#2 赤白黒の3色で勝負!昔の乙女のメイク術
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「白」のメイク
白粉
いつの時代も共通する美人の条件は「美白」です。
(一時期、一部の女子高生の間でガングロメイクが流行りましたが、それをのぞけば、この国の美女の条件は色白です)
今は肌の色に近いクリーム色のファンデーションが手に入るので、自然な色にメイク出来ますが、昔の肌のメイクといえば、白粉です。
白粉ってどこに塗るの?
白粉は粉末状になっていて、水で溶いてから使います。
顔だけでなく、首や衿足、肩、 胸元まで刷毛を使って塗ることもありました。
江戸時代の女性のみだしなみ本には、
さすがに、胸のあたりまでファンデーションは塗りませんが、境目をなくすように塗るのは、今も同じですね!
「男子にもてないよ!」と付け加えているところがかわいいです。
↓こちらの本には、江戸時代のナチュラルメイク方法が書いてあります。
今もパウダーはきめ細かなものが重宝されますよね。
そして、鼻のワキ! ここはファンデーションがたまりやすいので丁寧にしないといけないところ!
白粉も同じのようです。
紅もうすーく塗ることが重要だったんですね。
昔の白粉メイクというと「歌舞伎のような濃いメイクだったのかな?」と想像しちゃいますけど、意外にも今と同じナチュラルメイクが良しとされてたんですね。
役者さんの舞台上でのメイクと、一般人の普段のメイクは全然違うので、当然といえば当然かも。
他の資料には、
と、書いてありました。
今のメイクでも、肌を整えるベースメイクが一番難しいし時間がかかると聞くので、昔も今もベースがメイクの決め手ですね。
ちなみに、一般的に、京都と大阪は濃いメイクで、東京(江戸)では薄いメイクだったそうです。
京都と大阪は貴族と商人がいるから華やかに、江戸は武士が多いから薄いのが良かったのかも?
(武士は質素倹約するのが良しとされていました)
白粉の材料は?
白粉の原料は時代によって違うようですが、江戸時代の白粉は、鉛白粉・貝殻の粉・米粉・天瓜粉(植物性の白粉)など。
なかでも、鉛白粉はツキ・ノビ・ノリがよくて安かったので大人気でした。
「あれ? 鉛って体に悪かったよね?」
そうなんです。鉛って体に悪いんですよ。
明治時代に鉛白粉による中毒事件が起こってしまいました。
中毒になってしまったのは、歌舞伎役者の中村福助さん。女性たちがあこがれた若い女形です。
歌舞伎役者は顔どころか、腕から指先、脚から足先まで、ほぼ全身に白粉を塗ります。
9歳の初舞台からずっと全身に白粉を塗りたくっていた福助さんは、22歳ころから激しい胃痛と吐き気に悩まされました。
舞台を休んで5日ほどすると治まりましたが、舞台に立つと手足が震えだし、関節や筋肉が痛みました。
明治20年4月、明治天皇がご覧になる特別な歌舞伎で、福助さんは左足がガクガク震えだしました。
それを見ていた人たちは、最初は「緊張のせいかな?」と思ってましたが、いつまでも震えて止まらなかったので、緊張ではなく鉛中毒だったと気づいて騒ぎになりました。
それから、鉛入りの白粉の危険性が知れ渡り、その13年後、国産の無鉛白粉が完成しました。
なんで美白がいいの?
日本で「色白の肌の女性が良い」とされたのは、その女性の背景にみえる暮らしぶりを狙ってのことだと思います。
ここからは私の想像なんですけど、肌を白く保つシンプルな方法って、紫外線(陽の光)を浴びないことですよね。
日本は農耕民族なので、畑仕事をしないと生活していけない。
しかも、お米作りはとても大変な作業なので一人では無理。
家族だけでも無理。村全体でみんなが協力して米作りをしないと無理。
一日のほとんどは、男性も女性も外に出て日光の下で作業をするわけです。
今みたいな日焼け止めはないので、手ぬぐいを被ったところで紫外線は浴びてしまいます。
生活していくためには、家の中で閉じこもってはいられないので日焼けは必然。
農民である限り、日焼けしない白い肌を保っていられるはずがないんです。
では、農作業をしない貴族や富豪は?
外に出て重労働をする義務がないので日焼けしません。
お屋敷にひきもって、物語を読んだり、絵巻物を見たり、和歌を詠んだり、楽器を演奏したりして過ごします。(羨ましい暮らしですね)
ロイヤル階級はひきこもりの特権が与えられてました。
楽で贅沢な暮らしを放棄する人はいません。
白い肌は、外に出なくてもいい暮らしをしている高貴なお姫様の証でした。
江戸男子「あの娘、肌が白い! どこかのお屋敷のお姫様かも!?」
だから、白い肌の女性(お金持ちのお嬢様)が好まれたのかもしれません。
紫外線を浴びる機会が少なければ、肌のダメージも少ないから老化もゆるやかだったでしょうし。
ちなみに、白粉を肌に塗ると、紫外線を防いでくれるので、本当に肌が白くなる効果もあったそうです。
続きます。
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