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千葉ロッテ 2022年総括

 頂点を、つかめなかった。
 それどころか、これほどまでに早い秋の訪れを迎えるとは思ってもみなかった。パ・リーグ5位・69勝73敗1分。

 3年ぶりのBクラス、突然の監督交代。
 ひと段落ついたところで今季の千葉ロッテを殴り書きしました。過去にTwitterで投稿した内容がほとんどであり、あくまでも個人的見解です。その点、ご了承ください。

☆低迷の主要因

【接戦の弱さ】
 18勝30敗 勝率.375
 これは今季の1点差試合の勝敗・勝率になる。今季の千葉ロッテがBクラスに沈んだ要因として挙がるのはまずここだ。12球団最下位である。
 
 過去・井口政権における1点差試合の勝敗を比べると、その差は歴然である。
2018年: 19勝21敗・2019年: 19勝21敗
2020年: 20勝14敗・2021年: 15勝18敗

 これは勝てたのではないか… この流れで勝てないのか… という試合が目立った。

 さらに試合の総計も今季はシーズンの約1/3に値するまで増えたことから、1点にこだわりすぎた攻撃、リリーフに負担のかかるような試合展開が続いたこともうかがえそう。
 得点圏まで進めるも返せない、追い上げてもあと1点及ばず。こうした展開で最も重要性の高いブルペン陣も長年、上手くやりくりして頼りにしてきたが、とうとうパンクしてしまったようだ。

【特別ルールの撤廃】
 
持ち味のリリーフの弱さが明るみになった証拠としては特別ルールが撤廃されたことが挙げられる。20.21年までとは異なり、今季は延長12回制に戻った。3イニング伸びた分の質・量を確保出来ているか問われた、
 実際、今季の延長戦は5勝10敗1分。
 つまり9回制だった昨季の引き分け分に関しては、今季そのまま負けに換算されたと言われても不思議ではない。2年連続Aクラスも特別ルールの恩恵を受けたものだったと言われても仕方がない。
 さらにビジターにおいては9月23日の対福岡ソフトバンク(PayPay)に勝つまで延長戦は0勝。ここでも粘り強さが影を潜めた格好だ。
 
苦手球団へのアプローチ・分岐点】

 とりわけ上位2チームのオリックス・ソフトバンクには合計12の負け越し。加えて本拠地では3勝10敗、2勝10敗に終わるなど、いいようにされた。
 この数値がZOZOマリンでの2年連続負け越しにも繋がった。本拠地で勝てないチームが上に行けるはずのないことは昨年も申し上げた。

 ソフトバンクには3度も3タテ、オリックスには後半戦開幕カードを全て逆転負け、4連勝と勢い乗った9月頭に合計6連敗を喫し、結果的にシーズンの分岐点を作ってしまった。
 本拠地における対オリックス・ソフトバンクでは、それぞれ平均2.3得点、2.9得点。両チームの投手力に屈した格好だ。
 支配力もそうだが、そのうえでマリンの風で緩急を上手く使われたことが1つの敗因と言えようか。対山本由伸、石川柊太を見ても、まずカーブに対して右打者が反応1つも見せないで簡単にストライク取られるシーンが目立った。
 
 オリックスならここ1番で采配に奇襲がきたり、ソフトバンクの場合、柳田悠岐、今宮健太、中村晃、デスパイネといった常に優勝争いの中で戦ってきた猛者たちにメンタリティの違いと千葉ロッテにない部分を見せつけられた。

 極端な苦手チームを2つも抱えるかつ上2つにもなると優勝争いから脱落していくのは当然だ。

☆投打の振り返り

 【ブルペン
 選手個々に焦点を当てても昨季のブルペンを支えた佐々木千隼、国吉佑樹、唐川侑己が序盤から揃って不振、怪我などで奮わず。
グラウンドボーラー+コマンドでは再現性に乏しかったか。やはり最低限、真っ直ぐで空振りが奪える力がないと後ろでは厳しい。国吉はフォームが総崩れ。オフには新たな専属トレーナーと契約をしたようだ。もう一度復活に期待。
 5月頃から東條大樹、タイロン・ゲレーロのラインを確立、シーズン中にロベルト・オスナを獲得して立て直しを図ったものの、夏場以降には幾度も益田直也が救援失敗を重ねる、中盤からAまでを繋ぐ小野郁が不在、最終盤では誰が投げても8回を抑えられないなど、肝心な部分で脆さを露呈してしまった。
 益田は過去2年間、腕を振り続けながら「優勝出来なかった」という事実が精神的に影響を及ぼしたに違いない。

