ドラマ『silent』を観て、長年抱えていたモヤモヤが少し解消された
今年最大の話題作!とよく耳にする木10ドラマ『silent』。
ほとんどドラマを観ない生活を送っていたのだが、あまりにも多くの人が「あのドラマ良いよね…」と話しているので、私も見逃し配信から1話目をスタート。気づけば、木曜日は夜10時までにすべてのことを済ませ、テレビの前に座り、リアタイするまでになっている。
素晴らしいと思った箇所はたくさんあるのだけど、このドラマのおかげで、特に「気持ちの伝え方」「人との寄り添い方」について改めて考えさせられ、長年抱えていた悩みが少しまた前進したように思う。
ありのままを伝えられず、受け止められなくなっていた
このドラマのワンシーンごとの登場人物たちの行動と言葉に、毎回ハッとさせられる自分がいる。
元恋人の耳が聞こえなくなった事実を知り、すぐに手話教室へ。次会った時には、習い始めた手話で会話を試みる紬。その想いを受け止めて嬉しそうな想。
相手のため、だけでなく、自分のための決断でもあることを理解している湊斗。相手と自分の想いをわかっているからこそ、突然別れを告げられても決してすがらない紬。
自責の念に駆られることもあったけれど、湊斗の想いをしっかり受け止め、紬と顔を合わせて素直な気持ちをまっすぐに届けた想。その想いにちゃんと向き合おうとする紬──。
この各シーンを見る前に、私が一番に抱えた想いを正直に書くと、「過程を知らない人がいきなり手話で会話したら、相手は戸惑うのでは?かえって相手を傷つけてしまいそう……」「想は自分が原因で2人が別れてしまったことに罪悪感を抱いて、紬とは会えないのではないだろうか。申し訳ない気持ちでいっぱいになってそう……」
言葉を放った自分に嫌気が差すことは避けたいし、相手の気分も害したくない私は、恥ずかしながらこんなことばかりを考えていた。
だから、『silent』の彼らの行動と言葉を知る度に、「そうだ、これがすべてなんだった」と感じると同時に、相手にどう伝わるかばかりを考えて、自分がいかに“本当の想い”に向き合ってこなかったのかに気付かされる。
私は、伝えたい“本当の想い”を自分で理解しているのに、それを真っ直ぐに伝えるのが怖いから、「あの人はどう感じているだろう?」と相手の気持ちを考えることを理由にその想いに蓋をしていた。
今日までそれを繰り返し、一体どれだけの想いをこじらせてきたのだろう。
そして、気が付けば自分の本当の想いだけではなく、相手の本当の想いですらまっすぐ受け止められない状態になっていた。
ただ、登場人物たちは相手の気持ちを考えると同時に、自分の素直な気持ちに向き合うことを諦めず、その想いが伝わることから逃げない。
自分の想いを素直にまっすぐ伝えること
私は昔から、悲しんでいる人、辛い想いをしている人、悩んでいる人たちに出会った時、自分が抱く想いに「この言葉をかけて良いのか?なんとか寄り添いたいけど、私の言葉で相手をさらに傷つけたらどうしよう。相手の経験なんて絶対にわからないのに、そんな自分にかけられる言葉があるのだろうか……」と考え込んでしまい、目の前に苦しんでいる友人がいることを見て知っているのに、何もできなくなることが多々あった。
これは同情なのか?共感なのか?偽善者ぶっているだけなのか?
モヤモヤを解くことができず、虐待を受けてきた友人や大切な人の死を目の当たりにした友人に対して、「あなたはよくがんばったんだね」「つらかったね」「大丈夫だよ」の、その一言がどうしても言えなかった。
でも、紬が想と話したいから手話で会話を試みたように
想が自分の気持ちを伝えたいから言葉で伝えたように
湊斗が時間と共に変化する心を受け止めて行動したように
相手に誤解なく想いを届けるには、自分のありのままの想いを素直にまっすぐ伝えること。ただそれだけ。
これは相手との信頼関係の深さに関わらず、本気で相手のことを考えているのなら、きっとそれで良いのだと感じた。
相手の状況や経験を理解できないのは当たり前のことで、
寄り添うのに、同情とか共感とか正しさとかはどうでもよくて、
そんな複雑な考えや気持ちは必要なくて……
ただただ必要なのは、「伝えたい言葉をまっすぐに届けること」だけ。
言葉に一生懸命向き合い続けている人ほど、自分の素直な想いを認め、まずは伝えることが何より大切。それを頭の中でこじらせて言葉を飲み込んでしまうから、伝えたいことが伝わらず、最後には自己嫌悪や自分を責めてしまうようになる。
ドラマ『silent』を通して、何より難しいことが、何より当たり前であったことを再認識し、長年抱え続けていたモヤモヤが少し軽くなった。
抱いた感情は嘘偽りないものなのだから、そこに理由らしきものを求める必要はない。
実践するのはとてつもなく難しいのだけれど、今日からいつもより少し勇気を持って、言葉をありのままに伝えてみようと思う。
その言葉が果たして、本当に誰も傷つけず相手に寄り添えるのかは分からない。
でも、グラデーションになっている自分の想いに戸惑わず、想いまっすぐに伝えられたのなら、まずはたくさん考えたうえで、今の感情に素直になれた自分を褒めてあげよう。
『silent』の主題歌のように、言葉を放つことで失敗もするだろうけど、それでも伝えること・受け止めることを諦めず、歩みを進めていきたいと思う。
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