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#2 きみは強し恋せよ乙女 おそるべし恋のチカラ

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恋する乙女は美しい。そして、強い。
そんな美しくも強い、恋する大和なでしこのエピソードを3つ選んでみました。


(2)一目惚れしたお坊さんを龍となって焼き殺すストーカー【清姫】

次の“恋する乙女”は伝説から。
伝統芸能の世界では、かなり有名な「道成寺どうじょうじ」です。

とても人気な伝説なので、それぞれの芸能で少しずつ違うのですが、ここでは一般的に知られているストーリーをご紹介しますね。

超イケメンのお坊さん、安珍あんちんは、和歌山県の熊野詣でに行く途中で、宿を借りた家の娘、清姫きよひめに一目惚れされます。

この清姫さん、とっても積極的な乙女で、夜中に安珍を襲っちゃいます。

これから神域である熊野に行くのに、そんなことは出来ませんし、何より安珍は僧侶なので、清姫の愛情を安珍は受け入れられません。

お断りする安珍でしたが、全然引かない清姫。

安珍「熊野に参拝したら、必ず寄るから」

と、どうにか言い聞かせて、その場を逃れます。

清姫は約束の日まで待ちましたが、安珍は来ません。
そうです。安珍は逃げたのでした。

「騙された!」と知った清姫は怒って、裸足で追いかけます。
追いつかれた安珍は「人違いです」と嘘をついたので、清姫はますます激怒。

困った安珍は熊野権現(熊野の神様)に祈って、清姫を金縛りにしてもらっている隙に、船で川を渡って道成寺に逃げます。

清姫も川に来ましたが、船頭は船に乗せてくれません。
ついに、怒りMAXで、巨大なヘビに変身する清姫。

「え? なんで?」と思ってはいけません。
恋する乙女のパワーは不思議なのです。

火を噴きながら、川を渡るヘビ清姫。
絶体絶命の安珍は、逃げ込んだ道成寺の鐘を下ろしてもらい、その中に隠れます。

よかった。これで一安心。
と思いきや、ヘビ清姫は鐘に巻きついて、中にいる安珍を焼き殺します。

その後、ヘビ清姫は人間に戻ることなく、入水自殺してしまうのでした。

一方的に一目惚れされて、追いかけ回されて、大蛇に焼き殺された安珍。
なんかもう、かける言葉もないくらい、かわいそうですよね。

この安珍清姫伝説は、失恋した女性がヘビになって好きな人を焼き殺すという、派手な展開が好まれているようで、能や人形浄瑠璃、歌舞伎など、色んな伝統芸能で演じられてます。
見比べてみるのも楽しいかも?

「道成寺」と聞いたら、 「ああ、確か、ヘビになって好きな人を焼き殺すストーカー乙女のやつか」 と思えば大体あってますよー。

道成寺の公式HPには、 蛇になる前から口から火を吐き出して、 安珍を追い詰める清姫の絵が載っていて 迫力がすごいです。


続きます。


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