 【先発】
 
駒が不足して10日ローテ等を組めた昨季までと違い、ゆとりを持ったローテが組めなかった。長い回を消化出来ず苦しんだ。
 年間7勝8勝が関の山になってしまった石川歩。カッター、シンカーのキレ具合は球界でも上質な部類に入る。投げてる球から11番は勝たないと。
 援護に恵まれなかったのはそうだが寸前の踏ん張りが効かなかった小島和哉。ここという場面でインコース狙いの真っ直ぐが真ん中に入る、チェンジアップが右打者に拾われるシーンを日本ハム・オリックス戦で幾度も目にした。
 ただ8月の西武戦のように目頭が熱くなる投球を披露してくれるのも事実。来季こそ成績・姿勢ともにチームを引っ張れる存在になれ。ロメロも9月の肝心な時期に2年連続で離脱と印象が悪い。

 20年に本格化しつつあった二木康太は開幕1ヶ月後にギックリ腰で離脱、今年は上半身の開きを抑えているフォームに着手していたかつ投球動作が速くなったように見えたが、それが返ってこの結果に繋がったのか。この出力、比較的身体に負荷はかかりにくいフォームで9登板に留まったのはいただけなかった。
 現体制、世代における下位高卒投手の一期生に等しいゆえか彼へのハードルは高いと感じる。それでも故障がなく最低100イニングは消化出来るからシーズンにおける計算が立てやすいところは優れている。そこが彼を買っていた部分だった。だから今季の彼には残念な気持ちだ。
  

 森遼大朗も開幕前には先発6番手を掴みかける位置にいたことを考えると2登板は物足りない。
 TJ明けの種市篤暉も結局1登板のみに終了。術前と比べて腕の振り、軸足の蹴り上げが小さすぎて、19年中盤から20年に完封勝ちを挙げた西武戦の姿は遙か彼方になってしまった…。
 個人的には最低5回を投げて1.2失点にまとめ上げる能力ある河村説人の不在が最も響いた。

 そんなローテの谷間で一筋の光を見せたのが佐藤奨真。佐々木朗希の翌日先発に見るドロンとしたスローカーブが術中にハマっていた。1つの作戦として組みたいローテが出来たと思うし、奥が出せるチェンジアップも高さを間違えないなど、この手のタイプはいいアクセントになる。
 
 春先はチーム防御率1点台、誰もがQS状態だったが球宴明け以降のQS率は40.38%とピーキングミスとなった。

 【野手】
 開幕から荻野貴司が不在、レアード・マーティンが機能しない長打力不足に泣かされる中で500点を超えてきた。リーグ全体が投高打低だったと考えると相対的に点を取り、総得点は上位に位置づけた。やはり見かけの打線以上に得点を奪う力、マネーボールを好む井口野球の成果は出ていた結果ではあると思う。

☆圧倒的な個の擁立

 しかしチームOPSはリーグ最下位。個の質が問われたシーズンとなった。単体で勝負出来る打者がいない。優勝したオリックス・ヤクルトにいる吉田正尚、村上宗隆のような選手だ。特に日本シリーズ第5戦の吉田正のような活躍…。

 そのカギになる若手たち。藤原恭大、山口航輝、安田尚憲。佐藤都志也。もう期待の若手ではなく、中心として回らなければいけない段階。
 山口航輝はいよいよ本格化だ。来季は開幕からレギュラーとして計算していく。30本100打点。
 
 安田尚憲。数字上は少しずつ成果となって出ている。踏み込み足がピクピクしすぎていて打ち気にはやる気持ちが先行し、落ち球に空振り三振の場面も多いが改善の兆しは見せている。
 守備も向上してはいるが、三遊間よりのステップワークではまだぎこちなさがあったり、三塁線深い位置からの送球ももう少し強さがあるといい。まだまだ攻守に伸びる。
 藤原恭大はここまで苦しむかというのが本音。バットが立ちすぎてスイングも振っているというよりは回っているという感覚が強い。かつ打球が上がらない打席が目立つ。もう少し打球速度も出ていいはず。今の若手で一人でチームの走攻守3項目を最大化できるのは彼。
 
