「自分らしさ」って自分だけで見つけるものではないのかもしれない
「自分らしさ」って何なんだ?と頭を抱えている人は、ぜひ他の人の言葉に耳を傾けてほしい。
強み、独自性、武器……これについての熱量は誰にも負けません!と言えるものが私にはない。割と幅広く何でも好きになるけれど、どれも熱中する領域には達しない。
これまでもいつもそうだった。
部活は吹奏楽部に入るも、どうも打ち込めずにバレーボールに転部。途中でもっと興味を惹かれる留学に出会い退部。中学生ではジャニーズ、高校生ではEXILE、大学生ではBTSが好きになりライブに行くも、グッズやCD、握手会に応募するほどの熱量はなくて。ファン、にも、当事者、にもなりきれていないようで、本気でやっている人たちに失礼だよな……と、いつもちょっと引け目を感じていた。
そんななか、先日参加したライターさんたちの飲み会。アニメや音楽など、それぞれが自分の趣味や好きなことをいきいきと話す姿を見ながら、あらためて「推しへの熱量って唯一無二の武器だよなあ」と。
彼らが推しを語るときに選ぶ言葉は私の引き出しにはないものばかりだし、キラキラとした強い眼差しには並々ならぬ愛を感じる。
一人ひとりが好きなことについて語るなか、特に“ドハマリ”するものを持っていない私は、何を話そうかと悩んでいた。
「おのまりちゃんは何にハマってる?」の質問に、「めっちゃ好きなものがなくて……発信できるものが何も……」と回答に詰まっていると、周りの人たちが「おのまりちゃん、韓国めっちゃ好きだよね。それ発信してほしい」「前に話してた引越し先でのコミュ障発動している話、おもしろかった笑」「自分の現状を客観視して語るのおのまりちゃんっぽいよね」と。
「え、そんなことを好きって言っていいの?発信していいの……?」
たしかに渡韓回数はもう30回以上になるけれど、周りに韓国好きな方はたくさんいるし、これがめずらしいことだとはあまり意識したことがなかった。それにコミュ障発動しているのも、お仕事関係の人にどう思われるのかが怖いし、マイナスなことだから発信しないほうがいいと思っていた。
自分について語るのも苦手だし、文章を仕事にしているのに想いや考えを言語化するのにはかなり時間がかかる。これを、「好き」や「おもしろさ」として捉えたことが、今まで一度もなかった。
でも、私が普段“何気なく”受け入れているものたちが、実は他の人から見ると「唯一無二」「推し」「その人にしかない特別なもの」に映っているのだ。
武器なしフリーランス、がもはや自分のキャッチコピーでもあるなと思っていた最近。「自分らしさ」「自分にしかないもの」って本人が一番わかっているようで、実は一番わかっていない。
何が「らしさ」「武器」「特別」になるかわからないし、それがどこに潜んでいるかもわからないからこそ、自分だけで抱えずに、周りの人にも「教えてください!私らしさ!」と聞いてみることで、きっと可能性は広がる。
自分らしさ、って自分だけで見つけられるものではないんだね。