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笑う太陽② Good on ya

満点の日

今日は、本当に良い1日だった。

午前は、ジンベイとゆっくり泳ぐ事ができたし、午後からの2本では、ウミガメやナースシャークに会えた。

マクロカメラを持っていたお客様は、数種類のミノウミウシに感動してくれていた。

そしてなにより、珍しく遠くでジュゴンが泳ぐのに会うことができた。(ただ、それを追い掛けようとした日本人を止めるのが少し面倒くさかったけど。)
そして、帰港時、船のスクリューから出る泡に数頭のイルカ達が遊びに来てくれた。もう、満点の1日だった。
いつもなら、みんなで宅呑みなんだけど、「こんな日はBarだよねっ。チップも随分はずんでもらえたし。」とAlly。私達は大喜びで、CD(Carpe Diem) Bar & Grillに繰り出した。


私達


私達は、本来Perthに住んでいる。ジンベイザメ(Whale-shark)のSeasonだけ、ダイビング船と共にExmouthにあがってくる。

その期間は、キャップのMatt(Matthew)以外のスキッパー全員で、一軒家をシェアして暮らしている。このExmouthへの出稼ぎは、Perthにある本店のStaffの中ではとても人気がある。私達のShopは、船を持たないClassチームと、船毎にメンバーが決まっているGuideチームに別れている。基本、PADIライセンス取得はClassチームが請け負う。私達Guideチームは、FremantleでのDiving、船上で数泊しながら毎日潜るDivingTour、NightDiving、HuntingDivingとその後のBBQ等を担当する。店には3艘のダイビング船があり、互いに協力しながら競いあっている。Exmouthへの出稼ぎ船は、それまでの業績から決定される。私達とVenture号は、ここ3年その栄光を勝ち取っている。スポッターに関しては、業務成績と個々の健康と体力、そしてお客様からの人気をみてオーナーが決める。スポッターに選ばれるのは、私達Guideにとってはとても光栄な事だ。


正しい夜の過ごし方


オーストラリアは、本来チップは不要だ。でも、チップの習慣がある国のお客様は、納得がいくダイビングができた時にチップを弾んでくれることがある。
今日は、有り難い事にかなり頂いた。
他の船のスキッパー達は、それを公平に別けているらしいが、私達は共同金として全てアリー(Alicia)が管理している。そして、こんな日のご褒美や誰かが落ち込んでいる時、大切な人達の誕生日等「今だっ!」って時に、みんなで使う事にしている。
だから今日は、「今日は、一杯だけ好きなお酒を飲んでいいよ。」とアリーより嬉しいお達しが出る💕

やった!!と、お酒好きなピタ(Peter)と顔を見合わせてガッツポーズ!!
アリーの気持ちが変わってしまう前に、私達は急いでバーカウンターに行き、いつもはなかなか頼めない高価な(でも、高過ぎない)お酒を頼む。
「ルーク、『クーパーズエクストラストロングヴィンテージエール』をお願い。」

アルコール度数高めの7.5%
なかなか、ガツンとくるんだけど、喉越しが良くてクリーミーで美味しい

「Good on ya」とルークが、ビールと一緒にサービスでナッツを出してくれる。
小さい町なので、今日一日の事はあっという間に伝わる。「Ta!」とハイタッチをして席に向かう。
ピタもアリーもマットも、明日は久し振りの休みだから、じっくり腰を据えてゆっくり飲むと言って笑っている。

私は明日、地元のDiveShopのヘルプでNavy Pierを潜る予定だが、もう1杯は飲もうかな…。
ごくたまに、英語もDivingも自信がない日本人のお客様が来る。そんな時、日本人の私にお声がかかる。

Navy Pierは、もう異世界と言っていい独特の海だ。桟橋下だけに、浅いけれど薄暗い。


でも、時折微かに差し込む光が、より神秘的な空間を演出してくれる。本当のホントに大好きなPointだ。

もし、あなたが潜る人なら、絶対に潜っている方がいい。

この店に偶然入ってきた今日のお客様も合流し、Divibgの話で盛り上がる。お店が少ないこの街では、飲もうと思うと場所は自ずと決まってくる。こうやって、ダイビング後、お客様と飲むことは珍しくない。それが次の仕事に繋がる事も往々にしてしてあり、また、私とピタにとっては一杯奢ってもらえる可能性もあり俄然頑張っちゃう(内緒だけど。)みんなはまだ盛り上がっていたが、明日もある私は先に帰る。カウンター越しに「あの酔っ払い達を宜しくね。」とルークに声を掛ける。「帰るの?その端にいる子が、明日のお客らしいよ。」とルークが、カウンターに1人座っている子を目で示す。視線を向けたその先に、黒髪の女性が、本を読みながらワインを飲んでいた。英語が分かるのか雰囲気を感じたのか、振り向いてコッチを見る。目があった彼女は、表情を変えず微かに会釈をして、またすぐ本に戻り、左手のワインを一口飲んだ。暗い子だな…。それが、更(さら)の第一印象だった。




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