 佐藤都志也。打撃成績の曲線はプロ3年目までの中村奨吾と似ていると思う。課題は外真っ直ぐを引っ張る力。特に左投手。捕手スキルも上がっている。佐々木朗希と組んだ機会もモノに出来ていた。しかしOPSは6割未満と個で抜けていくにはまだまだだ。

穴を作った遊撃
 
長年の課題が正遊撃手の擁立。ここ数年、藤岡裕大の稼働率の低さが目立ってきた。シーズン後半こそ茶谷健太が可能性を感じさせたが、来年1年間不動のレギュラーを任せられるかと言われると攻守にまだ課題はある。
 井口監督初のドラフトで絶対に欲しかったと評価された藤岡裕大。本来は彼が稼働しているうちに次世代の遊撃手を指名して育てるという流れが1つの理想だったが、その5年経った今、藤岡の離脱が年々増えて即戦力内野手が必要になってしまったのは誤算だった。
 今季もエチェバリアに頼らざるを得ない時期が長めになるなどチーム状況の悪さを物語っていた。来季、藤岡は勝負の年になる。現状・一番手は藤岡。ガッカリさせるな。

☆両外国人野手の不調
 
両外国人の低調の要因としては厳しい内角攻め、急な投手の高速化、それにより視力が追いつかない、過去の怪我の影響などが挙がるか。
 レアードの場合、今季は釣り球や1ストライクからのスラット系に平気で空振りするシーンが多く乱雑化したアプローチが目立ち、追い込まれてから簡単に終わってしまった。19年の下位で本塁打量産、上記のような21年の打撃と異なり、1人1人個々の役割を持って戦うチームカラーとしては悪目立ちする形になった。

 マーティンは精神的な部分もあっただろうが、元々縦のフォークガッツリ落とされるタイプにはクルクルなうえ、投手の高速化が発達と、その影響を最も受けた選手だった。
打球の速さ・強さが桁違いで上位打線に置けば差別化出来る存在だが、今年の左打者でこの水準で引っ張れる打者はチームにいなかった。打球の質からして全体の怖さに欠けてしまった。
 
 あと一本はもちろん、左右でそれぞれタイプの違う長距離打者だからこそ打線全体のバランスが崩れてしまった。昨季水準なら今年のパ・リーグを制覇してた可能性も少なくなかった。
 本来ならヤクルトのオスナ・サンタナみたいな関係性を築くのが理想だった。打順下がるところで押し込み・外真っ直ぐライト方向のように。
 そしてレアードの2年契約の間に安田を。マーティンの2年契約に藤原・山口を1人前に。当初のプランはこうだったはず。この2人がいなくても大丈夫なくらいにならないとね。
 
 そんな中でも特に井上の復活は大きな収穫。山口航耀と単体でOPS.750-.820を計算出来る野手を2枚保有出来るだけで来季の得点力は自然と付いてくるはずだ。
 

☆采配・戦術

 【投手管理】
 
今年の投手管理は頭を悩ませた。吉井理人前投手コーチから体制が変わった影響もあっただろうが、とても彼1人が抜けただけとは思えない管理・継投が続いたと思う。

 まずは開幕2戦目の鈴木昭汰。左打者だから続投させたという他に理由がなさそうな継投策、同様にワンポイントタイプではない中村稔弥をそこにあてがうなど左対左の観念が強い意図を抱いた。
 
 先発では交流戦前までに小島和哉を2度も130球以上、投じさせるなどリスク管理を怠っていた。
 小島の力感からすれば長い回を投げて欲しい気持ちは分かるし、疲労回復具合も他の投手と比べて早いのかもしれない、本人の志願もあったが、そこを制御するのが首脳陣たちの仕事だ。佳境を迎えるとともに少しずつリミッターを解除させていく方針を取って欲しかった。

