えになったか思い返してみたんですが、理由の1つはあるレストランでの出来事でした。

もう1度言いますがあくまで理由の1つです。

休日に他店で食事を楽しんでいたのですが、突然かなりの大音量と共にディズニーのバースデーソングが流れ出しました。スタッフたちは笑顔で歌を歌い、花火が噴射するケーキを持って誕生日のお客様の前まで行き、祝っていました。

お客様は驚いた様子でしたが、とてもうれしそうでした。この行為に文句はありません。

僕が食事をしていた約2時間、実に3回同じイベントがあったのですが、これに関しても文句はありません。全く同じ内容だったので少しは変えようよとは思いましたが。

問題は3回目のイベントが始まる時の出来事です。3回目の歌が流れ出す前、隣のカップルが会計をしようとしていました。正確には男性が会計をしようとしていました。女性がトイレに立った時、男性はその間に会計をしようとスタッフを探しました。スタッフが見当たりません。よく見るとキッチンとホールの出入り口付近にスタッフ3、4名が集まっていました。どうやらそれぞれケーキ、音楽、歌などの担当があるらしく今からやろうとしているサービスに集中してしまっています。

男性は手を挙げていますがスタッフは誰1人として気付きません。そして例の音楽が始まってしまいました。男性はさすがに手を下ろし、しばらく気づいてくれるか様子を伺っていましたが、結局そのイベントが終わるまで会計することはできませんでした。もちろん彼女は席に戻ってきてしまっています。

そのぐらい気長に待てばいいとか、気にし過ぎだとかいろいろとあると思いますが、僕が気になるのは、お店側は誰1人としてこの出来事に気づいていないということです。

今日も素敵なサービスができた、喜んでくれたと思っているかもしれません。

少なくともこの男性の気持ちはどうでしょうか。もちろんその男性も誕生日の方を素直に祝っていたかもしれないし、早く会計ができなかったことに腹を立てているかもしれません。

もし腹を立てていてもおそらく誰にもこの話の愚痴を言えないと思います。誕生日の人を祝ってあげてるのだからそれくらいで腹を立てるなよと言われることはわかっているからです。

目の前のお客様を喜ばせようとする行為、気持ちは素晴らしいことです。ただそれをやるには周りのスタッフのフォローがあってこそできます。

僕が今まで働いてきてよく感じたのは、私はこんなにお客様のために頑張ろうとしているのに周りが協力してくれないと嘆いているスタッフを見ることでした。これは大抵は周りのスタッフとのコミュニケーションができていないからです。

イレギュラーなサービスをするためには、自分がその間できないことを他のスタッフがフォローしなければいけません。注文を受ける、出す、下げる、感動のサービスの裏には地味な作業が山ほどあります。

自分がイレギュラーなサービスをしている間にフォローしてくれていたスタッフを、他で自分がフォローできていたか。

フォローするのが当たり前、だってお客様の為だから。自分がやりたいと思うサービスだけをやり続けてしまうスタッフも多いです。

お客様だけを見ていて自分が他のスタッフにどれだけ助けられていたかを気づいていないスタッフはそのうち助けてくれなくなります。

お客様のためと思えば思うほど、他のスタッフがダメだと嘆いているスタッフはかなり多い。

それで私にはこの店は合わないと辞めていく。

このお客様にこのサービスをしてあげたい! と思った時、そのサービスの間に見ていて欲しい他のこと、やって欲しいことを周りのスタッフにしっかりと伝え、なおかつそのサービスがうまくいった時、フォローしてくれたスタッフにしっかりと感謝を伝えられる人はとても魅力的です。

このスタッフはなんか手伝ってあげたいと思わせる魅力もあります。


すみません、話がそれましたが、結構感動のサービスって紙一重だと思うんですよね。

やっぱり自分は最高のサービスをしていると思いたいし信じたいですが、少なくとも先の男性はどう思っていたか。

常に100点のサービスを狙い続けて結果として30点のサービスになってしまうところがあってもそれを仕方ないとするのか。

それとも80点のサービスを全部のテーブルにし続けるか。

誰も悪いことはしていないし、何をすればそれが絶対に正解とも限りません。

気になる人もいれば気にならない人もいる。

気になる人に合わせるか、それとも気にならない人に合わせるか。

結局はそれだけなんですけどね。


で、話は終わるんですが、

もう、何回も言ってはいますが、普段サービスのことは正解がないから書かないようにしています。ただ、一応、一応、僕も飲食でサービスをやってきたので下の子から相談なり愚痴なりを聞いたりします。多い相談の1つが、「私がこんなにお客様のために頑張っているのに周りの協力がない」でした。

なんとなく若いこれからのサービス業を担う人向けに書いた感じなんですが、僕がそうだったように、本当にすごいと思う人からのアドバイスじゃなきゃあまり聞く耳を持ったりしないと思いますし、偉そうなことを言う資格もないですけど、少なくとも僕より若い人よりは経験はありますし、ちょっとでも何か感じてくれたらなとも思ったので、これからたまに書いてみます。

ちなみに偉そうなことを書いてあるからと変な期待を持ってお店に来てもがっかりするだけなのであしからず。よく来てくれている方はお分かりだと思いますが、、、

終わりっ。


「sirocco日本ワイン部」サークルやってます。

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