9/23: 1点も捨てなかった6回裏
シーズン最終盤。昨日、千葉ロッテは136試合目にして今季ビジター延長戦初勝利を飾りました。この興奮冷めやらぬ展開を文字に起こしたいと思い、試合後から筆を執り、個人的に光ったシーン・6回の西野ー松川バッテリーを手短にまとめていきます。久しぶりなので文章の書き方を忘れてしまってると思います。
先頭の柳町に二塁打を浴びてしまいますが、ここからバッテリーは本領を発揮します。
vs周東
最初は周東。俊足・周東に対してセーフティ気味のバントは常に警戒をしておかないといけないため外中心の配球で真っ直ぐが主体になる。案の定、バントの構えを見せ4球目までは真っ直ぐ。
この4球目に松川が二塁牽制を挟むも柳町が三塁を陥れた。無死三塁。
こうなると1点はやむなし、最低同点で片付けたい。とはいえ今のロッテのブルペン状況を考えると1点を与える余裕はない。なんとかリード保ってロベルト・オスナに回していく、これが基本勝ちパターン。
ここまで全球真っ直ぐだったバッテリーは5球目にフォークを選択、そして高低を利用して高め真っ直ぐで空を斬った。足がある周東に対してはゴロよりも内野フライが望ましい。組立ての切り替えとリリーフとして押し切る王道攻めの要素を詰め合わせた。このフォークをあくまでも誘い球として使い、本当の勝負球を次の真っ直ぐで選択した点も素晴らしい。
vs野村大樹
次は野村。前の打者の直球主体から一転して変化球主体で簡単に料理した。まだまだ期待の若手、得点圏の場面で見逃すようなことはなくおそらく前の打者の攻めを見て真っ直ぐ待ちで積極的にスイング仕掛けてくるだろう。そして、ここは5球以内で打ち取って、先頭に回る次打者以降にエネルギーを蓄えたい。その言葉通りバッテリーはカウント球のフォークと外のスライダーを2つずつ、計4球で勝負を終了させた。
こういうときに効率的なのがフォークでストライクを奪えるか。ストライクゾーンから落として振らせるだけでは今の時代、物足りない。格下のや身の縮こまったバッティングをする打者には特に効くと思う。
握りからすると縦のカーブのような膨らみが出てもおかしくないが、この握りからスラッター成分を出せるスライダーも素晴らしかった。
vs三森
最後は三森。ここは真っ直ぐをゾーン内、変化球をゾーン外という原点に立ち返った配球だった。至ってシンプルだが、これが出来るバッテリーって実はそう多くはない。
そして初球の内角真っ直ぐの反応を見てから、外には一切球を集めなかった。その後フルカウントになってしまうが、ここで再び驚きを見せた。まだ塁を埋められる余裕はあるので無理にゾーン内勝負にこだわる必要がないが次打者からコアに回っていくとなると、ここで終わらせたい。
なんと最後は抜けフォーク、コースに軌道がまるでフロントドア。これは予想が出来ない。ここまで原点重視の配球を続けてきて、裏の裏までかかれた感じだ。この日の西野の球に強度があったからこそ出来た攻めでもあるか。
ひとこと・まとめ
状況判断、セオリー、裏をかく。誘い球にもきちんと意味を持っており無駄球がない。力の出し入れも把握している点、そしてランナー三塁でも躊躇なくボールゾーン変化球を要求出来る度胸、しかも自分のミスから招いたもので。
信頼に足りない西野を復活させた、信じきっての組立てが出来た。
今季の松川虎生には幾度となく驚かされたが、この日もそうだ。高卒1年目で白熱した最終盤で、むしろスタメンマスク、担当捕手が増えている。エンジンを積ませている、ここに向けてリミッター解除を目論んでいた。どちらも正しいだろう(彼に関しては、もう少し書き述べて記録していきたいことがあるので、機会があれば後日)。
そして、それに応えた西野勇士。無死三塁で捨ての1点も与えない、前に飛ばさせない三者連続三振は圧巻のパフォーマンスだ。
好不調時で球質が大きく変わる投手だが、この日はランナーを出してからはキレを増していた。福岡PayPayドームのマウンドと相性がいいのだろうか。過去には完封勝利も記録したマウンド。
思えば7年前の2015年、このときも最終盤までCS争いを繰り広げていたが、その渦中に西野の姿はなかった。松葉杖を抱えていた。それでも全員で彼をカバーして3位に滑り込んだ。
タイロン・ゲレーロの離脱、相次ぐ救援失敗とブルペンが苦しい残り7試合、その中でのCS争い。当時と状況は被るものがある。今度はお前がチームを救う出番がきた。7年の時を経て。