 3連投させなければ連投させていいかのような継投、来る日も来る日も東條、東條。比較的楽な試合展開でも主戦格のリリーフが出てくるなど、一貫性がなかった。
 思い切るなら例えば終盤、ロベルト・オスナには回跨ぎをさせて欲しかった。2イニングで1回分の球数に留められる力は備わっている。
 9月の札幌ドームのサヨナラ負けの試合で8回9回跨いでオスナに行かせるとか。誰が投げても抑えられない、苦しいブルペン陣。だけども勝って5割復帰で流れを変えたい。その一手としては十分アリだった。リミッターを解除、制御する試合、投手のバランスが取れていない印象は受けた。
 
【野手のベンチワーク】
 
象徴的なのが9月2日の対オリックス戦(ZOZOマリン)だ。9回裏無死二塁で5番の井上に代打・柿沼への犠打だろう。柿沼は犠打を決めたものの、次打者の安田、岡大海は連続三振。
 
 当然1点が欲しいのは大いに分かる。
 だが無死二塁、代走・和田。ボールゾーン勝負になる可能性は高いが、次打者が井上なら彼の打力にかけるのが普通だ。
 仮にアウトでも井上なら右中間に伸びたフライでタッチアップも十分あり得る。
 (ちなみに、この翌週の西武戦で1点差の8回表一死ながら二塁、走者・和田の場面で井上が中飛を打ちタッチアップ三進という場面があった)

 次打者の安田は得点圏に弱い、それを破るゴロ速度がない、岡はゴロで破る力はあっても、仮にも倒れた選手をカバーできる力に乏しい。送ったところで期待値は下がる。
 
 また5月の楽天戦・無死一、二塁で山口航輝がバント(バスター)で三振もあった。
 走者はレアード、安田。若い山口には思い切り振らせたい。仮にゴロでも変則的な打球、高い打球で土グラウンドの仙台でエラーも誘える。
 犠打をするな、ではない。とにかく1点に執着して、このように状況判断が出来てないというのが問題だ。加えて井口監督が現役時代、2番で自らが犠牲打で苦しんだ経験を持っていたからこそ、そうした采配はもう少し選手目線になって考えられるものだと思った。前述の1点差敗戦の成績を見ても今年はアウト1つ与える事にデメリットが生じることがわかった。

 詰めるところは上に詰めるべき、特定の選手が頑なに使われない、似たもの同士を1.2番で固めるなど妙な打順の組み立て、ブロックに優れないにも関わらず起用し続ける抑え捕手。中軸にもう一度打席が回ってくるのに代走を送って終盤、打線に穴を作ってしまったり…。
 初回から前進守備… 打者、投手それぞれの特徴を理解せず、ただ1点を取られないようにするために前に出ているだけ。リリーフの球威とか考えてない。今季はベンチにコーチが入れず連携が取れなかった試合も多かったようだ。球団とデータ班と一体となり見直しを図りたい。
 一方で長打力不足を髙部瑛斗らを起点にした盗塁、走塁で補った点はよかった。
特にロッテは風の強いZOZOマリンではフラフラと体勢の崩された内野フライも多いため、普段から1つ先の塁を狙う意識が浸透している。

選手個々において】
 1点にこだわる野球が強かったゆえに細部には気を使わないといけなかった。1つ1つの作戦にしても、まだ甘いと思う点は多い。いくつか選手を取り上げていく。

 例えば髙部瑛斗のセーフティ。無死一、二塁なら250%これだったというくらいには見た。シーズンが進むにつれて相手のサードも警戒していた。
 単に自分の武器を活かしてセーフティ、足で生きるという考えでは状況判断に欠けてしまう。髙部にはその側面が強く見られた。フリで揺さぶる、強く振って三塁手を下げさせる。
 2ストライク後の打率もトップ10(.207・9位)に入るなど今年は深いカウントに持ち込んで勝負出来る粘り強さだってついてきたのだから、1つストライクカウントを犠牲にする勇気を持つなどしても良い。
 そこを〝狙って〟レフト線に運んでいく。それが出来る打者のはず。来季はもっと求めるもの上がるよ。長打だってまだ増やせる。

 代走・和田。タイトルホルダーとして臨んだ今季は本人も悔しく苦しかっただろう。マークも当然厳しくなった。牽制アウトはさることながら、昨季までの勢いの良さは影を潜め「ここで行け!」という場面でいけない、走塁にしてもスタートが遅い場面が目立った。盗塁成功率も6割台と代走としては物足りない。フレッシュさで勝負出来る段階は過ぎてしまった。

 今季の益田直也。
中谷将大、杉本裕太郎、今宮健太。思えばリーグ内で痛打を浴びた球は全てスライダーだった。右打者に思い切り狙われて引っ張られた。
 勝負どころでの選択ミスとでもいうか。最後に1番選んではいけない球を打たれている気がしてならなかった。
 スライダー系の変化球にしても、いいときはもう少しカット寄りで切っていく横変化を出していた気がするが、どうもフワッと高めに浮いていく、曲がっていく。真っ直ぐで押せた場面もあったろうに。守護神らしからぬツメの甘さを見た。

 1点にこだわった野球を展開して無駄なリリーフを投入して登板数の嵩みを生じさせるなど、自らの手で首を絞める点は本末転倒に値した。その割に細かな部分のツメが選手、首脳陣ともに甘い。
 
 井口前監督自身も勝負の年、結果が求められる年と自身にプレッシャーをかけた結果が、こうした大局観に欠けた采配続きになってしまったことだろう。

☆収穫・来季に向けて

 もちろんいい部分だってある。
 
 ・完全試合を達成した佐々木朗希。
 ・FA戦士の意地を見た後半の美馬学。
 ・自力でレギュラー掴んだ髙部瑛斗。
 ・大砲への道のりを本格化させた山口航輝。
 ・まだ健在だと証明出来た井上晴哉。
 ・マウンドの支配者・ロベルト・オスナ。
 ・球界の勢力図を変えられる捕手・松川虎生。
 
 彼らの活躍には心躍り、胸を熱くさせてくれた。未来への土台となる精神力、ディフェンス、長打力。若手とベテランの融合。こんなこと言うのは悔しいが来季以降の糧にしていこう。

 そして佐々木朗希。
 1年間ローテを張る体力、出力を維持すること。股関節の可動が狭くなり、スムーズにいかない体重移動、基本的なフィールディング。少し根負けして先に1点を与えたり… 色々課題はある。その中でトータライズして抑える技も学んだ。しっかり休んで来年は圧倒しよう。項目基準全てクリアしての沢村賞。完全試合。
  
 最後こそ力尽きたものの、これ以上、借金を増やせない状況で5割ラインに戻せる力、ピーキングは光っていたと思う。だから最後まで1番上の可能性を模索し続けた、信じてみたかった。
 
 さらに先日、残留発表した田村龍弘・中村奨吾。野球に対して隙を見せない2人の残留は細かい部分に脆いチームを引き締める効果がある。歓喜の瞬間、グラウンドに立つべき2人だ。
 

☆井口監督から吉井監督へ

 投打に支配的な選手を擁して、彼らを軸に緻密さを練り込むのが井口監督のやりたかった野球だが、それが得失点差マイナスなど見た目の数字以上に成績を最大化させていくチームにシフトした。
 個があって、その上で首脳陣がどれだけ健全さを保てるか。そこに相応しいチームがヤクルト・オリックスだった。どちらか一方ではなく両方備わってないとダメ。連覇も偶然ではない。
 
 2022年は契約、主力の年齢等も含めて現メンバーで挑める最後の年と位置付けていた。他球団のパワーバランスも含めて狙うなら今年。強がった部分もあったが、なんとしてもだった。
 しかし2020年からの3年間で1度も目標は達成出来なかった。
 
 残り2023年から2025年までの3年間での優勝は吉井新監督への使命となった。
 おそらく二塁・中村奨吾のリミットも、佐々木朗希が夢の舞台に羽ばたくのも、その年だろう。再び日米経験者の監督としてスマート・トータルベースボールを展開して欲しい。
 
 Bクラスの秋、これほど寂しいものはない。
 このまま突き抜けないで終わるのか。そんなチームのはずがない。可能性は感じるよ。

 来年、1番最後まで野球をしよう。
 実りの秋になれ。

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